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面倒な人たちに囲まれて。  作者: 枯木榑葉
第三章 ~絶対にシスコンだと思われる男性に囲まれて。~
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後編

私と兄は兄妹ではない?

ええーと、『義兄妹』というものですか?

そして、血は繋がっていない、と。

おや、親戚ですらないんですか。

初耳なんですけど。



「あ、やっぱりそうなんだ」



やっぱり?

B先輩は気付いていたということでしょうか。

どうやって?



「"やっぱり"だと? てめぇ、気付いていたのか。俺はお前の驚いた顔が見てみたかったのにな」

「あっははっ、残念だったね? でも、まあ、俺が気付いたのもつい最近なんだけど。君が妹ちゃんを愛していることは確実だった。何と言っても、もう600年にもなる恋だからね。そして今、君たちの関係は兄妹だ。なのに、……ほら、普通は妹のことを愛してる、ってなると大なり小なり悩むものでしょう? でも、君にはそれは見られなかった。君はむしろ……なんて言うのかな。バッチこい、近親相姦。いや、give me 近親相姦? あ、Let's 近親相姦!!だね! これが一番しっくりする」



600年? どういうことでしょうかってああっ!

だめです! 考えてはダメなんです!

こんなことを考えてしまったらこれは私の夢なので、どんどんファンタジーに作り替えられてしまいます!

気にしたら最後! とことん平凡からかけ離れてしまいます!

人生、平穏が一番ですよね!

今、平穏からかけ離れているので、改めてそう感じます!


話は変わりますが、近親相姦、近親相姦と、何回も連呼しないでください。

恥ずかしい人ですね、B先輩は。

それにしても、さすがB先輩です。

すばらしい観察眼をお持ちですね。それに、推理力も。

その力を少しでもいいので分けていただきたいのですが。



「はん、相変わらずいけすかねぇ野郎だな、てめぇは」

「ははっ、お褒めいただき光栄です、陛下」

「褒めてねぇよ。後、陛下もやめろ。もう、俺は陛下じゃない」

「あぁ、やっぱり。覚えておられていたのですね、へ・い・か♪」

「っ! てめぇ、鎌を掛けやがったな!!」



ああ、やはり何かあるのですね。

私をそちらの世界に引きずり込ませようと、夢も必死のようです。

分かりますよ、その気持ち。見てもらえないことは悲しいですものね。

ですが! 私は自分の平穏を欲します。

ぜぇぇええったいっ! 関わらない!! 気にしない! I love 無関心! 今だけはこの言葉を座右の銘にしたいと思いますっ!!



「鎌を掛けられる方が悪いんだよ。あぁ、でも、積もる話もあるところだけど、残念だけどそろそろ時間がヤバいね。さすがに帰らないと。妹ちゃんも寝なきゃでしょ?」



そうですね。夜更かしはお肌に大敵ですから。

早く寝たいです。

眠いんですよ。もう12時過ぎているんです! とっくの昔にね!!



「さっさと帰れ」

「それじゃあ、昔の話はまた今度と言うことで」

「今度なんてねぇよ。お前は一生俺の前に顔を見せるな」

「もう、そんなこと言っちゃってぇ〜、まったまたぁ〜♪ クラスが同じなんだから、明日も会うでしょっ! そんなこと言って、本当は俺と離れていたくないんじゃないの? このツンデレさんっ☆」



"このツンデレさん☆"のところで、B先輩は"つんっ☆"効果音が付きそうなほどのノリで兄の眉間を人差し指で押しました。


ぞわわわわっ!!

と、鳥肌がぁぁ!!

きもちわるいぃぃぃぃいいい!!



「やめろ! 全身鳥肌が立つ!!」

「立つってことはまだ立ってないんだ♪」



あ、兄の眉間がヒクヒクしています。

B先輩と話しているとイライラしますよね。B先輩は、人を怒らせることにかけては天才的なんですよ。

今は耐えているんですよね。頑張ってますね、兄は。

私は、もう諦めてしまいましたよ。B先輩に道徳意識を求めるのは。

兄はB先輩をぐいぐい押して玄関から外に押し出します。



「か・え・れ」

「うわっ、ちょっと押さないでよ」

「うるさい。おい、お前らも帰れ」



兄は思い出したかのようにAさん、C君のほうに目を遣ると声を尖らせました。

それに対して、AさんもC君も同意のむねを伝えます。



「はい、そのつもりでしたので。もう、日付をまたいでだいぶ経ちましたからね。今日はお世話になりました。今日出来なかった分はまた日を改めて行いますね」

「おう! 世話になったな! また明日プレゼントは渡しにくるから!」

「もう、お前らも来るな!」



こうして、彼らは帰っていったのでした。


だから、結局何しにきているんですか? 彼らは。今までも何もせずに帰っていきますよね。一体何がしたいのでしょうか? 私を寝不足にしたいの? 性格が悪いですね。


兄は彼らが帰っていく姿をしっかりと見送り(下手すると若干一名本当に帰ったか怪しい時がある人がいますからね。誰とは言いませんけど)どこかに電話をかけているみたいです。

誰にかけているのでしょうか? 警察? B先輩が明日には捕まっていたりして。

……あり得ませんね。のらりくらりと逃げ惑って全く捕まらない様子がすぐに想像できてしまいます。と言うより、捕まったところが想像できません。

そんなことを考えていると、兄は通話が終わったようです。

私の方を振り返りました。

にやりと、効果音が付きそうな(いえ、実際に付いている気がします。というより絶対に付いているでしょう!)厭な表情が浮かんでいます。


最近このような顔で見られることが多い気がするのですが。

いい予感が全くというほどしません。それよりも何やら危険な予感しかしません。頭の中で警鐘が鳴り響いています。

に、逃げなくてはっ!



「おい。どこに行くつもりだ?」



ぎゃゔぁぁあああああ!

見逃してくださいっ!! 怖いんですけどおっ!

笑わないでええええ! その笑顔怖いからああああ!!

あれ? おかしいな、夏なのに震えてきた。震えているのに汗が出てきましたよ! 勿論冷や汗ですけどねっ!!



「イ、イエ。ドコニモ、イキマセンヨ?」

「そうか。さて、邪魔者もいなくなったことだし、おい」

「な、何でしょう? ってぎょわぁぁあああ!? ――ぎゃうんっ!」



私の身体は、一瞬の浮遊感を味わったあと、リビングのソファに激突しました。

と、いうのも兄にソファに投げ飛ばされただけですけど。

ソファは一応ふわふわしていたのですか、それでも地味に痛いです。


兄は、そんな私の姿に満足したように笑い、私の上に馬乗りしてきました。



「!? あのあのあの!? 何をしようとしておられるんのでありましょうか!?」

「何ってナニだけど? あと、日本語おかしい」



あ、ごめんなさい。先程の日本語は、聞かなかったことにしてください。

て、ちげぇよ!!

そんなこと今はどうでもいいんだよ!

私が言ったこともそういう意味ではありませんっ!

言葉の奥に含まれている意思を読んでください!!

つか、ナニって何だああああ!?



「えーと、私たちは兄妹で! だから、こんなことをすることは、その禁止されていて!」

「だから、言っただろ? 俺たちは兄妹じゃない」

「……」



…あ、そうでした。すっかり忘れていましたよ。

それにしても変ですね。

普通、血が繋がっていないって聞いたら取り乱すものですよね?

全然そんな気が起きてこないんですけど。

むしろ、なんか納得している部分があるんですよね。



「んむっ!」



て、そんなこと考えている場合じゃないんでしたあああ!

ピンチ! ピンチですよ!!

ちなみに今は、兄にキスされています!

B先輩とは違うキスですね。

私の抵抗の意思を貪るようなキスです。

さすが、兄もキスが巧いですね。だてに沢山の女性を相手にしてきただけはあります。

寄るもの拒まず去る者追わず精神で、兄のために笑った女性はいざ知らず、泣いた女性の数もごまんといますからね。

その泣いた方々の世話は何故か私がさせられましたが。

自分でしろよ。人を巻き込むな。


なーんて、考えている余裕はありません!

まさに、私がその泣いた女性になりそうです。

もちろん兄に捨てられるからではなく、兄に犯されそう、ということでですが。

てか、兄妹じゃないから問題ないとか言ってましたけど、喩え兄妹じゃなくてもこういったことは、相手の同意のもとでしてください! 犯罪ですよ!!



「ひゃんっ! ふぁっ、んっ!」



て、だからそんなに暢気に考えている暇はないんでした!

人が思考の渦に飲まれている間に人の胸を鷲掴みですよ!

しかも、モミモミと、揉みしだいてその感触に満足顔を浮かべていますよ、この人はあああ!

私のささやかな胸が卑猥な形に潰れています!!

やめてええ! 変態! セクハラ! 犯罪者あああ!

おまわりさああああああん!



「あいつなんかに弄ばれやがって。今夜はあいつに触られて部分を消毒し終わるまで寝かせねぇから」



いや、寝かせてください。もう遅いんです。それ以上起きていたら明日起きれません。

明日も学校あるんですよ!

それから、そんなところは触られていません! だから、触らないでええええ!!



「あ、明日の学校は休むから安心しろ。すでに学校には伝えてある。それに、行こうって思っても立てないだろ」



何で私が考えていたことが分かるんですか!? B先輩も分かりますよね。私、そんなに分かりやすいんですか!?

それから、そんなこと言われて、安心できる女性がいるとでも思っているんですか!?

いつの間に学校に伝えたんですか!?

はっ! さっきの電話ですか!? 用意周到ですね!

て、そんなことより! 立てないって! 立てないって何!?

いや、分かっているんですよ!? でも、受け入れたくないっていうか!



「お前は俺のものだ。俺以外に触らせるな。俺以外の人間と喋るな。俺以外を視界に入れるな」

「いや、無理無理無理っ! そんなこと出来るわけないでしょう!? B先輩のことは不可抗力だから! 目を覚まして! 兄よ!! 貴方にはまだ明るい未来が待っている! ここで犯罪に走ることはよくないと思うの!!」


「ああ、俺のことを心配してくれているのか? 今まさにお前を犯そうとしている俺を? 優しいな、お前は。――お前が好きだ。お前も俺のことが好きだよな? もちろん"いいえ"なんて答えは受付ねぇから。思う存分俺に愛を囁け」



――て、聞いちゃいねえええええ!

ない愛をどうやって囁けばいいんですかあああ!?



「ほら、もっと鳴け」

「っ!! ひゃああんっ!」



ぎゃあああああああっ!

兄が私のあそこをああしてそのあとあっちをっひぎゃああああああっ!!

あそこだとかああだとか抽象的すぎて分かりませんよね。すみません!

でも、説明はなしの方向でお願いします!

説明しろとか言われたら、私恥ずかしさで爆発する自信がありますから! 比喩とかではなくマジで!!



「"はい"は?」

「ふぁっ! あああああんっ!」

「"はい"、だ。簡単だろ? たった二文字だ」



確かに二文字ですけど!

それを言ったら私の平和な人生が消失してしまう気がするのですが!?



「さっさと言わねぇと、もっと酷いことするかもな? ――それとも、そちらの方がお好みか?」

「ッ!! はっ、はいぃぃぃぃ! 喜んでお受け致します!!」



もっと酷いことって何だあああ!?

悪寒しか! 悪寒しかしない!!

思わず受け入れてしまったではないですか!



「よし、いい子だ。それじゃあ、ご褒美をヤろう」



いらないですっ! 貴方の用意するご褒美なんていりませんんんんっ!!

絶対に欲しくないっ!! 不吉な予感がするんです!

『やろう』が『ヤろう』に聞こえたのは私だけですか!?

カタカナ断固反対! もちろん漢字の『殺』も反対です!

そんなものより、睡眠! 平穏な生活をください!!



「ほら、もっと乱れた姿を俺に見せろ。――俺だけにな。俺以外に見せたらどうなるか、……身体に教え込ませてやる」

「あッ、あ、あああああああっ!」



んぎゃあああああああああ!!


いいいぃぃぃぃやぁぁぁぁあああああ!!



ガクッ。





せっかく義兄妹設定にしたのにあんまり意味がなかったですね。

さらっと流してしまいました。

…やっちゃったな。


ストーカー系に監禁・執着系、そして今回は強引・束縛系。

ヤンデレばかりですね! 当初の予定ではヤンデレは一人の予定だったのに……。

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