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面倒な人たちに囲まれて。  作者: 枯木榑葉
第三章 ~絶対にシスコンだと思われる男性に囲まれて。~
16/36

前編

今回はシリアスです。

なってる、かな?

シリアスも書けるようになりたいです。

ぎゃぁぁぁああああああああっっっっっ!!!!!!


Aさぁぁぁんんんんっ!!

貴方も、ヤンデレだったのね!

しかも、C君よりも酷いじゃないですかぁぁぁ!!

あの後どうなったの!?

私、殺されたの!? それとも、生きているの!?

まあ、今自我があるから死んではいないんだろうけど!

これから、お先真っ暗確定じゃないですか!!

見てくれないなら、殺してあげる――系のヤンデレはいらないぃぃぃ!!

いや! それ以前に、ヤンデレがいらないっ!!



「妹ちゃん? どうしたの?」



――え?

突然、名前を呼ばれました。



パチ。


え、パチ?

私、目を閉じていたのでしょうか。

今は、少しかすれていて、よく見えません。


あ、見えてきた、見えてきた。

て、ええっ!?


何と、視界いっぱいに捉えたものは、B先輩の顔がドアップ!でした。

あれ、デジャブ?


ん? あれれ?

何で、B先輩がいらっしゃるんでしょうか。

私、確実に監禁されてますよね。あんなニヒルな笑顔を見せられたのですから。

確実に無事にいるとは思えないんですけど。


なんとか、顔をずらしてみると、B先輩の他にも、周りにC君や兄がいるのが窺えます。

……それから、Aさんも。Aさんは自分の世界に入っておられるように見えます。心ここにあらず、の状態です。

それに、この部屋、……私の家のリビングではないですか!



「――え? あ、れ……?」

「どうしたの?」



私がまともな反応をしめさないからか、B先輩が再度呼びかけてきました。



「そんなに、俺とキスするのが嫌だった?」



――キス…?

何のこと? 私、そんなことされた覚えはありません。


……いえ、違います。

そういえば、心当たりがあるではないですか。


私の誕生日の前日に彼らが来た時です。

確か、C君に食べられる、という夢を見た時もでしたし、先ほどのAさんに薬を飲まされる時も。

その前に、みんなが家に集まっている時にキスをされました。


もしかして、私、また夢を見ていたの?

Aさんに薬を飲まされる夢? ……何て、斬新な夢なのでしょう。


なんだか、私。最近寝てばかりではないでしょうか。

C君の夢しかり、Aさんの夢しかり。

それだけではありません。

だんだん、夢と現実の区別がつかなくなってきているようです。


どうして? 私、病気なの?

もしかして、これも夢なの?



「ちょっと、妹ちゃん? 本当に大丈夫? 顔真っ青だけど」

「……はい、…大丈夫、です」

「本当に?」



笑わなきゃ。

皆が心配している。

あぁ、でも、…ダメだな。ちゃんと笑わないといけないのに。

不安なのがバレないように笑わないといけないのに。

どうしても顔が引きつる。


ダメじゃない。

私は心配をかけてはいけないの。私にはそんな価値ないんだから!

笑って、私。大丈夫だから。笑うの。笑って、笑ってッ!



「……はい、本当に。何もありませんよ?」



ちゃんと、笑えていたかな?

引きつっていなかったかな?


――ああ、でも、やっぱり。

ちゃんと笑えていなかったようです。

B先輩は何やら眉を寄せて、怪しげに見つめています。

それに、周りにいた兄やC君も怪訝そうにしています。

Aさんだけは、未だに自分の世界に入っておられていますけど。


その視線に耐えられず、私は顔を伏せてしまいました。

じわりと、涙がにじんできす。

涙が流れないように、私は必死で耐えます。


ごめんね? ちゃんと笑えなくて。

今ココにいるのも、夢なんじゃないかと思うと、どうしても怖くて。

Aさんも、B先輩も、C君も、兄も、弟も。本当は存在していないんじゃないかって。

本当は、私が作り出した夢の世界で、目が覚めたら皆いないんじゃないかって。

そう思うと、笑えないの。



「妹ちゃん」



不意に、B先輩に呼ばれました。

でも、顔を見ることが出来ません。

今の、私の顔。絶対に凄いことになっていますから。

確実に皆の心配を増幅させてしまうでしょう。



「顔を上げて?」

「……無理です」

「……はぁぁぁ」



ため息、吐かれてしまいました。

私が強情なのを分かっているからでしょう。

本当に、ごめんなさい。


そう考えていたら、言葉で言うこと諦めただけだったようです。

B先輩に顎を取られました。

無理矢理、目を合わされます。



「え、なにっ――ん」



そして、唇が重ねられました。

――温かい。

とても。とても優しいキスです。今までの独占欲丸出しのキスとは全然違います。

あまりにも優しすぎて、耐えていた涙が出てきてしまいました。

一時そうして、ゆっくりと、B先輩の温もりが離れていきました。

キスを終えると、B先輩は私の瞼に唇を寄せ、涙を吸い上げてきす。

両方から吸い上げると、B先輩は落ち着かせるように、穏やかな口調で話しだしました。




「妹ちゃん。俺は、なんで妹ちゃんが苦しんでいるのかは分からない。妹ちゃんが教えてくれないからね」

「……ごめんなさい」

「別に責めているわけではないよ。だから、謝らないで? ……でもさ。考えて苦しんでいる、それ。今考えてどうにかなること?」

「……」

「どうにもならないことで、苦しんで考えていても何も生み出さない。ならさ、その現状を楽しんでみたらどうかな」

「…たの、しむ?」

「そう。だって、どうにもならないんだよ? だったら、楽しんでいた方がお得でしょう?」



B先輩が悪戯っ子のような顔をして、ウインクをしてきました。

自然と笑みがこぼれます。



「ふふふっ。そう、ですね」

「うん。いい笑顔だ」



たとえ、これが夢だとしてもいい。

これが、夢だと言うのなら、この夢の世界を楽しむだけです。


ありがとうございます、B先輩。

今度こそ。ちゃんと、笑えました。





新章始まりました!

今回の章は、シリアスに盛り沢山なると思います。書けるかな……。ちょっと、不安です。でも、頑張ります!


この章で、やっと約半分終了です。

中編って言っていたのに……。

長くなってしまいました。


これからも、よろしくお願いします!

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