前編
今回はシリアスです。
なってる、かな?
シリアスも書けるようになりたいです。
ぎゃぁぁぁああああああああっっっっっ!!!!!!
Aさぁぁぁんんんんっ!!
貴方も、ヤンデレだったのね!
しかも、C君よりも酷いじゃないですかぁぁぁ!!
あの後どうなったの!?
私、殺されたの!? それとも、生きているの!?
まあ、今自我があるから死んではいないんだろうけど!
これから、お先真っ暗確定じゃないですか!!
見てくれないなら、殺してあげる――系のヤンデレはいらないぃぃぃ!!
いや! それ以前に、ヤンデレがいらないっ!!
「妹ちゃん? どうしたの?」
――え?
突然、名前を呼ばれました。
パチ。
え、パチ?
私、目を閉じていたのでしょうか。
今は、少しかすれていて、よく見えません。
あ、見えてきた、見えてきた。
て、ええっ!?
何と、視界いっぱいに捉えたものは、B先輩の顔がドアップ!でした。
あれ、デジャブ?
ん? あれれ?
何で、B先輩がいらっしゃるんでしょうか。
私、確実に監禁されてますよね。あんなニヒルな笑顔を見せられたのですから。
確実に無事にいるとは思えないんですけど。
なんとか、顔をずらしてみると、B先輩の他にも、周りにC君や兄がいるのが窺えます。
……それから、Aさんも。Aさんは自分の世界に入っておられるように見えます。心ここにあらず、の状態です。
それに、この部屋、……私の家のリビングではないですか!
「――え? あ、れ……?」
「どうしたの?」
私がまともな反応をしめさないからか、B先輩が再度呼びかけてきました。
「そんなに、俺とキスするのが嫌だった?」
――キス…?
何のこと? 私、そんなことされた覚えはありません。
……いえ、違います。
そういえば、心当たりがあるではないですか。
私の誕生日の前日に彼らが来た時です。
確か、C君に食べられる、という夢を見た時もでしたし、先ほどのAさんに薬を飲まされる時も。
その前に、みんなが家に集まっている時にキスをされました。
もしかして、私、また夢を見ていたの?
Aさんに薬を飲まされる夢? ……何て、斬新な夢なのでしょう。
なんだか、私。最近寝てばかりではないでしょうか。
C君の夢しかり、Aさんの夢しかり。
それだけではありません。
だんだん、夢と現実の区別がつかなくなってきているようです。
どうして? 私、病気なの?
もしかして、これも夢なの?
「ちょっと、妹ちゃん? 本当に大丈夫? 顔真っ青だけど」
「……はい、…大丈夫、です」
「本当に?」
笑わなきゃ。
皆が心配している。
あぁ、でも、…ダメだな。ちゃんと笑わないといけないのに。
不安なのがバレないように笑わないといけないのに。
どうしても顔が引きつる。
ダメじゃない。
私は心配をかけてはいけないの。私にはそんな価値ないんだから!
笑って、私。大丈夫だから。笑うの。笑って、笑ってッ!
「……はい、本当に。何もありませんよ?」
ちゃんと、笑えていたかな?
引きつっていなかったかな?
――ああ、でも、やっぱり。
ちゃんと笑えていなかったようです。
B先輩は何やら眉を寄せて、怪しげに見つめています。
それに、周りにいた兄やC君も怪訝そうにしています。
Aさんだけは、未だに自分の世界に入っておられていますけど。
その視線に耐えられず、私は顔を伏せてしまいました。
じわりと、涙がにじんできす。
涙が流れないように、私は必死で耐えます。
ごめんね? ちゃんと笑えなくて。
今ココにいるのも、夢なんじゃないかと思うと、どうしても怖くて。
Aさんも、B先輩も、C君も、兄も、弟も。本当は存在していないんじゃないかって。
本当は、私が作り出した夢の世界で、目が覚めたら皆いないんじゃないかって。
そう思うと、笑えないの。
「妹ちゃん」
不意に、B先輩に呼ばれました。
でも、顔を見ることが出来ません。
今の、私の顔。絶対に凄いことになっていますから。
確実に皆の心配を増幅させてしまうでしょう。
「顔を上げて?」
「……無理です」
「……はぁぁぁ」
ため息、吐かれてしまいました。
私が強情なのを分かっているからでしょう。
本当に、ごめんなさい。
そう考えていたら、言葉で言うこと諦めただけだったようです。
B先輩に顎を取られました。
無理矢理、目を合わされます。
「え、なにっ――ん」
そして、唇が重ねられました。
――温かい。
とても。とても優しいキスです。今までの独占欲丸出しのキスとは全然違います。
あまりにも優しすぎて、耐えていた涙が出てきてしまいました。
一時そうして、ゆっくりと、B先輩の温もりが離れていきました。
キスを終えると、B先輩は私の瞼に唇を寄せ、涙を吸い上げてきす。
両方から吸い上げると、B先輩は落ち着かせるように、穏やかな口調で話しだしました。
「妹ちゃん。俺は、なんで妹ちゃんが苦しんでいるのかは分からない。妹ちゃんが教えてくれないからね」
「……ごめんなさい」
「別に責めているわけではないよ。だから、謝らないで? ……でもさ。考えて苦しんでいる、それ。今考えてどうにかなること?」
「……」
「どうにもならないことで、苦しんで考えていても何も生み出さない。ならさ、その現状を楽しんでみたらどうかな」
「…たの、しむ?」
「そう。だって、どうにもならないんだよ? だったら、楽しんでいた方がお得でしょう?」
B先輩が悪戯っ子のような顔をして、ウインクをしてきました。
自然と笑みがこぼれます。
「ふふふっ。そう、ですね」
「うん。いい笑顔だ」
たとえ、これが夢だとしてもいい。
これが、夢だと言うのなら、この夢の世界を楽しむだけです。
ありがとうございます、B先輩。
今度こそ。ちゃんと、笑えました。
新章始まりました!
今回の章は、シリアスに盛り沢山なると思います。書けるかな……。ちょっと、不安です。でも、頑張ります!
この章で、やっと約半分終了です。
中編って言っていたのに……。
長くなってしまいました。
これからも、よろしくお願いします!




