離さない。一生俺と一緒に生きていこう……?
お久しぶりです。
遅くなりすみません。m(_ _)m
しかも、長くてすみません。
過去最多の文字数になってしまいました。
※軽い残酷描写と言っていいのか分からないほどさらっと、描写があります。特に気にならないとは思いますが、苦手な方はお気を付けてください。
俺がこいつに薬を飲ませることになった、最初のきっかけはなんだっただろうか。
こいつの寝顔をぼんやりと眺めながら、ふと、俺は考えた。
あぁ、そうだ。
確か昨日の放課後に聞いた友人の話だったと思う。
昨日の放課後 〜主人公の誕生日当日〜
「……よう、健介。…途中まで一緒に帰ろうぜ」
「……? あ、ああ」
友人那谷夜が重い雰囲気を醸し出しながら近寄ってきた。
何でこんなに暗いんだ? お昼の焼きそばパンでも食べれなかったのだろうか。
それとも、食後のプリンが食べられなかったとか?
いや、何でもいい。兎に角、この重い雰囲気をどうにかしなければ。
「なあなあ、那谷夜ぁ〜」
「……ん?」
「チョコパフェ食べたい」
「……。…は?」
「いや、は? じゃなくて。チョコパフェ食べたいんだってば」
「うん、いや、だから?」
「買ってきて?」
「はぁ?」
「それにしても、那谷夜は格好いいなぁ。特に走ってチョコパフェを持っている姿なんか、もう、女子にとっては鼻血ものだな」
「嫌だよっ! お前は俺をパシリだとでも思ってんのか!! あと、急に誉めだすなっ! 下心まるわかりだ! そして、チョコパフェを持って走っているヤツの何処が鼻血ものなんだよ! 変だろ!? 走っている方も変だし、それを見て鼻血出している女子も変だ!! 変質者の塊じゃねぇか!」
「下心だぁ? んなこと思ってねぇよ。ただちょっと、機嫌が良くなって3キロさきのパフェ専門店で買ってきてくれないかな、ついでに、奢りで。と思ってただけだし」
「それを下心って言うんだろうがっ!! しかも。わざわざパフェ専門店かよ! すぐそこのコンビニで買えばいいだろ!?」
「嫌だよ。那谷夜、お前は分かってないな。そんじょそこらのパフェと比べんじゃねぇぞ。専門店なめんなよ! 口に入った時が一番美味しくなるように作ってあんだよ!! そこまで計算してあるんだ! 一度食べたら、もう他のパフェには戻れない凄まじい力が専門店にはあんだからな! 甲子園の魔物ならぬ、専門店の魔物だっ!」
「なめてねぇよ! 口にいれるまでを計算してあるなら、おれが買い出しに行って戻ってきている間にその美味しい時に味わえないだろ!? そもそもアイスクリームが溶けるぞ!! 溶けてドロンドロンのデロンデロンになるぞっ!?」
「なっ……」
「……ふぅ。疲れた」
「……な」
「……な? おい、健介?」
「……なっ、なにぃぃぃいいいいい!? くそっ! なら、俺はどうすればいいんだ!? 俺はどうしてもあそこのチョコパフェが食べたい! しかし、俺が食べる前に溶けてしまうだと!? ああ、神様! 俺はどうすればいいのでしょうか!! 俺はなにか悪いことをしましたかっ!?」
「いや、今からそこにお前が行けばいいだろ。何で、お前は買ってきてもらうことしか頭にないんだ」
「うわっ! お前天才!!」
「これだけで、天才なら全世界の人が偉人になれるな。お前がバカすぎるだけだから」
「バカ言うなっ! 俺はバカでも今はチョコパフェバカだ!」
「今はってなんだ、今はって。年中無休でトラブルを起こしているバカは今も明日も関係ねぇよ。あと、チョコパフェバカとか、新しい単語を作るな」
「むっ! 俺はトラブルなんて起こしていない。俺は皆が楽しくなれるようにだな」
「それが迷惑だって言ってんだよ!! お前の幼馴染みの女の子も迷惑がってるだろ!?」
「何だと!? 全然迷惑がって何かいない! むしろ喜んでいる!!」
「お前の目は節穴か!? 月のクレーターよりも大きな穴が開いてんのか!?」
「なんだと!?」
「……ふっ。ははっ! あははは!!」
急に笑いだしやがった。こわっ! あまり近づかないようにしよう。変質が移ってしまう。
じゃなくて、ふむふむ、よし。やっと笑ったな。これで少しは暗い雰囲気はなくなっただろう。にしても、チョコパフェが食べたいという俺の願望だけで場が明るくなるなんて。チョコパフェの影響は巨大だな。チョコパフェ様々だ。
そして、俺の目が節穴だと?
失礼な! あいつはすごく楽しそうな顔をして(ただ単にひきつっているだけです)俺の案の欠点を指摘し、より良いものになるように試行錯誤してくれているのに(精一杯その案をなくそうとしているだけです。良くしようなどとは1ミリ、いえ、1ミクロンほども考えておりません)。
お前の目の方が節穴だ。
「……健介」
「ん?」
「……おれの幼馴染みが、さ。いなくなったんだ」
那谷夜が今までの雰囲気を一変し、唐突に言ってきた。
やっと雰囲気が明るくなってきたのに。何でわざわざ空気を重くする。迷惑だ。俺の頑張りを返せ。
それにしても。
「幼馴染み? お前、そんなのいたのか? 俺今まで見たことないんだけど」
「あぁ、半年前から不登校だからな。それに、おれらの1つ下だから。知らなくて当然だろ」
「俺らの1つ下……。あいつらと一緒か」
「あいつら? あ、お前の幼馴染みたちか。そうだな、そういえば、同い年だった」
「それで?」
「おれ、多分いなくなった原因は幼馴染みの兄だと思うんだ」
「兄?」
「ああ、両親が一年前に亡くなって、それから幼馴染みの兄は妹に対して接し方が変わっていった。両親が亡くなられた最初のころは兄に何処に行くのかを伝えていればよかったんだが……。三ヶ月後にはどんなに早くても兄の送り迎えが必要になった。今から半年前からは兄と一緒じゃないと外に出ることを許してもらえなくなり、二ヶ月前には家から出ることすらも許されなくなった。でも、外から兄がいるときだけはおれも幼馴染みに会うことが出来ていたんだが……」
そこで、一旦那谷夜は話を区切った。なんだか、苦虫を噛んでしまったような顔をしている。この表情から、那谷夜がどれ程その幼馴染みを大切にしていたかが伝わってくる。
那谷夜は大きく息を吸うとまた話を進める。
「一週間前から会うことが禁止になったんだ。そして、昨日……。行方不明になっていた。幼馴染みの兄と一緒にな……」
「……ただの家出ってわけじゃないのか?」
「兄もつれてか?」
「……。じゃあ、夜逃げ」
「兄は小説家なんだ。お金ならたくさんある」
「小説家? そんなの、売れてないとお金入んないだろ」
「白梁キリヤって名前で小説を書いてる」
「白梁キリヤぁぁぁ!?」
「あぁ」
「書いた四作すべてがベストセラーに入っている超人気作家じゃん! おれ、小説は全然読まないんだけど、その人が書いて映画になった二作目を見てからその人のファンなんだよ!!」
「お前でも知っているとは……。あの人も有名になったな。で、話を戻すけど」
「えー。もっと白梁キリヤの話しようぜ!」
「いいから聞けって。おれからのアドバイスなんだから」
「アドバイス?」
「……あぁ」
那谷夜は真剣な表情で語り始める。
俺は、その雰囲気に呑まれ自然と表情を引き締めた。
「いいか、この世に絶対に変わらないものなんてない。
おれだって、おれたちは、ずっと一緒だと思ってた……。
でも、やはり、変わらないものなんてなかったんだ。
それが何であっても、どれだけ小さい変化でも、日々微々たるものだけと変化していく。
どんなにそれを拒んでいても……。
どんなに強く、目と耳を塞いでいても、な…」
「……分かった。アドバイスありがとな。……ところで、お前の幼馴染みの名前は何て言うんだ?」
「ん? 言ってなかったか? 鳫城遥っていうんだけど」
「鳫城遥ぁぁぁ!? 今、学校で1、2を争う美人じゃねぇか! 半年前から学校に来ていないって、噂が流れていたけど、そう言う理由だったんだ」
「お前、さっきから叫んでばっかだな」
「うらせぇよ。鳫城遥か。鳫城には俺も会ったことがある」
「そうなのか?」
「俺の幼馴染みの親友なんだよ」
「そうだったのか! 知らなかった」
「……なあ、その、なんだ」
「?」
「早く、見つかるといいな」
「! ああ! ありがとう!!」
そこで俺たちは別れた。
そして、俺は幼馴染みの家に向かう。その日は幼馴染みの誕生日だからだ。
着いた最初は、話のことなんて忘れていた。でも、あいつが幼馴染みにちょっかいを出しているのを見て、胸がモヤモヤしたんだ。
きっと、別れる前に親友が言ったことを思い出したからだと思う。
「……どうして、それを俺に言うんだ?」
「……おれと同じ感じがしたから」
「?」
「お前、幼馴染みのことが好きだろ」
「っ!!」
「ほら、図星だな。いいか、いつ何が起こるか分からないんだ。だから、気付いたらちゃんと行動しろよ。おれの二の舞にならないように」
「……」
変わらないのもなどない。
確かにそうかもしれない。
幼馴染みの双子の弟、天羽の先輩だとかいうあいつに、クラスメートの梔子大樹が加わり、俺たちの関係も確実に変化しているからだ。
そう思ったとたん、急激に怖くなったんだ。こいつも鳫城と同じように、俺から離れていくかもしれない。
そう考えただけでも、胸が張り裂けるようだった。
―― ンギャァァァーーーーーァァッ!!
幼馴染みの叫び声が聞こえた。
それは、空耳だったのかもしれない。だが、それを聞いて俺は現実に戻ってきた。
今はあいつが幼馴染みをお姫様抱っこで、何処かに連れていこうとしているところだった。
それを見て、親友の話が全てフラッシュバックする。
幼馴染みもあいつと何処かに行って、俺と会えなくなるのか?
俺の前からいなくなる?
いやだ。いやだいやだいやだっ!
そんなこと、絶対にさせないッ!!
「おい、嫌がってるだろ、離せよ」
自分でも驚くくらい、低いドスの効いた声が出た。
「おや、戻ってきたんだ。んー、この場合は…おはよう、かな」
なんだ、こいつは。俺の今の心境が読めているのか?
「ああ、お前のおかげで俺がするべきことを自覚することが出来た、お礼を言うべきか?」
「お礼なんて要らないよ。俺はただ、俺が楽しめたら良いだけだから」
嫌味も綺麗にスルーされた。
ムカつく。
「そうか。なら、離してくれないか?」
「そうだねー。君に自覚させたあとの反応が見たかったわけだから、うん。離すよ」
結局、こいつは何がしたかったんだ?
でも、こいつが危ないヤツだということは分かった。
さっさと、行動に移そう。幼馴染みがいなくなる前に。
幼馴染みが解放せれ、俺にお礼がしたいと言ってきた。
お礼か……。まずは、幼馴染みに俺のこの気持ちを伝えないとだよな。
だから……
「今からデートしよう」
デートに誘って、今日伝えよう。
なのに、幼馴染みは――
「ごめん、行けない。さすがに、この時間に外に出るのは危ないと思うの」
――拒否した……。
「ちゃんと、家まで送るぞ?」
「うん…。それでも、行けない。ごめんね」
こいつも、俺から離れようとしているのか?
俺はこいつは半強制的に俺から離れようとしていると思ってた。
でも、こいつは自分から俺から離れようとしていたのだ。
――させない。
俺の中のどす黒い感情に火がついた。
俺から離れようとするなら、どんなことをしてでも俺はお前を捕まえる。
喩え法に触れるようなことをしてでも。
さっそく、俺は次の日、薬を容れたペットボトルを持って幼馴染みを待った。
声を掛けた途端凄い剣幕で睨まれた時は、驚いたし、ペットボトルを渡して怪訝そうな顔をしてペットボトルを睨んでいるのを見たときは、俺がしようとしていることがばれているのかと焦ってしまった。そんな簡単にばれるわけがないのにな。身近なやつが自分に薬を飲ませようとしているなんて、やっぱり普通は考えないよな。
「なんだよ、言っとくけど、今日それに口付けてないからな? 俺、今日は2つ持ってきてるから」
嘘はついていない。俺が薬を飲んでしまったら意味がないからな。
「そうなんだ。なら、頂こうかな」
「それがわかったとたんもらうとか、俺傷つくんだけど」
「そっか。なら、もっと傷つけばいいよ」
「俺、マジでお前怒るぞ、ほんと」
「それは、勘弁してください」
「はあ、ほら。さっさと飲め」
「うん」
こうして、俺は幼馴染みが薬を飲んだ。それを見た瞬間、笑みを堪えることができなかったようだ。
俺の顔を見た幼馴染みはすごく驚いた顔をして、俺の方に倒れてきたからな。
きっととても黒い笑みを浮かべていたのだろう。
これでもうお前は俺から離れられない。
お前を捕まえておく鳥籠は既に準備ができている。
金なら腐るほどあるからな。こいつを閉じ込めておけるなら、親のあともついでやる。
使えるものなら何だって使ってやるさ。
さあ、これで準備は全て整った。
お前が欲しいものなら何だって捧げよう。
寂しいと言うのなら、俺の左腕を切り落として側においてもいい。
俺のことを嫌いになってくれても構わない。
だが、お前が俺から離れることだけは許さない。
お前は一生、俺と一緒に居るんだ。
もう、絶対に離さないから……。
あぁ、俺の可愛い可愛い小鳥。
俺と一緒に生きよう……?
今度は拒否は、認めないから――
次回はAさんの人物紹介です。
読まなくても支障はありません。
※誤字脱字等ありましたら、お知らせください。




