花束 エピローグ
桜の誕生日。俺は式場である人を待っていた。
式場ではワールドカップで活躍した超人気選手が来ているらしいと噂になっていた。優斗だとすぐわかった。
あいつは宣言通りワールドカップで活躍し、注目ではなく人気のプレイヤーになった。結果、日本初の快挙を成し遂げたそうだ。
一応主役は俺のはずなのに、あいつの話題で持ちきりである。少し不満だったが、すぐにそんな感情は消えていく。真の主役の登場である。
目の前に白いウェディングドレスを着た女性が来た。俺は目の前にいる女性のベールをめくった。そこには凜がいた。凜は高校生の時のように黒髪のボブヘアーになっていた。俺が「桜の真似をせずに、ありのままの凛でいてほしい」と伝えたからだ。
今は2人で凜の花屋を営んでいる。街中では人気の花屋になっていた。
俺は只野ではなく花野へと姓を変えた。婿入りしたのだ。凜のご両親は快く受け入れてくれた。
うちの両親も「あんたの自由だ」と言って受け入れてくれた。
こういっちゃなんだが、凡人から花の人に変わったかのようだ。
俺は桜が買ってくれた指輪を、凜は俺が買った指輪を付けている。桜とも一緒に歩んでいく。そう2人で決めたからだ。
神父が「永遠の愛を誓いますか?」と尋ねる。
俺は桜のことを想った。桜は俺に人生の彩をくれた。始まりは教室の窓越しに見つめ合ったのがきっかけだ。今でも桜のことは好きだ。
俺は凛のことを想った。凛は俺に人生の楽しさ教えてくれた。色々葛藤したが、俺は凜が大好きだ。
桜への気持ちが少しずつ薄れていくのがわかった。好きなのは変わらない。忘れたわけではない。だが、桜が消えるわけではない。薄れていくその分だけ凜を好きになる。
俺は2人のことを想いながら神父に伝えた。
「誓います」と。