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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第99話 アヴァロン大迷宮攻防戦(三人称視点)




(三人称視点)


「恐れていた事が現実になってしまったな」


 地上に開いた大穴……アヴァロン大迷宮の出入り口から、蟻の如く魔物が溢れ出している。

 既にダンジョンブレイクの衝撃で、地盤はひっくり返り高密度の魔力が充満していた。

 並の人間は近づけず、戦車やドローン兵器による攻撃も物量に押しつぶされる。

 明らかな劣勢。その様子を、アルベルト・ウィリアムズは静かに受け止めた。


「『Dreamers(ドリーマーズ)』も、これより戦線に出る。幸い今出てきている魔物は、上層から中層クラスの魔物ばかりだ。……下層クラスの魔物が出てくる前に、可能な限り魔物の軍勢を押し返す」


 彼ら『Dreamers』の役割は、時間稼ぎ。

 国家存亡を賭けたこの戦いにおいて、彼らがどれ程の猶予を稼げるか。そして、ダンジョンブレイクの原因を探りだし、解決することができるかどうか。


 ……ダンジョンブレイクの兆候自体は、前々から起きてはいた。

 魔物の遭遇率の異常低下。ダンジョン内の魔力密度の急上昇。

 この世界線において、ダンジョンブレイクの原因は殆ど明らかになっていないが、それでも人類は対策を講じてきた。その為の調査と、十分な兵力を用意した。

しかし。


(恐らく、私たちだけでは抑えきれない……この戦い、過去最悪の大災害と化すかもしれないね)


 アルベルト率いる『Dreamers』の面々も、その事実は薄々察していた。それぞれが悲壮な決意を表情に浮かべてている。

 なにせアヴァロン大迷宮は彼らのホームグラウンドだったのだ。その魔物の脅威は、誰よりも知っている。


(とはいえ、それは私たちが戦いを放棄する理由にはならない。……僅かでも可能性が残されているならば、命を賭してそれを守り抜くのが僕らの務め。

守り切ってみせる。この祖国を)



 ……そして、戦いが始まる。

 魔物、探索者、無人兵器。魔と血と火薬の匂いが混じり合い、イギリスの国土は凄惨な戦場へと塗り替えられていく。


 渋谷ダンジョンで己の限界を知り、更なる修練を重ねたアルベルト達の前に、アヴァロン大迷宮の魔物は次々と塵と化していった。


「『光の剣(ソード・オブ・レイ)』」


 アルベルトの持つスキル、【無双剣域ソード・オブ・ドリーム】。

 自身の想像を具現化するという強力無比なスキルだが、その分扱いは難しい。

 故に彼は、自らを『騎士』というイメージで固める事で、想像をより強固に、鮮明にして具現化させている。剣にまつわる攻撃技が多いのも、それが理由だ。


 加えて彼は今、祖国を守る為に戦っているという、己が思い描く『騎士』のイメージに合致したシチュエーションの真っ只中にいる。

 戦士にとって、それは決して無視できない要素だ。

 自らの最大戦力(ベストパフォーマンス)を発揮するためには、十分な集中力が必要になる。それを引き出す要因の一つが、シチュエーションだ。

 彼は今、故郷を背負って戦うことで、人生最大の集中力、そして戦闘力を引き出していた。


(これほどの死地、そして集中力。あの渋谷ダンジョン以来だろうか。

……時間が遅く感じる(・・・・・・・・)。今まさに私は、新たな境地へと足を踏み入れつつある。普段なら、喜ぶべきことなのだろうが)


 アルベルトの動きと、剣術のキレが増していく。

 しかし、魔物の軍勢はそれ以上の速度で、勢いを増していく。


(……私はともかく、他のメンバーの限界が近い。戦況はギリギリの所で拮抗した状態。誰か一人が崩れれれば、それを切っ掛けに一気に戦線は崩れるだろう)


 アルベルト一人では、この戦況を覆せない。彼はまだその域に至っていない。

 そして、ダンジョンブレイクの原因らしきものも、まだ見つけられていない。

 政府からも、吉報は届かない。


(……これ以上政府の指示は待てない。

一か八か。単騎でダンジョン内に突入し、原因を探し出し対処する。

指揮官のような存在がいれば話は早いのだが、こればかりはもう天に祈るしかないか……)




 ……その時。

 アルベルトの祈りが、天に届いたのか。




「お? アルベルトじゃん」




 突如、一人の男が上空より降り立った。

 気軽な様子で、彼はアルベルトに声を掛ける。

 それは、アルベルトのよく知る人物であった。


「奇遇だな、いやそういえばイギリスに住んでるんだったか? なら居てもおかしくないか。

……一応聞くけど、要る? 手助け」


Oh My God(神が現れた死んじゃう)


 サカガワトオルが、戦場に牙を剥く。


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