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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第84話 今度は東へ


 と言うわけでやってきました。日本探索者協会本部。

 東京のど真ん中に丸ごと一つ、デッカいビルを構えている。

 ダンジョン、探索者の管理、アイテムの換金など。こっちの世界じゃ、ダンジョンに関する事なら大体は、この探索者協会が管理しているらしい。


「わ、ほんとに一瞬で東京に戻ってきちゃいました。空間操作って地上でも使えるんですね?」

「これは俺のスキル【召喚術】を応用した技術だからね。時間操作と違って、ダンジョンの内外関係なく使えるよ」

「私が知ってる【召喚術】と違う……」


 やってる事は自分と他者の強制召喚みたいなもんである。

 【召喚術】を極めれば自ずと、空間に穴をあけたり拡張したり、繋げたりする感覚は誰だって身につく。


「持ち物検査とかないの?」

「今回はこちらで省略しておきました。大体トオルさん、別空間から何でも持って来れちゃうじゃないですか」

「まあ確かに。持ち物検査の意味もないな」


 ホムラちゃんの案内で、長い長いエレベーターを使って最上階へ。

 大層な扉の奥にあるその一室には、いかにもお偉いさんといった風体の男が、革張りの椅子に座っていた。


士道(しどう)理事。サカガワトオルさんをお連れしました」

「ご苦労。下がりたまえ」


 ホムラちゃんはそのまま後ろ、出入り口付近まで下がる。

 なるほど、目の前のシドウというおっさんが、ホムラちゃんの上司なんだな。


「――。本日はご足労頂き、ありがとうございます。私は日本探索者協会の理事を務めております、士道大元(しどうだいげん)と申します」

「ご丁寧にどうも。サカガワトオルです」

「は、初めまして……シラユキヒョウカです」


 (うなが)されて、こちらも高級そうな革張りの椅子に座って対面する。

 おお、やっぱ高級な椅子は座り心地も格別だなあ。うちにも一つ用意してみようかな?


「旅行中とも伺っておりますし、単刀直入にお伝えします。我が探索者協会に正式に加入するおつもりはありませんか?」

「ないです」

「そ、即答なんだ……」


 探索者になるということは、目の前の男、シドウの実質的な配下になることを意味する。

 それは凄くめんどくさい。そしてそれを許容できるほどのメリットが現状ない。


「そうでしょうね。ダメ元で聞いてみただけです。その上で今回お伝えしたかったのは、サカガワさんに対する探索者協会の対応、いわばスタンスについてです」

「うん」

「ハッキリ申し上げますと、今の貴方は我が国の法に抵触している可能性が高い。主な内容としては、ダンジョンへの無断侵入、飲食店の許可なき営業、それを配信する行為が該当します」

「そうかもね」

「ですが現状、貴方を拘束する事はできない。別世界からの来訪者に我が国の法をそのまま当てはめても良いのか、という問題点と……そもそも物理的に拘束することがほぼ不可能であるためです」


 ああ、一応法律に当てはめていいのかどうかは議論してくれてたんだ。


「以上の点を踏まえて、改めて探索者協会のスタンスをお伝えしますと――『黙って目を逸らす』という形になります。いわば黙認です。もちろん非公認ですが」

「へえ」

「失礼ながら、貴方の今までの行動は逐一監視をしておりました。その結果、我々人類に敵対するような意図は見られないというのが、()の見解です。故に明確な敵対行動を起こさない以上、我々(・・)は黙って見過ごすというスタンスをとることにしました」

「……ん?」


 ちょっと今、気になるワードがあったな。


「我々って言ったけど、それは会議とかで正式に決めた内容なのか? それともシドウさん個人が決めたことなのか?」

「私を含め、協会の理事以上の役職の者が会議で決めたものです。……ただ」

「全会一致ではなかったと」

「話が早くて助かります。協会の内部には、この黙認というスタンスに未だ否定的な者がいます」


 目の前のシドウという男性は、まあ比較的マシ(・・)な人に見える。

 しかしこの間の、アルベルト達がダンジョンに来た時。俺を都合の良い安全装置のように扱った協会のスタンスと、シドウさんが語るスタンスは大きくズレているように見える。

 要するに、協会も一枚岩ではないという事か。

 ……ああ、なるほど。


「協会の一部の連中が出しゃばってなにかしてくるかもしれないから、警告するためにこの面会を?」

「正直に申し上げれば、それも理由の一つではあります。協会だけではありません。恥ずかしながら、日本政府でも貴方の処遇と利益を巡って、水面下で争いが起きているのが現状です。そうした連中からの干渉も、ないとは言い切れません。……貴方ほどの実力者であれば、障害にはなり得ないかとは思いますが」

「仮にそうした連中が暴走しても協会の総意ではないから敵対しないでね、って事?」

「…………」


 その沈黙を肯定と、俺は捉えた。

 まあ、この世界の人間にとっては俺は、金脈か何かに見えているんだろうな。

 それをわざわざ手放すなんて勿体無いと、法という力を盾に俺から利益を吸い上げようとしている。

 うーんまあ、大体予想通りの展開になったなあ。




「じゃあ、俺のスタンスというか、今後の方針を伝えたいんだけど」

「お伺いします」

「今からお食事コラボ配信しない? ちょうど美味しいメロンがあるんだけど」

「えっすみません何の話ですか」


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