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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第82話 行き当たりばったりの北海道旅行



 正直適当に歩いたらダンジョンくらい見つかると思ってました。

 認めよう。俺は北海道の大自然に敗北したのだと。

 だから素直にスマホ使います。科学の力サイコー。


「なんで最初からスマホで調べなかったの……?」

「スマホ無しでも余裕だろって思ってました。あとスマホの通信容量が少ないからあんまり使いたくない」


 いつもダンジョンに篭り切りでWi-Fiしか使ってないから、通信容量が少ない料金プランにしていたのが仇となった。

 とりあえずダンジョンの位置を特定して、幾度かの転移の末ようやく到着。

 着いたのは『夕張第二ダンジョン』。元々炭鉱だった所にできたダンジョンらしい。

 ちなみに名前の通り、市内に幾つかダンジョンがある模様。やっぱ北海道って面積が広いから、そういう事もあるのかね? 


「さて、とりあえず聞き込み調査かな? ネットだとメロン栽培の話はなぜか出てこなかったし、現地の探索者や受付の人に聞けばわかるかもしれん」

「ネットで調べても出てこないって……そもそもダンジョンでメロンを栽培してるって話、本当なのかしら」


 シラユキちゃんとそんなやり取りをしつつも、近くの人に片っ端から声を掛けてみる。


「……え? 店長? あの店長じゃん!? マジ本物!??」

「握手して握手! やば、超有名人とバッタリ出くわしちゃった」

「新婚旅行ですか?」

「もしもし探索者協会? 例の店長、なぜか渋谷から夕張に来てます」

「メロン栽培? う〜ん、この辺じゃ聞いた事ないな。確かに夕張第二は魔物も少ないし、栽培にはうってつけかもしれないけど……」


 ……そんな感じで、しばらく聞き込みをしてみたが、有益な情報は得られなかった。


「ううむ、情報がここまで出回らないもんなのか? 現地なら多少は話題になってると思ったんだけど。それともダンジョン自体間違えた?」

「そもそも、あのお客さんの言ってた内容は本当なのかしら? 現状、情報源はあのお客さんの話だけよね」

「あのダンディーなお客さんは、嘘をつくような人には見えなかったけどなぁ……」


 よし、一回潜ってみるか。

 実際に目にすればなにか分かることがあるかもしれない。どうせ大した時間も掛からないだろうし。



 夕張第二ダンジョンの魔物の数はそれほど多くない。

 炭鉱に入り口があるにも関わらず、ダンジョン内部には草木が生い茂り肥沃な土地が広がっている。

 ここにくる探索者は、主に自生する植物系アイテム目当てで来ているらしい。


 で。ダンジョンに入るといきなり違和感を感じた。

 催眠術に近いかな? 広範囲に渡って他人の記憶を改竄したり、人を寄せ付けないようにする何らかの能力。

 どうやらいきなり当たりを引いたらしい。


「!? △◯&☆、$#ーー」


 怪しいところに転移したらなんか怪しいモンスターが居たので、とりあえず三枚に下ろした。

 てか今のユニークモンスターだったな、アイテムドロップ無いし。


「人間っぽい謎の存在が襲ってきたと思ったら、一瞬で斬り伏せられて消えちゃった……」

「大丈夫だよシラユキちゃん。見た目は人型だけど全然違う生き物だから。襲ってきたら斬ってもセーフ」


 なんでこいつらがこんな所にいるんだろうなー? と思いつつ周囲を詳しく探ってみると、ビニールハウスらしき建物を発見。

 中には栽培された大量のメロンと、研究員と思わしき人達がなんか植物っぽいものに捕まっていた。


「この人たちは人間、よね? し、死んでるの……?」

「いや生きてる。気絶してるだけみたいだ」


 周囲の様子を見る限り、幸い犠牲者はいないようだった。




「わ、私たちも訳がわからなくて……いきなりあの連中がやって来て、この栽培施設をめちゃくちゃに荒らし始めたんです!」


 しばらくして意識を取り戻した研究員さんに話を聞いてみると、さっきのユニークモンスターが犯人らしい。

 食べれない、アイテムドロップしない、メロンをダメにする。

 うーん、生かす理由無し! 特に三番目。貴重な食材をダメにする害獣は駆除しましょうね〜


 という訳で残党も探し出してさっくり処理しました。どうせ言葉とかも通じないし。

 そうして俺たちは本来の目的である、伝説のダンジョン栽培メロンに辿り着く事ができたのであった。やったぜ。


「ねえこれ、もしかして大事件なんじゃないの? こんな雑に終わらせていい話なの? これ」

「そんな事よりメロンだメロン! ダンジョン産の夕張メロンとやらを早く実食したい!!」

「あ、ダメだこの人食材の事しか考えてない」



 結論としては、ダンジョンで栽培されているという夕張メロンは実在した。

 しかしまだまだ研究段階で、一般に流通している訳では無いらしい。残念。

 たぶんあのお客さんも、研究段階の話を噂に聞いただけなんだろうな。


 それに今回のユニークモンスターの襲撃で、魔物がいない安全地帯という前提がひっくり返されてしまったので、研究は一旦停止になるかもしれないという。

 本当に迷惑な奴らだ。また今度あいつらの棲家を焼き払いに行こうと思う。


「助けて頂いてありがとうございます! あのままだったら私たち、一体どうなっていたか……」


 しかし収穫はあった。

 お礼と一緒に、なんと無事だった夕張メロンの幾つかを頂く事ができたのだ。

 やったぜ!!


「おぉ……ずっしり、まんまる、甘い匂い。間違いなくこれは上玉メロン……!!」

「これ、明らかに普通の襲撃じゃないわよね……何かを隠滅しようと(・・・・・・・・・)している(・・・・)ような、そんな雰囲気があったのだけれど」

「さあさっそく食べようかシラユキちゃん! 俺もダンジョン産のメロンとか初めて食べるから楽しみだなあ!! うひょぉおぉ!!!」

「はいはい。続きは食べてからにしましょうか」


 ん~そうだな、せっかくのどかな風景のダンジョンなんだし、ピクニック気分で外で食べるのもアリか。

 そんな訳で亜空間からテーブルセットと調理器具を取り出して、いざ実食。

 メロンを使った料理もいずれ試したいけど、やっぱり最初は生だよね!


「わ、すごく鮮やかなオレンジ色。それに甘くていい香り」

「凄げぇめちゃくちゃ美味しそう。味も魔力も情報もみっちり詰まってやがる。ダンジョンで育てるだけでこんなに変わるもんなのか?」

「美味しそうなメロンですね、私も一切れいいですか?」

「もちろんいいよホムラちゃん。こんな美味しいメロン、俺達で二人占めするのはもったいないからね~」




「「えっ」」

「あはは、探しましたよお二人さん。――探索者協会から呼び出しがかかってますよ?」


 にっこり笑顔のホムラちゃんの表情が、今は何だか怖かった。



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