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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第4章 未知の世界からのお客様

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第59話 幼女二人を尋問してみた


「結論から言うと、さっきのは俺に向けて行われた攻撃です」


 配信を中断し、止まり木亭まで戻ってきたあと、二人に向けて俺は説明を始めた。

 あの後百匹近いカイザーコカトリスが現れたが、まあ所詮ニワトリなので大した障害ではなかった。

 しかしお食事タイムを邪魔した罪は重い。シラユキちゃんとも今後の経営について話し合いをしたかったのに。誰かは知らんが許せん。


「ネットを見る限り、他のエリアでは特に魔物の大量沸きなんて事態は発生してない。つまり俺の所を狙ってピンポイントで、誰かが意図的に発生させた。……うわ味薄っ」


 もしかしてと思ったが、大量沸きした皇帝の肉はほとんど味がしなかった。

 生まれてすぐ殺したから、生存時間が少ない。つまり、その個体が持つ経験値……情報量は少ないって事だからな。

 情報量が少ない個体は弱い分、ドロップ品の質も低い。定点狩り、リスキルがあまり効率的ではないのもこれが理由だ。

 やはり食材とは、長い時間を掛けて成熟させたものでなければならない。


「鶏肉を生で食べてる……」

「ドロップ品だから綺麗だし、細菌とかはついてないよ。……で、話を戻すけど。ぶっちゃけ犯人の正体とか、理由とか仕組みとかはまだ分かりません。なので、今から事情を知ってそうな人に尋ねてみたいと思います」


 そして俺は亜空間に保存しておいた、二匹の魔王種を取り出した。

 片方は黒髪の幼女。もう片方は緑髪の幼女だ。

 時間停止を解除すると、標本のように動かなかった二人はジタバタと暴れ出した。


「――!!? わ、わああぁぁあああ!!!??」

「こらこら、暴れるな暴れるな」

「ヒエッ」


 とりあえず刀を取り出して黙らせた。こういう時は凶器を使うに限る。

 ……あれ? なんかシラユキちゃんドン引きしてる??


「シラユキちゃん? なんでそんな後ずさりしてるの?」

「て、店長がおかしな人だって事は薄々分かってたけど、ここまでだなんて……ごめん、ちょっとついていけない」

「……トオルさん、その二人――いや二匹、魔物ですよね?」


 おお、流石にホムラちゃんはこの幼女モドキの正体に気づいたようだ。


「うん。こいつは【魔王種】って言ってね。魔物の王と書いて魔王。ちょっと特別な魔物なんだ。人間じゃなくて魔物だからセーフ。だからシラユキちゃんも安心してほしい。あ、強さの方も別に大した事ないよ?」

「私の感覚が正しければ、シャドウマスターの何倍も強そうに見えるんですが……」

「それはシャドウマスターが弱すぎるんだよ」


 深層に行けばもっと強いのがゴロゴロ居るからね。

 もう半分くらいユニークモンスターだったりするし。


「ま、魔物……? ぱっと見人間の幼女にしか見えないけど……」

「まあ、慣れてない人だと区別は難しいかもね。見た目はほとんど人間と同じだ。けど情報量が圧倒的に違う。こんな見た目だけどコイツら、多分数百年は生きてるよ」


 魔王種は数百年単位で生存する奴もざらにいる。

 つまり食べると美味しい……! この二人が食用に適さない人間型であるのが、本当に悔やまれる。


「な、なんじゃ貴様ら! 儂等を捕まえてどうするつもりじゃ!?」

「ちょっと聞きたいことがあってねー。君ら深層から来たんでしょ?」


 俺は普段、シャドウマスターの居住空間を利用して、下層と深層を繋ぐ穴を塞いでいる。

 しかし別件(・・)で、深層の現状について確認する必要が生まれたため、情報を知ってそうな魔物を誘い出すために結界をあえて解除しておいたのだ。

 そして釣られたのがこの二匹である。


「最近深層で、何かおかしな事とかなかった? 例えば魔王種同士の争いが不自然に激化したとか、新参の魔王種が現れたとか、別の世界線から何か流れ着いたとか」

「し、知らんわっ! 知ってても人間如きに話す事など何もない!!」

「あっそ。じゃあいいわ」


 情報も吐かず食糧にもならない魔物などに用はないので、さくっと処理。

 ――しようとしたが。


「ま、待ってください! 話します!!」


 もう片方、緑髪の幼女は話が通じるタイプのようだった。


「私の知ってる事なら何でも話します。だからアルちゃんに、手を出さないでください……!」

「レ、レヴィ!? 何を言っとるんじゃ! 人間なんぞに媚びを売るなど――」

「アルちゃん現実を見て!? この人私たちよりずっと強いよ、私たちがすぐ捕まっちゃうくらいには。アルちゃん今も殺されそうになってたんだよ!? もう媚びを売るとかどうこう言ってる場合じゃないの!」


 おお、仲睦まじい光景。これで魔物じゃなきゃ美談だったんだが。

 緑髪……レヴィと言ったか。こっちの方が賢そうだな。最初はオドオドしたタイプかと思ったが、窮地に陥るとしっかりするタイプだろうか。

 対してアルとかいう黒髪の方はおバカさんだな。プライドばっかりが先行して現状が見えていない、魔王種の典型的な性格だ。


「んじゃそっちの緑の奴に質問。深層で何があったの?」

「……、その、貴方は深層が本来どんな場所なのか、ご存知ですか?」

「うん」


 ……丁度いいや。

 ホムラちゃんもシラユキちゃんも深層について知らないだろうし、軽く説明しておこう。

 自体を把握しておく為には、事前知識が必要だ。


「深層は特殊な空間だ。下層と深層を繋ぐ穴を(くぐ)らなければ、出入りはできない。それは俺も例外ではない。直接深層と下層を、転移(テレポート)で行き来することはできないんだ」

「そ、そうなんですか?」

「もう完全に異世界と考えたほうがいい。そしてそれが、今回の問題に関わってくる。俺が見る限り、上層から下層までの間に皇帝を大量出現させられるような存在は感じ取れなかった。つまり、消去法で犯人は深層に居る可能性が高い」


 この間シラユキちゃんが転移してきた時、パトロールもしたしね。

 加えて、俺は深層の現在の状況を知らない。それは今から話す、二つ目の性質が関わってくる。


「もう一つ、深層は地上と(・・・・・・)時間の流れが違う(・・・・・・・・)。深層で過ごした一分が地上の一時間になったり、逆になったり。下層までと比べて、全然時間の流れが安定してないんだよ」


 俺が深層に入りたがらないのもこれが主な理由だ。

 深層で一時間くらいお散歩してたら一年経ってました! なんて事態は避けたい。

 店主が店を長期間留守にするだなんて、まるで意味わかんないからね。


「普通は時空間の歪みとかなら俺も探知できるんだけど、深層は時間の流れが元からめちゃくちゃで、外側からじゃ俺も感知できないんだよね。元々何かを探すのとか苦手だし」

「……それで、事情を知ってそうな深層の魔物を、どうにかして捕まえてきたって事……?」

「理解が早いねシラユキちゃん。だからそろそろ戻ってきて??」


 さっきからシラユキちゃんは距離を取りっぱなしである。

 そんなに魔王種が苦手なのか……? でもこの間、泣きながらタコの魔王種食べてたよな。


「で、深層には更にこいつらみたいな魔王種っていう魔物が沢山いる。そいつらは常に領土争い(・・・・)をしてる。まるで日本統一を目指す戦国時代の武将みたいに、深層の完全支配を目論んでるんだ……ここまでは合ってるよね?」

「は、はい。トオルさん……の言うとおり、それが深層の日常でした(・・・)


 レヴィという魔物に現状確認をする……ん? でした?




「少し前の事です。ある魔王種が領土争いに覇を唱えんと、一気に領土拡大に乗り出したんです。間も無く深層の統一が、果たされようとしています。……私たち二人はその領土争いに敗れ逃げ落ちた、敗軍の将なんです」



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