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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第4章 未知の世界からのお客様

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第57話 久々に食材調達の配信を


「――はいこんばんは。『止まり木亭』店主、逆川透です。」


:なんか始まった!?

:久々に店長の顔見た気がする

:おつー

:ん? 店の中じゃないな


 XX(ペケペケ)で告知して間もないというにも関わらず、既に万単位のリスナーが待機してくれていた。

 それだけ俺のチャンネルが注目を浴びているのか、はたまたコラボ相手(・・・・・)への注目なのか。まあどちらでも構わないが。


「コメントでお察しの方もいますが、現在渋谷ダンジョンの下層6階に来ております。下層をあちこち徘徊する、とある魔物を探していたからですねー」


 そしてドローンを操作すれば、画面に巨大な鶏の姿が映る。

 本日のお目当て(ご馳走)、カイザーコカトリスだ。


:うおデッカ!?

:デッッッッッッッ

:ニワトリ!? 一軒家くらいの大きさあるけど!?

:これコカトリス種では? 下層にこんな魔物いるのか


「うん。下層の中ボス、カイザーコカトリス。今日はこいつをぶっ倒して食材調達するところを配信してみよう、っていう趣旨です」

「――そして、今回はトオルさんではなく、私が戦います! 皆さんお久しぶりです、ホムラアカリです!」


 横から割り込むように、カメラに映り込むホムラちゃん。

 その途端、コメント欄の流れが一気に加速した。


:ホムラちゃんだ!!

:久しぶり! 会いたかったよ!!

:きたああああああ

:マジでコラボしてんじゃん!?

:生きてたみたいで何より


 ――そういえば最近、食材調達の場面配信してなかったな、と思ったのが一つ。

 どうせ食材調達するのなら、配信してドロップ率を上げた方がいい、と考えたのが一つ。

 そしてホムラちゃんの目的が協会への報告だというのなら、録画よりも配信の方が信憑性が高いんじゃないかと思ったのが一つ。

 そして、リスナーにシラユキちゃんを紹介しておきたかったというのが一つ。


 以上の理由により、突発コラボ配信を提案するに至った、という経緯である。


「ご心配をお掛けしました……実は武者修行のために、渋谷ダンジョンに籠って修行をしてまして。その間、集中するためにいわゆる“ネット断ち”をしてたんです」


:修行!?

:ネット断ちって本格的だな。俺も受験勉強の時はやってたわ

:まさか渋谷ダンジョンにずっといたの……? 流石に数日だけとかだよな?

:ダンジョンで暮らすとか流石にないよ。店長じゃないんだから。


「今俺のことさりげなくディスった?」

「あはは……実は、殆ど地上には帰ってませんでした。探索者協会にも報告していなかったので、『現状報告くらいしろ』って怒られちゃいまして……」


:草

:えぇ……

:なんでやねん

:報告忘れてダンジョン探索とか子供かな??

:最低限で良いから報連相はしてくれ、俺らも心配してたから


 日本が誇る最年少Aランク探索者が、長らく音信不通。

 うん、確かに何かあったと思われても不思議じゃないな。手巻き寿司パーティーの後、クライさんに多分怒られたんだろう。

 修行に夢中になるのはいいが、せめて報告はしとくべきだよホムラちゃん。


「ご、ごめんなさい……皆さんにも心配をお掛けしました。なので、今回ご報告も兼ねて、突発ですが配信をやろうという流れになった訳です。その際に、トオルさんにもご協力いただく事になりました」

「本日カメラマンのサカガワでーす」


:ん……?

:店長がカメラマン?

:待って? ホムラちゃんが現状報告するのは分かったが、なんで店長が関わってくる?

:俺らの知らない間に店長との間に何かが……?


 まあ当然疑問に思うわな。

 ホムラちゃんにも許可を貰ってるし、事前に考えていた内容を説明する。


「ホムラちゃん、実はうちの店に来てくれたんだよ。しかも自力で。まあぶっちゃけると、配信外の所で何度か交流がありますね」


:え

:やっぱりか

:ホムラちゃん一人で来店したってマジ? めっちゃ強くなってるのでは?

:ユニコーン共息してるー?

:まあ、前から店長との関係は噂されてたよな……


「その流れでコラボ配信やろっかーって話になりまして。配信するとなると、ドローンを守りながら戦わなくちゃいけないからね。そこを俺が担当する事になりました。……あと、もう一つ理由が」


 そしてカメラを回せば、俺の背に隠れるようにして立つシラユキちゃんの姿が。


「実はうちの店に、新しいスタッフが加わる事になりまして。皆さんにその紹介もしときたかったんです」


:なんだと!?

:うわかわいい

:女の子だ!

:あ! こないだ映ってた美少女!

:ホムラちゃんだけに飽き足らずまた美少女を……!?

:両手に華じゃん


「シラユキちゃん、カメラ映ってるよー、隠れてないで出ておいでー」

「な、なんでそんな平然としてるの……? あれ中ボスなんでしょう? 騒いで気づかれちゃったらどうするの!? というか初仕事がダンジョン探索とか聞いてない……!」

「だいじょぶだいじょぶ。シラユキちゃんは今回見るだけだから。バリアもあるし、食材調達はお店の業務の一つだから、実地で一度見といたほうがいいかなって。ほら、カメラに向かって自己紹介を」

「え、あ、はい。……は、初めまして、シラユキヒョウカです」


 うーむ、さっきの面接の時と違って、緊張でガチガチである。

 事前に説明していたとはいえ、やっぱカメラに映るとなると意識が違うのだろうか。


「と言う訳でこちらシラユキちゃんです。今後いろいろお店のことを手伝ってもらう予定なので、紹介がてら配信したかったという訳です」


:よろしくねー

:ガッチガチに緊張してるやん

:かわいい

:数万人の前で自己紹介とかそら緊張するわw

:綺麗な子だな、モデルとかやっててもおかしくないレベル

:俺もそこで働きたい

:前に謎の配信に映り込んでた子だよね?


「うん。コメントで何人か指摘があった通り、実はちょっと前にネタバレしてました。ちょっと誤配信しちゃってね」


 なお、シラユキちゃんが転移者であるという事実は公表するつもりはない。

 本人にとっては現状何のメリットもないからだ。詮索をされるのも嫌だろうし。


 ついでに、アルベルト一行に俺が接触した事実についても(おおやけ)にしていない。

 クライさんを通して、今は黙っておいてくれと探索者協会に口止めをされているのだ。まあ、色々向こうにも都合があるのだろう。主に面子とか。

 特に断る理由もないので今は従っているが、協会はちょっと俺の事を都合の良い駒として扱い始めている感じがする。

 近いうちにちょっと遊びに行こうかな(・・・・・・・・・)?。


「とまあ前語りはこれくらいにして、さっそく()っちゃいましょうか」

「はーい! ではトオルさん、撮影よろしくお願いします!」

「なんでこんな事に……これ料理店のスタッフがやる仕事なの……?」


 今のホムラちゃんの実力なら、皇帝相手に苦戦する事はまあないだろう。

 サクッと焼き鳥にしちゃいましょうね〜。



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