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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第3章 海外から最強探索者がやって来るようです

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第47話 『魔王と魚介類のダンジョン手巻き寿司』


 まずは米を炊く。

 後から酢を入れるのと、外国の人は硬めのご飯が好きらしいという情報もあるので、水は少し少なめに。

 固い米が炊き上がったら、おひつに入れ替えてから米酢を入れる。

 砂糖と塩を入れ、味を調節しながら米と混ぜ合わせたら、酢飯の完成。


「待って、なに今の!? 一瞬で米が炊き上がった!? あとさっきは流しちゃったけど、何もないところから食材が出てきたような……!?」

「あ、シラユキちゃんは見るの初めてだっけ? 俺時間とか空間とか操れるんだよね」

「Wow……僕の目の前で、遂に調理が始まってしまった。まるで神話の創生を見ているようだ、興奮の余り鼻血が出そうだよ!!」

「アルベルト氏、子供みたいに身を乗り出さないで。……さっきからウチ、子守みたいになってるんですけどー?」


 魔石を使って加熱する専用の鍋を使って、お米を高速で炊く。

 自分の魔力をエネルギー源にすれば、時間の加速も自由自在だ。電気やガスみたいに供給速度に限度もない。

 つまりお米は無限に出てくる。時間操作の最も有意義な使い方だ。


 さて、あとは手巻き寿司の具材だな。

 メインディッシュの魔王(タコ型)の他に、マグロ、サーモン、エビ、イカ等。

 米と違い、こちらは全てダンジョン食材だ。ちょっと地上のものとは色合いが違うのもあるが、味はバッチリ保証できる。


「ほう……僕はこれまで数多のダンジョン食材を見てきたが、見ればわかる。質も鮮度も、これらは格別だね。あ、ちょっと写真を撮ってもいいかな?」

「格別っていうか、あの刺身まだビクビク動いてない……? あれ人間が食べても平気なの? 中から食い破られたりしない?」

「あはは、流石に大丈夫だと思うよ多分。そこは店長さんを信じるしかないけど。……ところでさっきから気になってたんだけど、そちらの女の子は?」

「シラユキちゃん。訳あってウチで保護してるんだ。彼女にも手巻き寿司を振る舞いたいんだけど、良いかな?」

「ウチは全然おっけーだよ! 宴は人数多い方が楽しいからね♪ ……ウチはクライミカ。探索者兼、配信者やってまーす。よろしくねシラユキちゃん」

「は、初めまして……シラユキヒョウカです。お邪魔します」


 クライさんもいつもの調子に戻ってくれたし、シラユキちゃんも何とか打ち解けそうな雰囲気だ。配信者なだけあって、コミュ力高めなクライさんに任せれば大丈夫だろう。


 さて、魚介類以外の具も用意しなきゃだな。

 玉子、きゅうり、アボカド。あとローストビーフ。

 このビーフはこの間のディープミノタウロス特異個体のものだ。結構量があったから余ってたんだよね、ここで使ってしまおう。


「他に具材のリクエストがあったら言ってね。あれば持ってくるし、なければ調達してきます」

「……んぅ、この匂いは……?」

「あ、ホムラちゃん! 目が覚めた!?」

「クライ先輩……? 確か私、カイザーコカトリスと戦ってて――」

「おはようホムラちゃん。喉乾いてない? 水でも飲む?」

「――ひぇっ!?? トトトオルさん!? 夢じゃなかった!?」


 ホムラちゃんはだいぶ混乱している様子。まあ一回死んでたし仕方ないね。

 しかし良いタイミングに目覚めてくれた。ちょうど手巻き寿司パーティーの準備が整ったところである。


「んじゃ、早速始めますか、手巻き寿司パーティー。米は一杯用意してるから、気にせず好きなだけ食べてくれ」


 こうして、『止まり木亭』始まって以来の、大人数によるパーティーが開かれる運びとなった。



Excellent(素晴らしい)……!! これが日本のSushi文化なのか!? このサーモンは特に良い、たっぷりfatty()が乗っているのに、くどくなくて舌の上でmelting(蕩ける)しそうだ!」

「日本料理に満足してくれたようで何より。でも頼むから日本語で喋ってくれ」


 ちなみにこのサーモンは中層で獲れた、氷漬けのシラユキちゃんを食べようとしてたやつだ。正式名称はニトロサーモンだったかな。


「~~~~っ!! 美味しい~!! 疲れた体にこう、染みわたっていくような感覚! さっきの回復薬とは違う、内側から心身が癒されていく気がする!」


 そう言って悶絶しているのは、精神的に一番参っていたであろうクライさんだ。

 彼女とは色々あったが、今はお客さんと料理人の関係。料理を楽しんでもらえたなら何よりである。


「回復薬は文字通り薬だから、味なんてあってないようなものだからね。それに身体は治っても心は癒されない。やっぱ人間が健全な精神を保つには、やっぱり美味しい食事が欠かせない訳よ」

「わかる~! ウチも上司に無茶振り押し付けられたり、嫌な事あった日は美味しいもの食べて忘れるようにしてるんだよね! この間食べた丸焼きも美味しかったけど、こっちも毎日食べたいくらい美味しい……テイクアウトとかできる?」

「好きなだけ持って帰っていいよ。足が早いから気を付けてね」


 テイクアウトか。

 ダンジョンという立地もあって、持ち帰り用のメニューは考えていなかったが……お土産用に検討してみるのもありかな?

 ちょっと考えとくか。


 店内を見渡してみれば、手巻き寿司はおおむね好評のようだ。

 やはり日本といえば寿司というイメージが強いのだろう。【Dreamers(ドリーマーズ)】の面々も、興味津々という様子で食べている。

 タコの方も、意外と好意的に受け取られていた。海外じゃタコはグロテスクな見た目から、忌み嫌う人も多いそうだが、探索者ともなるとその辺りには、流石に耐性があるのかもしれない。


 と、店の端っこの方に目をやると、ホムラちゃんが縮こまるようにして座っていた。

 何やってるんだろう?



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