第45話 国際交流してみた(失敗)
「Nice to meet you. My name is Alberto! I wanted to see you and came here!! Oh, a genuine article is greater than after all I see it with a picture. Please shake hands. And please sign!!」
「へ、へロー? アイワントゥージャパニーズ? アイアムわかんない」
「Oops. Though I brought signature paper with much effort, it has become the stone by a fight of a little while ago. There is no way. Please write it to the arm which became my stone. I value it without washing it throughout the life. I will be proud of it in the next world」
「だれかたすけて」
こいつあのアルベルトだよな?
めっちゃ早口でなんか喋ってるけど何言ってるのか全然わからん。巻き戻ししてもわからん。
俺は日本語しかわかんないぞ。
「……あー、多分アルベルト氏は、感謝の言葉を伝えてるんだと思い、ます」
「!」
おお、ここで思わぬ救いの手が。
クライミカ、お前こいつの言葉がわかるのか。
「丁度いいや。ちょっとこの興奮患者抑えてて? 回復薬くらいはサービスしてやるから」
「What is the attack of a little while ago? I received first shock throughout a life on seeing it. By my expectation, is that not your skill? I want to know you more. I do not have the time. Please tell me more you before I die!! And please sign.」
「…………ありがとうございます。彼も少し驚いているんだと思います。色々な事が一度に起きたので、混乱してるんでしょう多分。寝かせておきますね」
なぜか視線を泳がせながら、アルベルトを地面に寝かすクライさん。
半身を石化されてなお、早口で何か喋っているアルベルト。他にも石化含め重軽傷者がいるので、ここは最上級回復薬……エリクサーの使い所だろう。
「自力で飲めなさそうなのもいるな……なら、俺が回復薬を直接体内に転移させるから、じっとしてろよ?」
……流石に最上位と呼ばれるだけはある。
俺が薬を流し込むと、石化も含め、一行は全員が無傷の状態に戻ったようだ。
もちろん、クライミカも含めて。
「よし。大体元に戻ったみたいだな。これにて一件落着」
「……。あの、サカガワさん」
「ん?」
おずおずと、そう切り出してきたのはクライさんだ。
なんか顔色が悪い。まるで猛獣でも見ているような、怯えた視線を俺に向けている。
「今回の件、誠に申し訳ありませんでした……。既にご存知かと思いますが、サカガワさんのドローンをハッキングして、こちらの危機を伝えたのはウチ……いえ、私です」
「……」
「私が独断で行った行為です。ですからどうか、責は私に。他の面々や、ホムラちゃんの事は、責めないであげて下さい……!」
震える声を絞り出して、クライさんはなんと土下座までしてしまう。
「いや、別にどうもしないけど」
「……ぇ」
「必死だったんでしょ。どんな術を使ってでも生き延びるために、仲間のために命を張って。俺もその気持ちはわかる。だから個人的な好悪はともかく、別にその事を責めたりはしない」
「ウチを、殺さないんですか……?」
「ホムラちゃんもいるこの場面で、わざわざ回復してから殺すとか普通にやべー奴じゃん。もしかして俺、そんな残虐な人物に見えてる……?」
「あっ、違、そういう訳では!」
あたふたと慌てるクライさんを横目に、俺は側のホムラちゃんがやけに静かな事に気づく。
見ればまるで真っ白に燃え尽きたように、静かに眠ってーーあれ、これ息してなくね?
「脈がない……死んでる……」
「えっ!?? ホムラちゃん!? ホムラちゃんしっかりして!??」
まあこの場で一番の重症だったからね。
エリクサーを飲ませる前に死んでしまったようだ。どこか満足げな表情なのが気になるけど。
とりあえず時間巻き戻すか。まだ五分経ってないからイケるでしょ。
「お、蘇った。ギリギリセーフ」
「え、は? え??」
「とりあえずもう一回エリクサー飲ませて……これで大丈夫でしょ。後はホムラちゃんが起きるまで安静にね」
クライさんが目を白黒させているが、ともかく死人ゼロで終わって良かった。
目の前で人が死ぬのはやっぱ気分が良くないからな。
さて。
「そちらの一行さん。この後もまだ探索は続ける? カイザーコカトリスも居なくなったし、再出現するまでは時間もあるよ?」
「…………いや、やめておこう」
返事をしたのは、ようやく日本語を話すようになったアルベルトだ。
「流石に、僕たちも身の程というものを思い知った……今の僕たちの実力では、下層を攻略することはできない。僕たちの負けだ。残念だが……本当に本当に残念だが、大人しく撤退するよ」
……流石に、世界一の探索者という訳か。ここで判断ミスは犯さなかったらしい。
仮にこのまま探索を続行してたら、高確率で全滅していただろう。
とはいえ、だ。
「よし。それじゃあウチ来い」
「What?」
「ここまで来ておいて帰るのもアレだろ。ウチの店で美味いもん食ってけ。そこのクライさんの奢りだよ」
「えっ」
これくらいの意趣返しは良いでしょ。迷惑を掛けたつもりがあるなら、その分売り上げに貢献してくれ。
……あと、なにげに自力で下層まで来た探索者も初めてだからな。
このまま帰してしまうのもちょっと、もったいないと思ってたんだよね。
さて……楽しい楽しいお食事タイムだ。
頑張った探索者一行と、店で待っているシラユキちゃんに、とびきりの御馳走を振る舞おうじゃないか。




