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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第3章 海外から最強探索者がやって来るようです

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第40話 魔王顕現


(三人称視点)


 深層、と呼ばれる場所がある。

 ダンジョンはその規模によって上層、中層、下層などに分けられるが……深層はそのさらに奥、下層より更に下の階層を指す。



「ふむ……ここは、別の世界線か。どうやら転移させられたようだな」




 トオルが居る世界線で深層の存在が確認されたダンジョンは、現時点でイギリスにあるダンジョン一種のみ。

 そして、攻略は殆ど進んでいない。生息する魔物、環境があまりにも凶悪過ぎるのだ。



「――僥倖である。この世界線の支配者は、人間か? ならば、まだ私の存在に気づいていないだろう。奴らは鈍いからな」



 過去に一度、深層に数十人規模の大規模な探索隊が送り込まれたことがあるが、誰一人として帰ってくることはなかった。

 以来、イギリス政府は深層への無断侵入を禁じている。

 この世界線においてはまだ、深層の存在は手に負えるものではなかった。



「ならば、早速動くとしよう。……まずは地上に赴き、邪魔な人間共を滅ぼすか。人間如きに支配された世界線など、息苦しくてかなわんからな」



 そして、渋谷ダンジョン下層。

 この世界線に、本来あってはならないモノが紛れ込んでいた。

 その力、その邪悪さは、下層のラスボス(シャドウマスター)などとは比べ物にもならない。


「この世界にどれだけ人間が蔓延(はびこ)っているかはしらんが……まあ、やる事は変わらん。人間共の蓄えた情報(・・)を喰らい、私は更なる高みへと上り詰めるだろう」


 ソレは、元の世界線では【魔王】と呼ばれる存在だった。

 脆弱な人間が目にすればそれだけで発狂してしまうような、悍ましい見た目の何か。

 まさに異次元、別次元の存在。この世界にとってのイレギュラーであり、大悪(アークエネミー)である。



「やがてこの世界線を完全に支配下に置き、私は宇宙そのものとなる……その後は、他の世界線に攻め込むのも悪くないな。クク、興が乗ってきたぞ」



 闇の中、不気味な笑い声を上げる存在――【魔王】サタンは、不意にその触手のような腕を宙空に伸ばした。

 途端、周囲の時間が停止する(・・・・・・・・・・)

 これこそが【魔王】の本領。周囲の時間を支配し、意のままに操る絶対無敵の領域。

 この領域内でサタンに勝てる存在など、誰一人としていなかった。




「このダンジョンを完全に掌握するまで、数分といった所だな。……ククク、待っていろ人間共。貴様らの積み上げてきた歴史を喰らい、この世界を私の色に染め上げてやろう――」


「あ、晩飯みーっけ」




 全身をトオルに爆砕されてサタンは死んだ。



(一人称視点)


 なんか時間の流れがおかしくなったから見にきたら魔王種がいたので、今日の晩飯にする事にした。


「タコ型の魔王種なんて久々だなぁ。酢物にすると美味いんだよねー」


 そうだ、後でシラユキちゃんにも食べさせてあげよう。

 色々あって気も滅入っているだろうし、こういう時は美味しい物を食べて気分転換するのが一番だろう。


「さて、これであらかた下層は見て回ったかな? 大した奴はいなかったけど」


 シラユキちゃんがこの世界線に転移してきた影響で、ごく僅かな時間だが、時空間に穴が開いた。

 その隙を狙って別の世界線から、面倒な奴らが侵入してきていないかパトロールをしていたのだ。


 幸いと言うべきか、特に人類の脅威になりそうな奴はいなかった。

 下層より下……深層クラスの魔物も何匹か紛れ込んでいたが、その程度では俺の敵ではないのでサクっと始末しました。

 もっと下の奴らが来てたら、話は違ったかもだけどな。


「中層も一応見てまわるか。俺にとっては雑魚でも、他の探索者にとっては脅威かもしれんし」


 ダンジョンにイレギュラーはつきものだ。

 今回のように、別の世界線から異常な強さの魔物がやってくることも、たまにある。

 別に俺がそいつらを処理する必要はないんだろうが……まあ、この世界線に居候させてもらってる身だしね。

 自分が住んでるダンジョンくらいは、外敵(・・)駆除に励むとしよう。



「んじゃ、サクっと終わらせて、シラユキちゃんを元気にする料理でも作るとしますか!」




(三人称視点)




 ホムラアカリ、地獄の中層5階に見参す。


「ホムラちゃん!? なんで此処に……」


「――お話は後です! 見た所ピンチですよね? クライ先輩に加勢しますっ」


 ホムラの決断は早かった。

 その身から摂氏数千度の爆焔が噴き出したかと思うと、ダブルヘッドドラゴンとカイザーコカトリスを一瞬で焔の中に包み込んだ。


「Gyaaaaaa!!??」


 分厚い龍鱗を貫くほどの高熱。

 悲鳴を上げるダブルヘッドドラゴンだったが、対照的に皇帝は静かなものだった。


「Cock」


 灼熱地獄の中にあっても、皇帝は動じない。

 即座にホムラを敵と判断し、結晶鎧を纏ったままタックルを仕掛ける。


「やっぱ、下層の中ボスにはまだ届かないですね……!」


 悔しげに声を漏らすホムラ。しかし彼女は皇帝の突進を難なく躱す。

 そのまま悶え苦しむダブルヘッドドラゴンの元へ駆け寄ると……その両首を、即座に斬り落とした。


「ホムラちゃん? 何して……」


「……なるほど、そういう事か。悪くない案だ」


 ボス部屋が本来の主を失った事で、地形操作の効果が解除される。

 塞がれていた出口が開く……しかし、中層側の出口は、即座に結晶が生えて埋め尽くされた。

 言うまでもなく皇帝の仕業だ。皇帝は、みすみす獲物を逃すような真似はしない。


 しかし。


「その魔眼、鶏頭の方だけでしょう……!? 中層側の出口の逆方向、下層への出口は同時に石化できない!」


 一瞬の隙。ホムラが天井に届くほどの焔柱を噴き上げ、皇帝の視界を塞ぐ。

 皇帝の魔眼は眼で見た全てを石化する。逆に言えば、見えていなければ(・・・・・・・・)石化できない(・・・・・・)


「Corrr!?」


「皆さん、こちらに! 下層側に逃げてください!!」



 皇帝の誤算は、ホムラが迷わず下層側へ逃げる選択をした事。

 そして、この場にいる世界屈指の探索者達が、誰一人として判断に迷わなかったことだった。


「下層に……けど、ボス部屋で出口を塞がれるよりマシか」


「総員、彼女の後に続け。この部屋から離脱し、下層へ突入するぞ」


 焔を目眩しに、アルベルト一行はボス部屋を離脱する。

 本来の予定とは異なるが、彼らは遂に目的地である下層に、足を踏み入れる事になった。


「Cok、Cok、Crrrrr!!」


 ……しかし、皇帝は諦めていない。

 時空間の歪みの影響で中層ボス部屋に転移してしまった皇帝は、その本来の実力をまだ発揮していない。


 皇帝は本来、下層を徘徊する中ボス。

 すなわち下層とは、皇帝の領域(テリトリー)なのだ。


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― 新着の感想 ―
こんにちは。 晩飯見っけの一言で倒される魔王様…南~無~。トオルさんが居なければ普通にこの世界の地球終了のお知らせだったんだろうなあ(笑)
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