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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第2章 お客さんをご招待してみた

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第29話 価格の安さが当店の自慢です(お客さん視点)



(三人称視点)


「はいこんにちは。『止まり木亭』店主の逆川透です」


:キター!!

:待ってました

:お客さん遂にきたのか

:今日のために朝飯抜いてきた


「いや朝飯はしっかり食べろよ? で、今日は事前にお伝えしてた通り、お客さんを実際にお招きしての料理配信になります」




(いや、やべぇわこの人……)


 一瞬の出来事だった。

 ユダとクライの目の前に現れたトオルは、二人が抽選の当選者である事を確認すると、あっという間に二人を連れ去った。

 周囲に集まってきた野次馬もろくに反応できず、まるでフィルムのコマ抜きの様にその場から消えたのだ。


 で、気づけばユダとクライは、店内のカウンター席に座らせられていた。

 Cランクのユダはともかく、Aランク探索者のクライでさえ目を白黒させていた。


(動画を見てわかってたつもりだけど、体験するとはっきりわかる。この人なんかヤバい。強い弱いなんてレベルじゃなくて、なんかもう俺らと別の次元(・・・・)にいる)


「いや〜……本当にワープしちゃったよ。まるでSF映画みたい。生きてるうちにこんな体験するとは思ってなかったなぁ」


「えっ……あっ、はい、そうですね……」


 少し興奮した様子で、クライがユダに話しかける。

 しかし対人スキルも異性への耐性もないユダは、判を押したような返事しかできなかった。

 クライはその返答に気を悪くする様子もなく、配信の邪魔をしない声量でまくしたてる。


「下層のこんな深い所までくるのも初めてだし、まるで異世界にきちゃった気分……! これで料理まで頂いちゃうんだから、めっちゃ楽しみ! あ〜、どんな味するんだろうなぁ……」


「そ、そうですね……」


(ヤバい、全然会話できてない。やっぱコミュ障の俺には絶対無理だよ。しかもカメラ回ってるんだよな……つまり俺のコミュ障っぷりが全世界に晒されてる訳で。あぁ、腹が痛くなってきた……)


「ではお客さんを待たせる訳にもいきませんし、早速調理に移っていきたいと思います。お二人さん、注文はもうお決まりかな?」




「はーい! ウチはこの『アビスデーモンの丸焼き』でお願いしまーす! なんかもう料理名からして凄そう!」



:アビスデーモンの丸焼き……?

:知らんモンスターがでてきた。有識者知ってる?

:なんだその魔物!? てか名前からして悪魔系だよな? 食えるの!?

:料理名のインパクトが強過ぎるw

:てかこの人、よく見たら狗雷美香じゃね?


「あはは、やっぱりバレたか。ど〜もクライミカです! 今日はお客さんとしてお邪魔してま〜す」


 店内の液晶モニターに生配信の様子が移っており、三人の姿とコメント欄の様子が丸見えだった。

 そしてやはりクライミカも、配信者として国内では有名人であった。あっという間にコメント欄が沸き立つ。


:マジで? 気のせいかと思ってたけどよく見たら本人じゃん

:超倍率の抽選当たるってどんだけ幸運なんだよ……

:ホムラちゃんに続いて有名人が来店するとかちょっと出来すぎでは?

:お客さんが立て続けに豪華すぎる。もう一人の男の人はちょっと知らないけど

:見た事ない顔だな。少なくとも配信者ではなさそう




(え、これ俺も自己紹介する流れ?)


「えと……湯田幸矢です。Cランク探索者やってます」


:ユダユキヤ君か。ごめん初めて聞いた

:一般の探索者でしょ。Bランクならともかく、Cは結構数いるし

:羨ましいなぁ、俺にもチャンスあるのかな

:普通の人でも運がよければ行けるんだね。機会は平等ってことか


 勝手に勘違いして自己紹介をしたユダだが、案の定大した反応はなかった。


(二人と比べて俺の存在がモブ過ぎる。いや良いんだけど。あんま目立ちたくないし)


「じゃあユダくんは料理決まった? ゆっくり選んでくれてもいいよ!」


「あ、え〜と……」


 緊張でまともにメニュー表を見れていなかったユダは、ここで初めて目を通した。

 それなりに品数を取り揃えているようで、十ページ以上の量があった。どれも見慣れない料理名ばかりだ。


(てか()っす!? 殆ど千円以下じゃん! これ明らかに相場おかしくないか!?)


「じゃ、じゃあこの、『とこしえ草のお粥』で……」


「かしこまりました〜。じゃあ、早速作るからちょっと待っててね」


 そう言ってトオルはキッチンの奥へと消えた。それを追って配信用ドローンが浮遊する。

 ちなみにユダがこの料理を選んだ理由は、お腹に優しそうだからである。


(とこしえ草って全然何なのかわかんないけど、お粥ならお腹に優しいはず。……お腹痛い、胃薬持ってくればよかった)


「わ、見て見てユキヤ君、調理始まるみたいだよ!」


 クライが指差した液晶モニターには、材料と料理道具を揃えたトオルの姿が映っている。

 コメント欄も人が増え、既に視聴者数は二十万を超えていた。


『それじゃあ今日は二品同時進行で。といっても丸焼きはちょっと時間掛かるし複雑な調理工程もないから、しばらくはお粥メインの配信になるかな』


:了解です

:丸焼きって事は全身がドロップしたって事か……? そんな事ある?

:大抵食材アイテムって一部の部位だけ切り分けられてドロップするもんだが

:とこしえ草も初耳。有識者解説はよ

:いや知らんわ。世界中で今まさに話題になってるけど誰も知らないっぽい

:史上初の食材をこんなポンポンお出ししないでくださる? こっちのリアクションが追いつかないので




(なんでダンジョンなのに普通に電気通ってるんだろ)


 視聴者数が一気に三十万に達したのを見て、ユダは現実逃避気味にそんな事を考えていた。


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