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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第2章 お客さんをご招待してみた

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第25話 配信再開してみた


「はいこんにちは。『止まり木亭』店主、逆川透です」


 いつもの店内、俺は一人で、事前告知なしに配信を始めた。


:ん?

:唐突に始まった

:きた!

:待ってた

:元気だった?


「まずは前回の配信から音沙汰がなかった事、そして突然の配信になってしまった事。これについては申し訳ない。あの後色々ゴタついちゃって、配信できるタイミングがわかんなかったんだよね」


 ……具体的には政府とか、スカウト関連とか、その他諸々。

 前回のコラボ配信が予想以上の反響だったので、事後処理が凄いことになっちゃってたんだよね。おかげで三日も時間を使ってしまった。

 うちの協力者がいなきゃ、既にキャパオーバーしてたかもな。


:あー察し

:まぁ一躍時の人になっちゃったからね

:色々な所からアプローチ来るのは予想がつく

:ホムラちゃんの休止について一言

:配信できてるって事は、ひとまず落ち着いた感じ?


「うん。ひと段落ついたので配信してみた。……今日発表するのは、とりあえず、うちの今後のスタンスについて。色々気になる人も多いと思うので、早めに発表しておこうと考えた結果が、今回の配信枠です」


 元々ホムラちゃんの力を借りて、店を宣伝してお客さんを呼び込む予定だったのだが。

 俺のリサーチ不足……が原因で、当初の予定から大幅な計画変更が必要になってしまった。

 今回はそれをリスナーに説明する必要がある。


「まずは今後の配信について。とりあえず“現状維持“で。お陰様で予想を超えてバズってくれたけど、俺はあくまで一過性のブームだと思ってる。だから今後も宣伝を兼ねた動画配信は続けていく」


:一過性のブーム……? これが?

:まぁありうる話ではある。この情報過多社会ではね

:どんなに話題になっても一月もすれば忘れられるって言うしなー

:良かった。十分宣伝できたから配信やめますって言われたらどうしようかと

:ホムラちゃんとはどんな関係なんですか?

:俺を鍛えてください


「ただ立地の問題で、単純な宣伝だけでは効果が薄いのは俺も理解した。そこでこの三日間で俺も対策を考えた」


 現実問題、立地の問題は一朝一夕には解決しないだろう。

 店を移したくないのは俺のわがままだが、魔物が寄り付かない良立地というのはなかなか無いし、俺も下の奴ら(・・・・)を見張っておく必要がある。

 かといってこの世界の人類が急に強くなる訳もない。ではどうするか。


「とりあえず、明日から試験的にお客さんを招待しようと思います。俺が直接送迎する形でね」


:マジか!!!

:遂に俺らにもチャンスが!

:ホムラちゃんの時と同じ感じか


「なお抽選です。あと今回は探索者の方限定で」


:知ってた

:えぇー

:まぁ殺到するのは目に見えてるからね

:チャンスなかった……

:探索者限定なのか


「別に意地悪で一般の人を弾いてる訳じゃないよ? ただ色々とリスクが大きい」


 まぁ、元々探索者をメイン客層にした店ではあるけれど。

 俺がわざわざ配信サイトをDチューブに決めたのは、探索者が最もよく見るという配信サイト……らしいからだ。


「ダンジョンって魔素っていう、目に見えない物質が充満してるの。で、過剰に人体に取り込むと害がある。魔素中毒って言うのかな、確か」


:ああ、学校で習った覚えがある

:ダンジョンが生まれる時も大量にばら撒かれるんだよね

:あーその問題があったか

:探索者が平気な顔してるから忘れがち


「魔素の濃度は、階層が浅い程薄く、深い程濃い。探索者は本来は高山病みたいに徐々に慣らしながら潜っていくんだけど、俺の場合直接転移するからね」


 探索者と一般人の大きな違いは、魔素に耐性を持つかどうかだ。

 魔素耐性は訓練で鍛えられるが、一般人が下層レベルに耐えられるようになるには時間が掛かる。

 逆にある程度場慣れした探索者なら、下層の魔素にも耐えられるだろう。


「他にもイレギュラーが起きた時、探索経験がないと何かと怖い部分もあるからね。十中八九大丈夫だとは思うけど、初回だし念の為制限を設けた次第です」


:まあこれはしょうがないな

:流石に店長も魔素はどうしようもないのか

:呼吸困難とか幻覚症状とかあるんだっけ

:だからなんでわざわざ魔素の濃い場所で店やってるんだよ……

:今のうちに浅い層で魔素に慣れとくか


「元々ある程度の実力者向けに開いた店だったからなぁ……言っちゃ悪いかもだが、想定より基準を満たしてる人が少なかっただけで。そこは俺の想定ミスだし、送迎という形でできる限りカバーするつもりです」


:まあいつか機会があるかもしれんし

:俺ももうちょっと強力なスキルだったら探索者になってたのにな……

:今からでも遅くないぞ、探索者協会に逝ってこい

:ホムラちゃんとは付き合ってるんですか?

:料理はいいから、もっと戦ってる所を見せてくれ!!

:俺らは旨そうに食べてる所見るだけで十分よ



「という訳で、今回はCランク以上の探索者という条件で抽選してみたいと思います。後で専用フォームのURLを貼っとくので、興味ある方は気軽に応募してください。あ、初回は食事の様子を配信する予定なので、あしからず」


 ……さっきから妙なコメントが多い。

 人が増えた分仕方のない事かもしれないが、そろそろ俺からも言っておかなければならないだろう。


「あと、コメント欄で色々質問してくれる人とか、料理以外の動画が見たいとかの意見がチラホラ見えます。……質問については、正直キリがないので今はお答えできません」


:店長さん未知の塊だからね

:人類がまだ知り得ない情報を沢山持ってると考えたら、まぁ気持ちはわかる

:前回の質問コーナーで大失敗したからね

:大体自業自得では??


「ぐっ……前回の配信ブチ切りについては誠に申し訳ありませんでした」



:皆の衆、こんな形だけの謝罪で許してもいいんか?

:えぇ〜どうしよっかなぁ〜

:ギルティ

:誠意ってもんが足りないんじゃなーい??

:お前ら楽しそうだな



 ちょっとリスナー達、俺に対して当たり強くない??



「じゃあ、近いうちにまた質問コーナー用意するから、それまで待ってて。……で、ウチのチャンネルの方針なんだけど。基本はお店の宣伝であって、バトル系動画とかはあくまで手段の一つだからね? 決してメインじゃないから。一応言っとくけど」


 前回の下層探索はホムラちゃんへの誹謗中傷を緩和するのと、配信の信ぴょう性を向上させるのが目的だった。

 俺はあくまで店の宣伝をしたいのであって、戦闘動画とかでバズりたい訳じゃない。

 そしていくらバズっても客が来ないのでは意味がない。俺の最終目標は店を繁盛させる事なのだ。


「だから俺の戦闘シーン? に需要があったとしても、それが店の宣伝に繋がらないと判断したなら俺はやりません。あくまでこれは宣伝用のチャンネルです」



:つまり宣伝になるなら何でもするんだな??

:手段を選ばないってことですねわかりました

:ぶっちゃけ料理より戦闘とかダンジョンの秘密とかの方が興味ある

:まあ、料理の美味しさとか動画じゃ伝えるのに限界があるし……それよか暴力や未知の解明とかの方が分かりやすくてインパクトがある

:コラボ配信の時間別視聴者数見たけど、食レポよりシャドウマスター戦の方が盛り上がってたんだよね

:つまり視聴者が真に求めるものとは……


「おいやめろ。薄々気づいてた事を掘り返すな」


 俺だって自分の配信くらい分析しとるわ!

 あれ、料理中より他の部分の方が人気出てね? とは思ってたけども!


 ……なんか、俺の料理の腕が認められてないみたいでいまいち納得いかんな。

 よし、当面の目標は、料理配信単体でバズらせる事にしよう。


「……ふぅ。とりあえず今報告できることは以上かな。立地の問題については別案も考えてはいるんだけど、そっちはまだ準備中。発表できる段階になったら言うね」


:ん? 他にも対策考えてはいるのか

:了解〜配信楽しみだ

:誰が当たるかな? 当たったら一生自慢できそう

:俺は店長の料理好きだよ! だからお願い抽選当たってくれ

:抽選制は良くも悪くも話題になりそうだな……


 ……。

 凄い勢いで流れていくコメント欄を見ていると、自分が有名人になった事を改めて自覚させられるな。数日前とはえらい違いだ。

 まあお陰で店の宣伝になるのなら、それはそれで悪くない。

 ……よし、ちょっとサービスでもするか。


「さて、本当はこれで今日の配信は終わるつもりだったんだけど」


 思わせぶりなセリフを呟きながら、俺は亜空間から食材を取り出した。

 黄金色の傘を持つキノコ、マボロシキノコ。ホムラちゃんのお陰で入手できた、レア食材である。


「喋ったら小腹も空いたし、こいつを使った料理でも配信するかな。時間はかかったけど、ようやく美味しい調理法を見つけたんだよねー」


:!?

:マジか!!

:飯テロきたw

:例の放送事故キノコじゃん!!

:おいおいまたラリるのか?

:誰かモザイクかけてー!

:コイツもしかして三日間の間、キノコの食べ方考えてただけじゃないのか……?



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