表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第1章 開店! 止まり木亭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/145

第20話 『カイザーコカトリスの卵を使ったプリン お詫びを添えて』


「〜〜ッ!! すっごく美味しいです、このプリン!」


 目を輝かせたホムラちゃんが、足をバタつかせながら感想を聞かせてくれる。


「味も濃厚で、とろっとした食感とクリームがまた絶妙の組み合わせ! いくらでも食べれちゃいそうです!」


「お気に召してくれたなら何より。これでお詫び代わりになれば良いんだけど」


 このプリン、ホムラちゃんが注文した訳ではない。俺からの詫びの品である。

 ちょっと動揺しちゃったとはいえ、コラボ配信を無理やり終了させちゃったからな……ホムラちゃんにはとんだ迷惑をかけてしまった。


「いえ、私は元から気にしてなかったんですけど、ついデザートを食べてみたくて……ちなみにこれも魔物の食材を?」


「カイザーコカトリスっていうデカい鶏がいてね。そいつから採れる卵を使ってるよ」


 今日の配信では遭遇しなかったが、鶏なだけあって食材をたくさんドロップしてくれる良い魔物だ。

 また近いうち、こいつの料理を作って配信してみようと思う。


「今日はありがとう、ホムラちゃん。お陰でこの店の今後の課題も見つかったし、何とかやっていけそうだよ」


「いえ、こちらこそ! 今日は色々と、貴重な体験になりました……本当に」


 実際、ホムラちゃんとのコラボがなければ、この世界線が今までとは別物、という事実に気づくのが遅れていただろう。

 ちょっと店や食材の事にかまけすぎて、情報収集を怠っていたかもしれない。


 ……世界線というのは無数に存在するが、実際はどれもほぼ同じような世界だ。

 世界で起きる出来事というものはおおよそ決まっていて、多少のずれはあってもその流れに影響を及ぼす事はない。

 川に小石を投げ込んだって、流れそのものが変わったりはしないのだ。


 しかしこの世界線は、俺が見てきた世界線とは訳が違うらしい。

 完全に別の川にジャンプしてしまったか、それとも誰かが意図的に流れを堰き止めているか(・・・・・・・・)

 ……なんとなく後者な気がするが、今すぐどうこうできる問題ではないだろう。これについては一旦棚上げするしかない。


「トオルさん」


 思索に(ふけ)っていると、いつの間にかプリンを食べ終えたホムラちゃんが、神妙な顔で声をかけてきた。


「? どしたの? もう帰るなら地上まで送っていくけど」


「いえ、そうではなく。私、トオルさんにまだ尋ねたいことがあるんです」


「俺に答えられることなら、いくらでも」


 あー、さっきの質問コーナー、途中で終わらせちゃったもんな。

 ホムラちゃんも色々と聞きたいことがあったのだろう。これは断るわけにはいかないな。


「その、トオルさんは、すっごく強いですよね」


「まあ、人並み以上には強い自覚はあるよ」


「どうやって、そこまでの強さを手に入れたんですか?」



 ……ふむ。


「んー、特に変わった事は何も? 他の探索者みたいに死ぬ気でダンジョンに潜って、何度も何度も死にかけて、その度に命を拾って立ち上がって……その繰り返しかな」


「……並行世界の人達は、この世界の人達よりずっと強かったと聞きました。私では、トオルさんみたいになれないのでしょうか」


 どうやら結構真剣な話みたいだ。

 声のトーンから、思い悩んだ様子が伝わってくる。


「確かに平均値を比べるなら、この世界線はずっと下の方だね。けど、ホムラちゃんはもうAランクなんでしょ? この世界線に限っては、十分な力を持ってると思うけど」


「足りないんです。私の思い描く理想の強さには。私にとってAランクという称号は、通過点でしかありません」


 やっぱりか。

 彼女は……ホムラちゃんは、己の強さをどこまでも追い求める、求道者(きゅうどうしゃ)の様な本質を持っている。

 俺が戦っている間、彼女から熱の籠った視線をずっと向けられているのを感じていた。あれは、俺の力を観察していたのだろう。

 ダンジョンの()てを目指して、飽くなき力を求める者。そういった人種を、俺はこれまで幾度も見てきた。


「……そこまで強さを追い求める理由、聞いても良いかな」


 ちょっと踏み込んだ質問してみる。

 彼女がなぜ、探索者となり力を追い求めるようになったのか。


 ホムラちゃんは最初、躊躇するようなそぶりを見せたが、やがて意を結したのだろう。静かな声で、ゆっくりと話し始めた。


「どうか、笑わないでくださいね。……私の夢は、世界で一番の探索者になることなんです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ