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貴族学園を追放された落ちこぼれは覚醒し、革命を起こす―因果律無効の魔眼でダメージを無効化―  作者: ネイン
反撃の狼煙編

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第四話 痛ぶられ無意味な努力だったと悟る①

 最後の授業を終えた僕は鍛練をするため、昼にも訪れた中庭へとやって来た。


「よし」


 明日には荷物を(まと)めて出て行けと学園長に言われているが、最後の日だからこそ、木剣を振るいたいと思った。剣を振るっている間は無心でいられるから、雑念に囚われることがなく心が落ち着く。


 僕は木剣を幹に打ちつけ始めた。


 上段に構えた木剣を勢いよく振り下げる。さらに袈裟斬り、左袈裟斬りを織り交ぜて木剣を振り続けた。


 一回、二回……一〇回……一〇〇回……一〇〇〇回……二〇〇〇回、と一心不乱に打ち続ける。愚直な行動かもしれないけど毎日の鍛練のおかげで剣速と膂力(りょりょく)は魔法を使えない人間と比較しても中々のもんだと思う。


 でも僕が落ちこぼれであることには変わりない。魔力を持っている人間は身体能力を最低でも倍に強化できる。僕のように努力しなくても皆、僕より強い。


 そんなことを考えると頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった。


 嫌な気分を振り払うためにも僕はより速く、より強く、愚直に木剣を振るい続けた。


 でも、そんな僕を嘲笑(あざわら)うかのように、


「こんな場所があったとはな! うひっひっ!」


「落ちこぼれのカスはどこでやんすかね」

 

 下品に笑う男とその腰巾着の男の声が聞こえた。


「いたいた!」


 笑っていた男は、声に釣られて振り向いた私を指差す。


 彼の名前はトルグ。ロン毛で驕り高い男だ。そしてもう一人の男の名前はキリゲ。刈り上げ頭でトルグの腰巾着でもある。


 二人とも僕と同い年で僕を目の仇にしている。


 トルグもキリゲも貴族なので、なんの才能のない僕がたまたま王家傍系の養子になったことと、王女であるセラと聖女であるマナと一緒にいるのが気にくわないらしく、嫌がらせをしてきてる。


「な、なにしにきたんだ!」


 怯えながらも僕は強気で尋ねる。


「てめえ退学になったらしいな! うひひっ! ざまあねえな!」


「ウケるでやんす!」


「なっ⁉」


 退学の事実が知れ渡っているということに驚嘆してしまった。


「いつかこんな日が来ると思ったんだよ」


 トルグはニヤニヤしながら目の前まで近づいてくる。


「ど、どうやってこの場所を知ったんだよ!」


「昼に後輩からおめえが変なところが出てくるところを見たって聞いたでやんす! そしたらこんなところにいたでやんすね~」


 キリゲは僕の質問に答える。


 あのときはもうセラとマナとこの場所で話すこともないということを考えてしまい鬱屈(うっくつ)とした気分だった。そのせいで周りが見えてなくて中庭に繋がる場所から出てくるところを見られたんだ。


「昼に姿が見えねえと思ったら、こんなところに逃げてたのよ」


「だからなんだよ!」


 僕は憤る。


 少し間を置いてトルグは表情を変える。


「待てよ……王女様と聖女様の姿もいつも見えないと思ったら、てめえらまさかここで落ち合ってたりなんてしてねえよな!」


「……君には関係ないだろ」


 僕がそう言った瞬間、トルグとキリゲは怒りの形相を見せる。


「無能の癖にふざけたことしやがって!」


「生意気でやんす!」


 トルグは僕を殴ろうとするが、簡単に首を反らして拳を寸前のところで避ける。


 今まで鍛えてきたおかげでこの程度の打撃なら避けれる。


「て、てめえ!」


 僕が拳を避けた事実にトルグは増々、怒りを募らせていた。


「キリゲやるぞ!」


「はいでやんす!」


 トルグは下がって、キリゲに合図を送ると、二人は、


「「『フィジカルアップ・サード』!」」


 身体能力を三倍に向上させる魔法を唱え、体が白いオーラに包まれていた。この魔法の劣化版である『フィジカルアップ』は身体能力を二倍にするもので、ほとんどの人が使える、基本的な魔法だ。


 魔法には様々な属性があり、人が生まれつき持つ魔法の属性に応じて使える魔法が決まる。魔力が無い僕には魔法そのものが使えないので魔法の属性はないも同然だ。ちなみに特別才能があるものは複数の属性を持つ。


 そして、『フィジカルアップ』のように身体能力を向上させたり、魔力を武器や拳に込めて攻撃する魔法は『無属性魔法』に該当し、誰もが持つ魔法属性でもある。

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