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貴族学園を追放された落ちこぼれは覚醒し、革命を起こす―因果律無効の魔眼でダメージを無効化―  作者: ネイン
反撃の狼煙編

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第一七話 反逆の始まり

 亡霊であるアーバスの爺さんに時の狭間に連れていかれた俺は元の場所に戻る。


 すると、眼前には俺の全身を包み、切り裂いている竜巻があった。 


「ああ……ここからか」


 クノクーノの奴から『トルネード・スラッシュ』という魔法を放たれたところだっけ。


 俺は剣を担いだまま口角を吊り上げる。


 轟音を鳴らす竜巻は俺になんの影響も与えずに通り過ぎ、背後にある木々を薙ぎ倒していく。


「クックッ……ハーハッハッハッハッハッ‼」


 俺は両腕を広げて大笑いをする。完全にクノクーノの放った魔法を魔眼で無効化した。


 今まで魔法で虐げられてきたせいか、魔法が俺に通じないという事実で歓喜してしまう。


「痛快、愉快とはこのことか! クハハハ!」


 俺は担いだ剣を下ろし、周囲にいる人間を確認する。


 クノクーノと彼に連れられた兵が……五人いる。そして、俺を追ってきた王城勤務の兵が三人に、トルグとキリゲか。


 皆、瞠目(どうもく)していた。何が起きたのか分からない顔をしていた。


「一体何が?」


 クノクーノはぽつりと呟く。


 その間、何故か近くにいるトルグと視線を合わす。そういえは時の狭間に飛ぶ前、トルグは俺の首を斬っていたな。だから、近くにいるのか。


「て、てめえ……目の色どうなってんだ……」


 なんか言ってる。


 今となっては怖くはないが……ついさっきまで抱えていた死への恐怖を忘れたわけじゃない。こいつがいくら小物でも油断はしない。


「ふっ」


 俺はトルグに冷ややかな視線を送り、鼻で笑って挑発する。


 トルグはすぐに怒りを露わにした表情を見せる。御しやすい奴だ。


「て、てめえ何がおかしいんだ! 言ってみろよ! 落ちこぼれの癖によお!」


 トルグは俺に袈裟斬りを仕掛けるが、


「はっ……⁉」


 魔眼による攻撃の無効化――彼の剣は俺の体に当たることなく宙を斬った。


「そんなば……ぐあああっ!」


 カウンターを食らわした。俺が右のこめかみを全力で殴ると、トルグは後方に背中を打つ。


「いっ、痛てぇ! ぐっ!」


 苦悶の表情でこめかみを押さえた。


 剣を人の何倍も振ってきたという自負があるので多少、パンチ力も身についているとは思っていたがそこまで痛いのか。


「ああ、目が! 目が見えない! あああそんなああ!」


 いきなり発狂するトルグ。


 目が見えないというか、俺が殴った部分が尋常じゃないほど、腫れだしたことで彼の右目の視界が阻害されていた。


「今まで下に見ていたやつに殴られるってのはどんな気分だ? 教えくれよ。知りたいんだよ、俺、あんたらみたいに人を迫害して痛ぶって楽しむってのが理解できない人種だからな」


「目がああ、潰れたあああ! 嫌だ嫌だあああ!」


「……内出血で皮膚が腫れてるだけだ」


「うあああああ!」


 トルグは右目を押さえてジタバタ転げまわる。


「…………なんだこいつ」


 狼狽(うろた)えすぎだろ。攻撃を受けることに耐性がないのか? 


 こんな奴が次世代の貴族様か、この国もう終わりだろ……いや、俺が終わらすんだったな。


 今度はキリゲの方に目を向ける。


「ひぃ……何が起きてるでやんすか……」


 俺と目が合うと、後退(あとずさ)っていた。トルグの傍に駆けつけるかと思ったが、そこまで仲が良いわけじゃないようだ。


「何が起きたかわからねえが!」


「あのガキどもの分の金も俺らが貰えるってことだよなあ!」


 王城勤務の三人の兵士が俺に手のひらを向ける。


 そのとき、ぽつりぽつりと雨が降り始める。そういえばずっと曇りでいつ雨が降るか分からないような天気だった。


 さてと、この雨と共に反逆を始めようか。

一七話まで読んでくださりありがとうございます。


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