ジャパニーズ吸血鬼
俺の名前は加藤聡男。
いや、加藤佐藤じゃない!
病院の待合室で「次の方~加藤佐藤さーん、加藤佐藤さーん」って呼ばれて「どっちだよ?(笑)」と周りからサイレント突っ込みされる気持ちが分かるか?
佐藤家に婿養子に入ったら、「さとうさとお」ってギャグネームになる人の気持ち考えた事あるか?
………まあ、それはどうでもいい。
とにかく、俺こと加藤聡男は今日会社をクビになった。
そんでもって、今日彼女にも振られた。
そんな俺なんかに親身に相談に乗ってくれた人がいてさ、街中でだぜ。帰りに宗教勧誘のビラまでくれたよ!
とまあ―――つまりは、俺の人生は終わった。
………ちょっと待ってくれ!
引き返すな!
頼む!まだ俺の話を聞いて欲しい。
そんな踏んだり蹴ったりな俺に、さらにとんでもない出来事が起きたんだ。
この話はな、今日の朝9時、クビを言い渡される事も知らずに呑気に出社した時に遡る―――――ん?時間が無い?早くしろ?結論から言え?
ちょ、待てよっ!(○○○○風)
あーわかった、わかった。ごめんなさい、謝ります。どうか許してください。ずびばせんでした~♪
………待て!言う、言うから戻らないでくれ、一生のお願い!
それで、結論から言うとだな、俺―――――吸血鬼になりました。
………あれっ、リアクション薄くね?
えっ、知ってた?
はああああああああああ?
えっなんで?どうして?意味不明、わけわかめ。
ん、なになに………ほうほう………つまり、俺の話を聞く前からそんな事だろうと思ってた、だ……と……。
だって、タイトルに吸血鬼って―――――。
ふっ、ふざけっるなああああああああああああ。
こんなんチートや!チーターやん!!
あっすみません、言ってみたかっただけです、はい。
じゃあ、じゃあさー、そんな訳の分からないチート使えるって事はさー、どうせ俺の吸血鬼の能力とかも知ってるんでしょ?
世間一般で言われてる吸血鬼とは違ってさ、本当の吸血鬼の能力は『―――――される事で、―――――してしまい、―――――なる』って事も知ってるんだよね?
はぁー、ねぇわー、マジありえねー。
んじゃあもう話す事は何もありませんっ!解散っ!
ん?おやぁ~。これはこれはこれは、アレですかぁ?
もしかすると、もしかして………能力はご存じない?
ほっほーう。
ってことはさ、君は既に俺の術中にはまっている事も知らないわけだな。クケケケケ。
自分は大丈夫と思っている奴ほど罠に嵌めるのは簡単。
既に条件は満たしている、だから効果もじきに表れるのさ。
――――俺の○ーン――――
では、能力を教えよう。
まず―――――『俺の話を聞くだけで、お前の余命という名の残りの時間のうち、その一部を吸血される事で、』
次に―――――『その血を吸われた者、すなわちお前は、身も心も美男又は美女へと変化してしまい、』
最後に――――『この瞬間から否が応でも幸せな人生しか歩めなくなる呪いにかかり、その呪いのせいで今後は他人にちょっとだけ優しくなる』
ってな具合さ。どうだ?すごいだろぉ?
………んん?信じてない?
はいはい、そういう事ね。君アレでしょ?酔ってるのに「酔ってねえ」ってキレちゃうタイプ?
ガチホ○動画とかよく見てるのに、全然ソッチ系じゃねーからとか言っちゃってるタイプでしょ?
そんなお前らに一言だけ言っておくぞ!
―――ツンデレが許されるのは、2次元だけだからなっ!
いや我慢できねえ。もう一言付け加えるぞ!
―――天然が許されるのも、2次元だけだからなっ!コ○ン星なんてありませーん。時代はクラウドなんですよ!!
よし、話を戻そう。まあ、実感は無いかもな。
でも、証明できるぜ。
ほら、試しにモニターの電源落としてみ。
いいから騙されたと思って1回電源落としてみろって!
なっ?言ったとおりだろ?
美男美女が映ってただろ?
はーっはっは、どうだこれが俺様の能力さ~。
ふっ、礼には及ばないぜっ!
く・れ・ぐ・れ・も、俺に惚れるなよ♪
………えっ?ふざけるな?くだらない?
……………あ、あれっ、おかしいなぁ。
い、いや、『今後は他人にちょっとだけ優しくなる』だろ?優しくなったよね?なれって!なって下さい!!
……………は、はい。反省してます。
た、たまにはこんなのも良いかなーって………いやだって、魔が差したといいますか………書くネタとか考えてたら何故かこうなったと言いますかぁ………はい、以後気をつけます。善処します。
ずびばせんでした~♪(オイ
最後まで読んで下さいまして、誠にありがとうございます。そしてごめんなさい。
長編小説の息抜きに短編を書いてみました第2弾です。
ほんの少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
あっ、他の作品はシリアスです(多分)