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魔法学再試常連の世界転覆   作者: 山尾きな子
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プロローグ

魔法とは無から有を生み出すものに非ず。

魔法の行使には多かれ少なかれ魔力や供物といった「対価」を要求する。

「対価」をいかにして抑えながら魔法によって得られる成果を増大させるかが、

魔法を学ぶ上で重要なファクターである。


――基礎魔法学入門(上巻)より



少年は、今日も気だるそうに窓の向こうを眺めていた。

元々勉強は嫌いだったが、魔法学は特に嫌いだ。

魔法学は指導できる教師の数が不足しており、教師の「質」を担保することができない。

そのために彼の高等学校で教える魔法学の教師は国が定めたマニュアルを自信無さげに音読するだけの機械と化している。

少年は難しいことを考えるのは嫌いだが、退屈はもっと嫌いであった。


魔法学は彼が中学生の時に国の必修科目として認定された。

いや、認定せざるを得なかったのだ。

魔法学が国の必修科目として認定される前年、世界を動かす大事件が起きた。


世界各地の戦争地帯に同時に黒いローブに身を包んだ集団が現れた。

彼らは銃声と硝煙、爆音と悲鳴が支配するその大地に堂々と立ち、眼前に並ぶ現代兵器に向かって手をかざし、何やらぶつくさと呪文の様なものを呟き始めた。

唱え終ると同時に地面に巨大な模様が現れて、一瞬にして目の前に広がる兵器を全て爆砕した。


彼らはその後も戦場に現れては所属に関係無く争いの当事者達を根絶やしにし、同時に逃げ惑う難民達に対してはその神秘の力を以てして食糧や住居を生み出してその命を救った。


後にその黒い集団から全世界に対して声明があった。

彼らは自分達のことを「魔術師」と呼んだ。


彼ら声明の内容はこうだ。


魔術師は「神秘を引き起こす力」を持っているといっても全ての魔術師が兵器を一瞬でなぎ倒す力を持っているわけでないため、自分の身を守ることができない魔術師も数多くいる。


また、神秘の力を持っていたとしても魔術師が自ら引き起こす神秘のみで生きていくことは不可能であり、他の人々と共存していく必要がある。


そのため、魔術師はこれまで他の魔術師との抗争や人々からの迫害から身を守るため魔術師としての素性を隠しながら生きてきたと言うのだ。


彼らは高らかに叫んだ。





全ての魔術師よ、立ち上がれ。


己の血筋を呪ったものよ、


先祖の教えを守り直向きに研鑽を続けてきたものよ、


頭を上げよ。我らの眠りの時は幕を閉じた。


今こそ我らの存在を世に知らしめるのだ。


案ずることはない。


我らには力がある。


世界に認めさせよ己の存在を。



我々がこの世界の頂点に君臨するべき存在だ。


これまで我が物顔で世界を動かして来た者達よ聞こえているか?


これからは私たちが貴様らの上に立つのだ。


魔術師による世界征服をここに宣言する。





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