表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
98/163

ダンジョン攻略-17

 ソウジの持つ黒百合の剣から黒い渦が現れ、それはスネーク・センティピードの身体へと徐々に纏わり着くように蝕んでいった。スネーク・センティピードはそれを何とか振り払おうと身体を大きく動かそうとするが、ボス部屋自体が狭いせいか上手く身体を動かすことが出来ず、簡単に黒い渦に飲み込まれていった。


 そして、身体全体が飲み込まれると渦は次第にボス部屋の半分以上を占める程の大きさの丸い球体に変貌し、徐々に球体の中身が潰されるように小さくなっていく。しかし、ソウジの体力と魔力の限界もあるのか途中で球体の動きが止まってしまった。


 黒い球体の動きが止まったことに気付いているのか、球体が小さくなっていく時より球体の中から聞こえる暴れる音が大きく聞こえた。さらに、球体のところどころから内側からの攻撃に耐えられず少しだけボコボコとした形になり、完全な球体とは言えない形になり始めていた。


「はぁ……はぁ……これでもダメ、か」


 ついに身体の限界が来たのか黒百合の剣を杖代わりに何とか立っていたソウジは膝から崩れ落ち、呼吸を乱しながらそう言った。ソウジが地に膝を着けると同時に黒百合の剣から現れた黒い渦も消滅し始め、スネーク・センティピードを包んでいた黒い球体もソウジの身体に現れた黒百合の紋様も徐々に黒い靄となり溶けるように空に消えていった。


 黒い球体から解放されたスネーク・センティピードは頭がすでに二つになっており、『死毒』を吐く口が開いたままの頭は自分の毒で頭が消滅していた。そしてそのことに気付いた残りの二つの頭はまるで合わせたかのように「シャアアア!」と地に膝を着くソウジと頭が失われた原因である俺に向かって睨みつけるように威嚇の声をあげた。


 しかし、失っているのはスネーク・センティピードの右の頭だけでなく胴体部分の百足の様な複数の体節に区切られた白い骨の様な脚もいくつか損傷したり、失われていたりなどそれなりにダメージは負っているようだった。だが、そのせいでさらに凶暴性が増したのか、今まで動くことのなかった片目に傷を負っている左の頭の口から突如魔法が発動された。


「やばっ……『闇扉(ゲート)』!」


 突然の水魔法である『水弾(ウォーター・バレット)』により、防御をするための盾を失った前衛のガーディアンと元から盾すら持っていなかった騎士たちの数名がなす術無く身体に風穴を開けられ、絶命した。ユウキもすぐに『闇扉』で攻撃を回避する事は出来たが、一発分の魔力しか込めていなかったせいかソウジを庇うように移動しながら自分の目の前に撃つことしかできず、誰も助けることが出来なかった。


 ソウジも突然の轟音と仲間の悲鳴を聞き、顔を上げるが目の前に広がる光景はソウジにとってもつらいものだった。今まで共に戦ってきた攻略隊の仲間、タイガを救出するために名乗りを上げ、協力してくれた冒険者の仲間、彼らの無残な姿を見てソウジは何も言えず、何も出来なかった自分の無力さに涙を浮かべた。


 後衛にいたサクラを含めるハンターや神官、魔法使いたちにも多少の被害は出ているようだったが、サクラの適格な指示の下、怪我を負った前衛にいた者たちの治療に専念していた。前衛にいた者たちの中でも軽傷の者やなんとか魔法を回避した者たちはパーティーごとに重傷を負った者や亡くなった者を涙を流しながらも後衛の神官たちの下に連れて行ったり、態勢を整えて次の攻撃に備えていたりと今の自分が出来る事を優先して行っていた。


「皆はなんとかしようと必死に動いているがお前はいつまでそうして地面に突っ伏しているつもりなんだ?」


 ユウキも『闇扉』を複数発動させ前衛たちのサポートをしながらソウジに声を掛ける。しかし、ソウジは俯き黙り込んだままだった。スネーク・センティピードも新たな魔法を発動しようと口元に魔力を溜め始めた。武器を構え、攻撃を待つ前衛の一人が後衛にまで届く声で次の攻撃が来る事を伝えると、後衛にいたガーディアン達は盾を横に並べ、回復する神官たちを守るための壁になり始め、魔法使いたちもスネーク・センティピードの魔法に耐えれるような魔法を一斉に詠唱を始めた。


 ユウキも新たな魔力を拳銃に込め、自分たちに向かってくる魔法を『闇扉』で防げるように準備をし始める。そしてそれらが終わると同時にスネーク・センティピードの口元から新たな『水弾』が放たれた。だが、それは自分たちに向けて放つことはなく地面に向けて放った。地面は『水弾』により轟音とともに土埃を舞い散らかした。


「何してんだ?」


 スネーク・センティピードの突然の奇行に頭を悩ませたが、その奇行はすぐに理解させられた。土埃とともに崩れた地面の土を左の頭は一口、二口と食べ始めたのだ。ある程度食べ終えたのか、左の頭は地面から顔を離すと新たに口元で魔力を込め始めた。


 そして、新たに込めた魔力を魔法へと変換させた瞬間、左の頭の口元から三メートルほどの大きさの巨大な岩石を作りだした。岩石はパキパキと表面から砕け始め、無数の槍のような形へと変化し『水弾』とは違う属性である土属性の魔法『岩石槍(ロック・スピア)』を発動させた。


「あんなのに当たったら盾を持っていようが関係なさそうだな」


 空中に浮かぶ無数の岩石で出来た槍を見た感想が無意識に口から零れた。誰もがその光景を見て思ったことだろう。そして死を覚悟しただろう。後衛にいる魔法使いたちがせめてもの抗いとして水や風、土などの属性の壁を発動し、防御に徹したがそれもどれだけ耐えられるかは魔法使いの身体にある魔力量次第だ。魔力が枯れれば発動していた魔法は消滅するだろう。


 だが、そんな事は分かっていても前衛にいる者たちが持つ武器ではスネーク・センティピードの『岩石槍』は防げないと判断し、発動した。次の攻撃でいくつの命が散るのか、それは隣にいる戦友か、それとも今まで一緒に冒険をしてきた仲間か、はたまた自分か。前衛にいる者だけじゃなくボス部屋にいる者全員がそう思った。


 そして、各々が心の中でそう思う中、スネーク・センティピードの無数の『岩石槍』は放たれた。

次回更新は11/27です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ