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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-16

 ハヤトにスネーク・センティピードの情報を伝えるとともに右手に持っていた組み立て式の松明の火を消してから渡した後、黒百合の剣に魔力を注ぎ込むソウジの下へと駆け寄るが、気付いていないのかそれとも無視しているのか分からないが目を閉じ、黙したままだった。


「よお、いつまでそうやっているんだ?もう魔力も底を尽きかけてるんだろ」


「……ユウキ、なんでここにいる?命令を無視したのか」


 額に脂汗を浮かべたソウジが右目だけを少しだけ開き、ユウキの姿を確認すると一拍おいてからそう言葉を吐いた。魔力が尽きかけて疲れているのかあまり声に怒気が無かったが、やはり隊の長を務める者としてそれなりの立場があるのか言葉には無理やり怒気を含ませたような言い方だった。


 自分がここにいる理由をどう伝えたもんかと後頭部を掻きながら少し思考する。しかし、そんな悠長に思考をしている暇もなく、話し合いが終わるまでスネーク・センティピードが待ってくれるわけもなかった。ソウジの問いに答えようとした瞬間、目の前にいる前衛のガーディアンや騎士たちを無視して右の頭が再度ソウジたち目がけて『死毒』という緑色の液体を吐いた。


「『闇扉(ゲート)』」


 しかし、それはまたもやソウジたちには届く事なく、ユウキの発動させた『闇扉』に吸い込まれ、姿を消した。


「今のが『死毒』か。悪いが返すぞ」


 そう言うと左手に持っていた拳銃をスネーク・センティピードの頭上に向け、引き金を一回引いた。すると、魔力の込められた弾はスネーク・センティピードの右の頭の上まで飛ぶと魔法へと変換され、新たな『闇扉』が発動された。そしてその『闇扉』からは先ほど取り込んだ『死毒』が流れ落ちるように右の頭へと降りかかった。


 『死毒』が触れた途端、右の頭は「キシャアアァ!!」と苦痛の悲鳴を上げ、その悲鳴を聞いた隣の真ん中の頭と左の頭は何は起きたのか理解が出来なかったのか困惑の表情を浮かべた。そして、その光景に周りの皆は驚愕の表情を浮かべた。


 今まで傷一つ付くことのなかった強固な鱗が自身が放出した『死毒』によって白煙と異臭を放ちながら溶かされていたのだから。そして、そんなスネーク・センティピードの姿を見た瞬間、全員があの『死毒』を有効活用すれば勝てると確信した。


「なる程、あの毒は有効活用できるな。ソウジ、とりあえず話は後だ」

 

 ソウジにそう伝えると、新たに魔力を補填した拳銃の銃口をソウジの持つ黒百合の剣に向け、一度だけ引き金を引く。紫色の魔力弾が発砲音とともに銃口から放出され、黒百合の剣の刀身へと纏わり着いた瞬間、まるで刀身に吸い込まれるように吸収された。それから数秒後、黒百合の剣の刀身は魔力が十分に込められたのか輝き出した。


「お前、何を……」


「何ってお前は何か考えがあって『それ』をするために魔力をつぎ込んでいたんだろ?だけど魔力が足りなくて中々発動すらできない。だったら俺が魔力を貸してやるってだけだよ」


 言葉の最後に「お前は嫌がるかもな」と一言付け足したが、ソウジがそれ以上口を挟むことはなく、黙ったまま輝く黒百合の剣の刀身を眺めていた。そして一拍おいてからふっと笑みを溢すと、黒百合の剣を杖代わりのように体重を掛けながらゆっくりと立ち上がる。そして、静かに呼吸を整えると、目の前で舌先が二つに割れている舌をチロチロと見せ、威嚇する二つの頭と未だに自分で吐いた毒に苦しんでいる頭を交互に見つめる。


「これで貸しを作ったつもりかもしれないが一先ずお前がここにいる理由は後だ。それと命令違反に関してもな」


「説教ならまた後で聞いてやるよ。街に戻った後にでもな。それで?お前はそれをすぐに使える状況なのか?」


「残念だが、これはまだ魔力が込められただけだ。これから準備をするから合図をするまでの間、あいつを引きつけられるか?」


 ちらりと隣にいるユウキを一瞥すると、ユウキは腰に差していた片手直剣を抜き取り「まかせろ」と一言答えるとそのままスネーク・センティピードへと突っ込んだ。


「さて、俺も始めるか」


 誰にも聞こえない程度の声量でそう呟くと地面に差したままの黒百合の剣の柄を左手で持ち、目を閉じた。そして、心の奥底でまるで黒百合の剣に語り掛ける様に声を掛ける。


 —————力を貸せ、黒百合!


 心の奥底でそう唱えた瞬間、頭の中に声が響く。声質からして女性のようだが、ソウジはどことなくその声に恐怖を覚えた。


(やっと私の力を使う気になったのね。いいわ、貸してあげる。だけど、ただ貸すわけにはいかないわ)


 —————俺に出来ることならなんでもやってやる!だから、力を貸せ!


(いいわ、契約成立ね。あとでゆっくりお話ししましょうか。まぁ、まずはあれを倒すために頑張って主様)


 謎の声が頭から聞こえなくなると、身体の奥底から力が湧く感覚に襲われた。それと同時に今まで枯渇していた魔力が全て回復していることにも気付き、これならいけると左手の拳を強く握りしめた。地面に突き刺さったままの黒百合の剣の柄を掴み、一気に引き抜くと新たに回復した魔力を込め始め、最前線で戦う騎士、ガーディアン含めた前衛たちに合図を送るため声を張った。


「ユウキ!全員纏めて後ろに下がらせろ!」


 ソウジの合図にユウキはソウジの方へと振り向き、口を閉ざしたまま一度だけ頷くと、右手に持っていた片手直剣を鞘に納め、足のホルダーに仕舞っている拳銃を新たに装備し、両拳銃で「闇扉」を同じく前衛で戦っていた騎士やガーディアン達目がけて発動させた。


 ソウジの合図を聞いていた騎士たちもタイミングを見計らい、ユウキの「闇扉」へと身を投げ込む。ユウキも最後の一発をソウジの後ろへと放ち、出口となる「闇扉」を発動させた後、新たに込めた光属性の魔法「閃光(フラッシュ)」をスネーク・センティピードへの目眩ましとして放った後、急いでソウジの後ろへと避難した。


 「閃光」による視界の遮りの効果が無くなる頃を見計らい、ソウジは再度魔力を込められた黒百合の剣を地面に突き刺し、さらに魔力を込めながら発動させる。


「返り咲け!『黒百合』!」


 そう唱えると同時にソウジの身体には黒い紋様が広がる様に現れ始めた。ところどころには黒百合の花弁らしきものも見える。そして刀身からは以前ユウキが見たモノと似た、黒い渦が広がり、それはスネーク・センティピードへと向かって行った。

次回更新は11/20です

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