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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-15

☆★☆★☆



「ちょっ、ソウジさん何する気ですか!」


 引き抜いた黒百合の剣を地面に突き刺し、サクラの言葉を聞き流し自分のやろうとすることに集中する。そして、一拍おいてから左手に持つ黒百合の剣に魔力を徐々に注ぎ込んだ。魔力が注がれたことにより黒百合の剣の特徴の1つと言っていい黒百合の象嵌が静かに輝き出した。


 その黒百合の剣の輝きは攻略隊に属するサクラや他の隊員も初めて見る物であり、これからソウジが何をしようとしているのか誰にも分からなかった。それと同時に何が起きるのかも未知でしかなく、ただ感じられるのは自分の身体がこの状況に恐怖を覚えているだけだった。


 蛇百足も攻略隊員たちと同様で恐怖を感じ取ったのかソウジを数秒間、じっと見つめた後に三つの頭は合わせる様にソウジに向かって威嚇の鳴き声を上げ、目の前にいる前衛の攻略隊員たちを無視するようにソウジへと向かって右の頭が口から緑色の液体を噴出させた。しかし、その液体は攻略隊員と冒険者のガーディアンたちの咄嗟の判断でソウジに届くことなくガーディアンたちの持つ大盾に阻まれた。


 ガーディアン達が持つ大盾はジュウっと音を立て、白煙を上げながら徐々に緑の液体に浸食されていく。ガーディアンの特徴でもある大盾を失った者たちは未だ黒百合の剣に魔力を込め続けているソウジを一瞥する。そして、まるで合わせたかのようにおのおのまだ持つ武器を手にソウジを守る様に蛇百足に向けて武器を構えた。


「隊長の準備が終わるその時まで全力で隊長を死守しろ!特にあの緑色の液体は触れさせるな!」


 誰が指示を出したのかその声にガーディアンだけでなく前衛で戦っていた騎士や近接攻撃に特化したハンターなど全員が合わせる様に答え、武器を持つ手に力を込めた。彼らに合わせるように後衛でサポートしてした魔法使いたちも惜しみなく魔法を発動させる。


 彼らの行動にソウジは何も言わずに魔力を込めることだけに意識を集中させているが、声は聞こえているのか少しだけ口角を上げ、込める魔力の量も少しだけ上がった。


 —————もっとだ、もっと込めろ!まだ足りない。出し尽くせ。


 集中する中、心の中でそう自分に言い聞かせるように言葉を復唱する。魔力を込める手に無意識に力が入る。



☆★☆★☆



 皆がソウジを死守するように戦い始めてから15分ほど時間が経とうとしていた。時間が経つに連れ、主に防御役であるガーディアンの大盾が失われてから負傷者が少しずつ増えていた。回復を専門とする神官たちも次々と出る負傷者の治療に魔力を根こそぎ奪われ、マグ茶などによる魔力回復も摂取量を超え、すでに効果は得られていなかった。


 すでに前衛も後衛も限界が近く、疲れが顔にも出ている者も少なくなかった。それが原因で怪我を負うものも少なくはなかったのだ。それはソウジにも分かってはいた。だが、まだ足りないのだ。あと少しが足りない。ソウジもすでに魔力は限界に近い状態におり、額には脂汗を浮かせ呼吸も徐々に乱れ始め、今では地面に突き刺した黒百合の剣を杖代わりに片膝を地面に着いている状態であった。全員がソウジに対して早くしてくれという感情を持ち始めていたがソウジの姿を見るとそんな甘えたことは言えるはずもなかった。


 出来ることなら魔力をソウジに分け与えたいところだが、魔力の受け渡しは同じ属性でもない限りかなり難しく武器や防具に『武器付与(エンチャント)』するような受け渡しは簡単には出来なかった。また、同じ属性の魔力でも受け渡すのはかなり難しく、それなりの技術が必要なため誰かに魔力を分け与えることが出来る者も少ないのだ。


 しかし、そんななんとも言えない状況がある瞬間で終わった。それはソウジが限界を迎え、1人地に伏せそうになった時だった。突然、ソウジの後ろから見たことのある魔法が五個発動した。正確には蛇百足が出てきた大穴からだった。そして発動した魔法は全て蛇百足に向かって真っすぐ飛んで行ったが、やはり鱗が固いのか傷は付くことなく少しだけ怯ませただけだった。


 一瞬何が起きたのか誰も理解が出来なかった。だが、ハヤトだけは誰がやったのかを分かっていたのか少しだけ疲れた表情を和らげ「やっと来たか」とだけ小さく言葉を溢した。ソウジ以外の皆が大穴に目を向けるがソウジだけは一切向くことはなかった。


「やっと明るいところに出た……。ってあれが音の正体か。きもいな」


 大穴から顔を出したのはボス部屋に攻略隊が突入するとき1人ボス部屋の前で待機していたユウキだった。右手には組み立て式の松明を持ち、服の所々が破けたり汚れていたりとこの大穴で何があったのか気になる所だが、今はそんなことは関係ない。皆、そんな姿のユウキを見て何故いるのかという事だけが疑問だった。


「遅いぞ、何してたんだ」


 後衛で負傷者の回復を担っていたハヤトが一段落着いたのか、駆け足でユウキの方へと駆け寄り、そう声を掛ける。ユウキは少し疲れた表情でハヤトの顔を窺う。


「お前の指示でこの穴を探すため三層まで戻ってたんだよ。てか、何だよこの状況」


 ユウキはそう答えるとボス部屋全体を一度見渡し、最後に片膝を着いているソウジに目を向けた。


「かなり最悪とだけ言っておくよ。無駄に話している暇もないしな」


「そのようだな。でもまぁ、とりあえずあれの情報だけ伝えるから皆に伝達頼む」




名前:スネーク・センティピード


種族:混合種(キメラ)


性別:不明


使用可能魔法適正:水、土


【スキル】


水魔法 Lv4


水牢(アクア・プリズン)

水弾(ウォーター・バレッド)

水癒(アクア・キュア)


土魔法 Lv4


岩石槍(ロック・スピア)

『地盤崩し』

『土纏い』


【アビリティ】


左の頭:『悪食』

真ん中の頭:『王蛇の眼光』

右の頭:『死毒』

『尖骨刺し』


【固有スキル】


『硬鱗』



「嘘だろ……」


 『鑑定』を試みた結果、ユウキは言葉を失ってしまった。頭が三つあるということで何となく想像はしていたが、この『鑑定』結果は酷過ぎる。しかし、ユウキは戸惑いながらもハヤトに事細かく視た事を伝えた後、未だに片膝を着いているソウジの下へと向かった。

次回更新は11/13です

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