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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-7

「はぁ…………はぁ…………」


 4層に足を踏み入れてからどれほどの時間が経ったのだろう。30分?1時間?いや、もっとかなりの時間をこの4層で過ごしていた。しかも、進み具合から言ってまだ半分も進んでないようだ。


「後ろだっ!」


「……っ!!」


 聞きなれたパーティーメンバーの声に咄嗟に身体ごと後ろへと向けると、いつの間に近づいてきていたのか自分の身長の半分くらいのサイズの犬の姿形をした狗人族(コボルド)が剣を頭の上まで持ち上げ、こちらへと振り下ろさんとしていた。ガキンっと両手に持っていた銃と片手直剣で狗人族(コボルド)の攻撃を受け止めると、すぐさまパーティーメンバーのソウジが狗人族(コボルド)の後ろへと回り込み即座に斬りかかった。


「大丈夫かユウキ!」


「あぁ、助かったよソウジ。少しボーっとしてたみたいだ」


 ソウジはそう訊ねながら俺の背中に自身の背中を合わせる様に立つと、目の前の敵に視線を向ける。目の前には狗人族(コボルド)だけでなくモグラの形をした土爪族(モール)怪樹族(トレント)など様々な魔物が各々の特性を生かした攻撃などを仕掛けてきた。俺も両手の武器を持ち直し、視線を地面から目の前に広がる視界へと視線を戻す。連戦に続く連戦に攻略隊や冒険者の表情は皆疲れた表情を浮かべており、スタミナも尽きかけていた。それはユウキやソウジも同様だった。


「今ボーっとしてるとさっきみたいに背後取られて死ぬぞ!気ぃ抜くなよ!」


「あぁ、それは分かってるがやっぱりこの量は可笑しいだろ!どうなってやがる!多いにも限度ってもんがあんだろ!」


 ソウジと言葉を交わしながら自身に向かってくる魔物に斬りかかる。ユウキの言う通り今までの階層とは違い、4層は魔物の量が極端に増えているのが今の現状の原因であり、その原因になった元が3層に住み着いてた混合種(キメラ)のせいである。


 もともとは3層に住み着いていた魔物が4層へと流れる様に移動し、そこに住み着いたせいで攻略隊や冒険者を苦しめているのである。しかも、4層へと移動しているだけならそれほど苦戦はしないのだが、ソウジやサクラ、その他の者たちの予想を超えるほど魔物たちが強くなっているせいで、まるで序盤から混合種(キメラ)と同等かそれより少し下位の魔物を大量に相手しているような気分だった。


「そればっかりは俺にだってどうにもできやしねぇ。とにかく今は生き残る事を優先して、一切の気を抜くな!一応これでも少しずつだが前には進んでるんだ!」


 ソウジはユウキやそれ以外の者にまで聞こえる声量でそう言葉を発すると、目の前に迫る魔物を次々と屠っていく。他の者もそんなソウジの姿を見て、さらに増え続ける魔物に向かって駆け出す。


「前衛の方々の回復と援護を滞らせない様に気を付けてください!」


 サクラの指示により後衛部隊は混乱を起こすようなことはなく、サクラの指示道理に動けていたが、やはり前衛部隊にも限界があるのか少しずつ魔物が後衛部隊の方へと漏れ出し始めた。それに気づいたのか後衛の指揮を一旦アキラに託し、魔物と冒険者の間を駆け出し、ソウジのいる所に向かった。そして近くまで近づくと腰に仕舞っていたサティと同じ造形のダガーを片手にそのまま魔物との戦闘に入った。


「ソウジさん!このままだといつまでもジリ貧状態です!一回安全な所まで下がるのはどうでしょう」


 サクラの存在に気付いたのかソウジは声を上げて驚愕した。それに遅れて俺もサクラの存在に気付いたが、視線をサクラに向けることなく魔物に集中する。そして魔物との戦闘を行うにつれ、徐々に後ろへと下がっていたせいか再度背中がソウジとぶつかってしまう。だが、今回はソウジだけでなくもう1人当たる感覚が合った。


 俺は一瞬魔物かと視線を背中へと向けるとそこには同じように思っていたのかサクラもこちらへと視線を向けていた。すぐにお互いの存在を認識したのか視線で合図を行うとすぐさま視線を目の前の魔物へと戻し、おのおの武器を構える。


「ソウジさんさっきの話の続きです。ユウキさんも耳だけは傾けていてください」


 俺は短く返答をすると、近くにいた冒険者を襲う魔物に向かって魔力弾を撃ち込む。その間にソウジも一瞬だけ俺とサクラの方を一瞥して口を開いた。


「一回安全な所まで下がるだったか?それはどこまでの話だ?」


「ここに来る前に一度索敵をしましたが、この先にいる魔物は今まで戦闘をした魔物の数の倍以上です。しかも、魔物は私たちの戦闘音や魔力に反応してこちらへとなだれ込んできている状況です。正直、このまま戦っていてもいずれ全滅します!ここ一度後退して態勢を整えた方が得策です!」


 サクラの言葉にソウジは戦いながら思考するが、ユウキはこの状況に納得がいっていた。いや、ユウキ同様ソウジもこの状況がかなりまずいことは察していた。そして少なからず後退することも視野には入れていたのだ。しかし、ソウジにはそう簡単に下がることが出来なかった。それはタイガに残された時間だ。


 今、後退して再度魔物の大群に立ち向かい、突破できる確率は低い。例え、突破できてもすぐには動けないだろう。逆に後退する事なくそのまま戦闘を続けていてもいつか死者が出始め、それが連鎖のようになる可能性も高いのだ。そんなことを考えると今、後退するべきなのか否なのかソウジは決めあぐねていた。


「ソウジ、何を優先するかを第一に考えろ。1人の命か、大量の命か。救える命か救えない命か」


 未だ決断できずに苦渋の表情を浮かべながら戦うソウジに俺はそう言葉を投げつけた。ソウジはその言葉を耳にした瞬間、視線だけで俺を一瞥するがすぐに魔物へと戻る。だが、ソウジは何も言わずに思考を繰り返す。サクラも黙ったままソウジの指示を待ちながら次々と魔物を屠る。


「別にタイガを見捨てろって言っているんじゃない。サクラの言っていたように態勢を整えるのは大事だ。それにこのまま魔物と戦ったところでいずれ死者はでる。それなら一回後退した方がいいんじゃないか?」


「なんでお前にそんなことがわかるんだよ。もしそれでタイガが死んだらどうする!」


 ソウジはユウキの言葉にタイガの命が軽く見られたと感じたのか声を荒げるだけじゃなく魔物に向ける力も増えているように見えた。


「じゃあお前はこのまま戦って今隣で戦っている仲間が死んでもいいんだな」


「そうは言ってねぇだろ!」


 さらにソウジは声を荒げる。声は他のパーティーにも聞こえる程であり、何事かと皆が一瞬だけソウジの方へと視線を向けた。しかし、それに気づいているのはソウジと話しているユウキやサクラだけだった。ソウジは頭に血が上ってしまったのか周りの状況に気付いていないようで、とうとう戦う手を止め、俺の方へと睨みつけるような鋭い目つきでこちらに視線を向けていた。

次回更新は9/18です

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