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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-5

「詳しい説明は後だが、あいつがどうして突然現れたのか原因は分かった」


 俺の一言に俺の近くにいたソウジはもちろんの事、聞こえていた冒険者や攻略隊の者たちは一瞬だけ驚愕の表情を浮かべ、こちらを一瞥したが、すぐに目の前のキメラへと視線を戻した。だが、ソウジだけは一瞬たりともこちらを見ることも無く、声だけを俺に向けた。


「それはどういうことだ?原因が分かったって……」


「あいつのスキルだよ。いや、スキルというより俺たちが持つ印の能力に近いものだな。いうなれば『固有スキル』だな」


 『固有スキル』という言葉を発した瞬間、ソウジはこの世界に来て初めて聞いたといった表情を浮かべ、キメラと対峙してから初めて俺の方に顔を向けた。ユウキも「気持ちは分かるが、今は目の前のキメラとキメラと最前線で対峙するパーティーに集中しろ」と言いたげな表情をソウジに向けると、ソウジも我に返ったようにキメラへと視線を戻したが、やはり気になるのか言葉だけはユウキに向けて発した。


「『固有スキル』ってのは一先ず置いておくとして、原因ってのはなんなんだ?」


「サクラでも気付けなかった理由てのはあいつが持つ『魔力隠蔽』っていう魔力自体を隠すスキルなんだ。んで、サクラのように魔力を頼りに索敵をするやつにとっては相性は最悪ってことだな。姿は最初から見えているが、魔力が隠蔽されているから姿を見た瞬間、突然現れた様に思わせ、相手が怯んだ所を襲うって所かな?」


 ソウジは俺の言葉を聞くなり、理解したのか「そうか、だからあの時も」とブツブツと聞こえるか聞こえないかの声量で言葉を呟いていた。そして、自分の中で納得がいくとさらに俺に質問を投げてきた。


「なぁ、その『魔力隠蔽』てのが俺たちが持つ印の能力と同等ということにすると、もちろん普通の魔法スキルってのがあるんだよな」


 ソウジの問いかけに無言で頷くと、キメラの攻撃を受けそうになったパーティーに向けて再度、『闇扉』が入った魔力の弾を放つ。流石に慣れてきたのかパーティーの方も『闇扉』から出てくるなり、キメラの方へと視線を向け、再度キメラに向かって走り出す。それと同時にキメラも学習をしているのか『闇扉』を放つたびに俺の方へ視線を一瞬だけ向けるが、すぐに近くにいるパーティーに向かって走り出す。


「それでなんだっけか?キメラの魔法スキルってやつだっけ?」


「あぁ、『魔力隠蔽』以外の魔法スキルも持っているだろ?」


「そうだな、一応あのキメラの魔法属性は闇だからその系統の魔法は大体は使えると思うぞ。ただ、魔法を使うのは多分あの獅子の上にいる黒山羊の方だな。それと尻尾にいる蛇には巻き付かれない様に気を付けろ」


 ソウジは俺の言葉を聞いた後、それを一字一句間違えず、前衛後衛のパーティー全員に聞こえる声量でそう言葉を発した。それからはかなり楽に事が進み、まずは尻尾である蛇の切断と後衛パーティーの集中攻撃によって黒山羊の魔法攻撃を封じる策に出た。


 尻尾を切断したことにより蛇がしばらくの間、パーティー内を動き回ったせいで多少の混乱が起きたが、黒山羊の方も限界が来たのか突然頭を項垂れ、魔法を使うことが無くなり、またそれによって獅子の攻撃頻度や移動速度の低下などが見受けられたそして最後はソウジを含む前衛パーティーの多重攻撃によってキメラは息を引き取った。


 キメラが短い呻き声を上げながら地面に倒れた直後、攻略隊、冒険者のパーティーは呻き声とは逆に雄たけびの様な声を上げ、歓喜した。特に攻略隊にとっては攻略隊の隊長であるタイガを失う理由でもあったためかなり喜びの表情を浮かべており、それは一番最後までタイガの勇姿を見届けていたソウジも同じであった。



☆★☆★☆



「そろそろ次の階層に向かって進む!各自準備を急げ!」


 キメラを討伐した後、再度サクラの『広範囲索敵』により3層を索敵したところキメラを見つける前と変わらず魔力反応がなかったため、しばらくの間休息をしていた。キメラの素材を回収する者、傷の手当てをするもの、身体を休める者などおのおのが短い休憩時間を使っていたが、俺の場合は休息という休息が取れなかった。


 その原因はソウジとサクラ、そして俺が所属するパーティー『常闇の黒猫』のメンバーからの執拗な質問攻めによるものである。ソウジとサクラはまだ分かるが、なぜその場にハヤトたちも混ざっているのか疑問でしかなかった。


「お前の印の能力ってのは強化型の能力だって報告と攻略隊に参観するための資料で耳にしていたはずだが、説明はしてくれるんだろうな」


 なぜか地面に正座をさせられている俺に向かって俺の前で仁王立ちをして腰に手を当てがっているソウジはまるで見下す様に上から説明を乞うてくる。周りから見れば完全に俺がやらかしてその説教をされているみたいな状況に見えているだろうが、周りの皆もやはり余裕がないのかちらりとこちらを窺いはするものの、すぐに視線をずらして自分の事に専念をする。


 そしてなぜかソウジをはじめとして俺を囲むようにハヤトたちがソウジの問いかけに俺がどう答えるのを待っているようにこちらへと視線を真っすぐに向けていた。


「いや、あの……どっから話せばよいやら。一応複雑なんだ」


「別に今ここで全てを話せと言っているんじゃない。何故、能力を隠していたのかを聞いているんだ」


 ソウジは俺に向ける視線を寄り一層鋭くするといつもより低めの声色でそう言葉を返してくる。まるで猛禽類の様なソウジの視線に恐怖を持ったりしたわけではないが、このままだんまりでも埒が明かないと思い、強化型の能力と今回の能力『鑑定』の他にもう1つ『未来予知』の事だけを隠し、『鑑定』という能力の事について簡潔ではあるが正直に話すことにした。


「別に隠してたわけじゃないんだ。ただ……」


「ただ、なんだ?」


「……いや、勘違いしないでほしいんだが、『鑑定』っていう能力は俺が『この世界(エイガルド)』に来た時に授かったものじゃなくてある人から授かったものなんだ」


「ある人?それはどこの誰だ?それに能力を授かるなんて今まで一度も聞いたことがない」


「多分言っても誰も知らない人だ。ただ、俺はその人から『鑑定』って能力を授かったのは事実だ」


 俺はそう答えると、ソウジたちは隣のものとお互いに顔を合わせ、ぶつくさと話し合い始めた。信じられないのも当たり前だとは思うが、仕方ない。これは全て本当の事だ。俺はそんなことを心の中で思いながらも口には出さずにソウジたちが話し合うのを終えるまで静かに待つことにした。

次回更新は9/4です

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