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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-1

 時刻はすでに昼を過ぎ、訓練場には摸擬戦に合格した冒険者が刻々と集まり始めていた。そしてそれと同時に攻略隊に所属する者たちもソウジに倣うように全員が冒険者の前に立ち、縦横5列に分かれ、整列をしていた。目を覚ました俺はぼーっとその整列する冒険者たちをまるで軍隊だ、と思いながら見ていると、横から俺を呼ぶ声が聞こえる。


 その声はこの一週間一番近くで聞いていた声だった。声のした方へと頭だけ横に向けると膝を両腕で抱え、丸くなっているサティヴァ―ユ—————サティがこちらを窺うように見ていた。


「やっと目を覚ましたのか。もう皆整列しているぞ」


「……サティ、か。整列してるってことはもう摸擬戦は終わったのか。てか、途中から記憶が曖昧なんだが俺いつ気絶したんだ?」


 毎回不思議なことに目を覚ましたら話が進んでいる状況が多いせいか、まるで慣れている様な口調でユウキはサティにそう質問をぶつけた。そんなユウキの質問に今までのそれなりの距離を維持し、誰一人として自分のテリトリーに踏み込ませないような態度ではなく、まるで友達と接しるような態度でサティは顎に手を当てながら「摸擬戦が終わった直後だな」と思い出すようにそう答えた。


 そんなサティの心情や言動、接し方の変化に内心ホッとしながらも平静を装いながらサティの返答を聞き、曖昧な記憶の糸を辿らせる。


「とりあえず目も覚ましたんだ。さっさと整列しよう」


 サティはそう言葉を放つと立ち上がり、ホットパンツに着いた汚れを手で払い除けると、整列する冒険者たちに視線を向けた。俺も連れるように立ち上がり、服に着いた汚れを払い除けると冒険者たちを一瞥した。すると、すでに整列が完了したのか冒険者の前で待機していたソウジが軍隊のように綺麗に整列された冒険者の間をすり抜けるように歩き、こちらへと歩いてきた。


「ユウキ、やっと起きたのか。摸擬戦が終わった直後に倒れるように気絶したからびっくりしたぞ。体調とか具合は悪くなさそうだな」


 摸擬戦の時とは違い、朗らかな表情を浮かべながらそう俺に言葉を掛ける。やはり、一度とは言わず二度もソウジの気迫を間近で感じているせいか普段と戦闘の時の対応に困惑の表情を浮かべてしまう。それは隣にいるサティも同じようだった。


 当の本人はそんな俺たちの心境に気付かないのかお構いなしに話を続けていた。


「これから明日のダンジョン攻略について話があるからサティはあっちのサクラが纏めているハンターたちの集まりに行ってくれ。ユウキはあそこの中央だな。アルケミスト、ビーストテイマーたちが集まっている所に整列してくれ」


 ソウジはそう言ってサクラの前に集まっているハンターたちの列を差し、俺には同じくレアクラス持ちのマシルを含めた僅か数名の列を差した。サティは右手を顔の前に上げ、「じゃあ先に行ってる」とだけ言葉を溢すとさっさとハンターたちの集まる列へと歩き出してしまった。俺も軽く手を上げ、反応を示すと列を目指して歩こうとした時、ソウジに肩に抱き着くように腕を回された。


「なんだよ」


「いや何、ユウキにはダンジョン攻略の話を聞く前にいくつか言いたいことと聞きたいことがあってな」


 先ほどの朗らかな表情から真剣な表情へと一変させたソウジはサキに歩き出したサティには聞こえない声量でそう言葉を放つ。言いたいことと聞きたいこと、か。聞きたいことは俺もある。だが、今は聞く必要はあまりないだろうと思い、口に出かけた言葉を飲み込み、静かにソウジの言葉に耳を傾ける。


「まずは摸擬戦合格おめでとうだ。まぁ、なんとなくは会話の中で理解はしているとは思うが、一応な。それとサティヴァ―ユの件に関してだ。あの子をそれなりに戦えるようにしてくれてありがとうな。サクラも前みたいに彼女と接せるようになってお前に感謝してたよ」


「そうか、それは何よりだよ。そう言って貰えればこの一週間の努力や苦痛も少しは報われるものさ」


 俺は淡々とそう答えるとさらにソウジは言葉を続けた。だが、先ほどより低めの声音でだった。


「ところでなんでお前はあんな魔法が使えたんだ?3属性の魔法適正があるかなり珍しい奴がいるって話は情報集めの際に聞いていたが、あれは流石に規格外だ。3色同時にそれも複数の魔法を使えるなんて魔法使いのやつらもあり得ないって言っていたんだ。それにあの最後に使った闇属性の移動系魔法……お前、一体どうやったんだ?わかるなら教えてくれないか?」


 ソウジは息継ぎもするのも忘れたかのように早口で言葉をスラスラと放った。そして少し、呼吸が乱れたせいか一度大きく息を吸った後、「頼む」と一言だけ最後に懇願した。


 俺自身、魔法を複数同時に使った記憶はあるが、どうやってできたのかは分からなかった。思い出そうにもあの時はかなり必死でソウジの木剣を燃やし尽くすことに精一杯だったせいか、これと言って教えられることも無く、闇属性の魔法についても訓練期間中にこんな魔法があればいいなと思ってイメージしたら出来たって感じだ、とソウジにそう答えた。ソウジは一言「そうか」とだけ言葉を溢し、少しだけ残念そうな表所を浮かべ、顔をがっくりと落とした。


「まぁ、話はそれだけだ。ありがとうな」


 ソウジは改めて顔を上げると「じゃあ話もそろそろ始まるから整列してくれ」とだけ言葉を残して冒険者たちが整列する前へと走って行った。


 ソウジを見送った後、俺も言われた通り列に整列すると前にはマシルがいた。マシルは俺に気付いたのか少し安心したような表情を浮かべたが、やはり人見知りな性格のせいか言葉を放とうにもつっかえてしまい、うまくしゃべれなさそうだった。


「マシルも合格したのかおめでとう」


「う、うん。あの、その……ユ、ユウキくんもおめでとう……それとお疲れ様」


 俺の言葉にマシルはゆっくりと一度深呼吸をしてから答えるが、やはり限界なのか最後の方は少々聞き取りづらかった。そしてマシルの声をまともに聞いたのは初めてかもしれない、などと思いながらマシルに感謝をすると、先ほど冒険者たちの前に走り出したソウジがかなりの声量で話し始めた。


「静粛に!今から明日に控えるダンジョン攻略についての説明と隊列などについて説明を始める」


 ソウジの言葉に一瞬でざわついていた空間に静寂と緊張が走る。俺もそんな空気に緊張の表情を浮かべ、息を呑んだ。

次回更新は7/31です

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