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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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特別訓練と事情を持った亜人ハンター-2

「—————ん、ここは……」


 目を覚ますとそこは見知らぬ天井が見えた。細かい木目にどうやってできたのか分からないシミ。顔だけを動かし、周りを見渡すと天井と同じ材質で出来た壁に朝を告げる陽の光がたった一つの窓硝子から入り、部屋を明るく照らしていた。


「あら?起きたのねユウキちゃん。無事で良かったわ」


 声がする方へと顔をゆっくりと向けるとそこには備え付けられた椅子に資料だろうか紙の束を持ったオネェ口調と隆々とした筋肉が特徴的なギルドマスターのマコが顔をくっつくギリギリまで近づけていた。朝からこの顔が目の前にあるとなると悲鳴もんだが、今は目を覚ましたばっかりなのか頭もよく働いておらず、ただただ近すぎという程度しか感じない。


「まだ寝ぼけているのかしら?ちょっと待っててね。飲み物持ってきてあげるから」


 マコはそう言うと立ち上げり部屋を出ていってしまった。俺は未だ重い身体をゆっくりと起こすと、昨日起きたことを必死に思い出す。昨日はソウジとの摸擬戦で『黒百合』という謎のスキルを食らった。その後の記憶がかなり曖昧だ。しかも、何が起きたのかも分からねぇ。ただ、覚えているのは精神世界でシノに聞いた魔剣『黒百合の剣』がかなり危険な物だということ。なぜ、ソウジがそんな危険な剣を持っているのかということ。その程度だ。


「ユウキちゃん、入るわよ。はい、これ熱いからゆっくり飲んでね」


 何か黒い液体の入ったコップを二つ持って部屋に現れたマコは1つを俺に渡し、また備え付けられている椅子に腰かけると、コップの中の液体を口に含み始めた。俺もそれに連られてゆっくりと口に運ぶ。—————苦い。味的にコーヒーの様なものだが、少しドロッとしており、吐き出しそうになってしまった。


「これ、は……?」


「一応体力回復の効果のあるマグ茶よ。苦いけど全部飲んでね」


 マコちゃんはそう答えると液体を全て一息で飲み干してしまった。俺も我慢して全部飲み干すと先ほど頭の中で纏めていた疑問をマコへぶつける。


「ところでここって……」


「ここはギルド内にある休憩所よ。ユウキちゃん摸擬戦でソウジ君の一撃を食らって倒れちゃったのよ」


 ソウジの一撃—————『黒百合』の事だろう。確かにあれはやばい。危険には危険な物だが、それ以上にあれを食らった時に一瞬で死を覚悟した。シノには伝えてないが多分あいつもそう感じたことだろう。それに周りにいたやつらもソウジのあの豹変振りには異変を感じたはずだ。『黒百合の剣』っていう魔剣も気になるが今はソウジと攻略隊の参加についてだ。元々の目的は「攻略隊に参加する」。それがどうなっているかだ。


「そうか、それで……摸擬戦の結果はどうなったんだ?」


「それは自分の目で確かめなさい。もう歩けるでしょ?これに着替えたらギルドの前に出てきなさい」


 マコはそう言うと服一式を備え付けられた箪笥から取り出し、俺に渡してくる。マコ曰く俺が休憩所に運ばれた夜にハヤトが持ってきてくれたらしい。ちなみに俺が今着ている服は摸擬戦の時に着ていた服で見ると穴だらけになっており、ボロボロになっていた。だが、不思議なことに穴の辺りにあるはずの傷が全て治っていた。多分、攻略隊の神官の力なのだろう。


「行くか。確かギルドの前、だったよな」


 マコが部屋から出て行ったあと、渡された服に着替え、部屋を後にした。そしてギルドを出るとそこにはいつもはちらほらとしか見ない冒険者が足早に摸擬戦が行われていたギルドの裏にある訓練場へと足を運んでいた。そしてギルドの前にはマコが手を振りながら待っていた。


「ほらこっちよ」


「この人だかり……もしかして今日発表なのか?」


 歩きながら自分を追い越していく他の冒険者の後ろ姿や顔を見る限りそうだと思い、マコに訪ねるとマコは一言「そうよ」と答えた。訓練場に着くとそこにはすでにかなりの冒険者が集まっていた。どうやら摸擬戦の最中に司会や攻略隊がいた辺りに参加者が張り出されるのだろう。見た感じまだ結果は張り出されていないのか冒険者の顔には自信と不安が入り混じった表情を浮かべている者が多く見られる。


「まだ時間じゃないようね。ユウキちゃんこの辺りに居れば時期に結果も張り出されると思うわ。あと、例えどんな結果だろうと落ち込んじゃだめよ」


「分かってるよ。ありがとうなマコちゃん」


 マコに感謝を述べるとマコは「じゃあ私はギルドの仕事があるから」といつの間にか出来たのか冒険者という人垣を分けてギルドへと戻って行ってしまった。人垣を分け、なるべく人のいない辺りまで避難した後、しばらく待っているとギルドの方からソウジとサクラが歩いてくるのが見えた。どうやらやっと発表のようだ。2人に気付いた他の冒険者たちも一層ざわつきを強め、騒がしくなる。


 ソウジが人垣の前に立ち、片腕を少し上げると人垣となった冒険者たちが口を閉じ、一瞬の静寂が訪れた。それを確認したソウジは一度深く呼吸をすると口を開いた。


「参加者諸君、お待たせしたな。これから結果を発表するが、先に言っておく。これは攻略隊全員で判断した結果だ。例えどんな結果だろうと受け入れてもらう。もし、問題や文句があるのであれば後日、俺が聞こう」


 ソウジの言葉に一瞬のざわつきが生じたが、隣にいたサクラが一歩前に出るとまた静寂が訪れた。


「結果発表の後に簡単なお話がありますので、合格の方はこのまま残り、失格の方はお帰りになってもらいますので合否を確認次第、行動に移してください」


 サクラが大衆の前でそう言葉を発すると、手に持っている3つのロールされた紙を一枚一枚広げ、壁に貼り付け始めた。結果が発表された瞬間から冒険者たちの陽気に満ちた声や落胆する声が聞こえる。さらにはブツブツと呟くように文句をいう者や結果に不満のある者と様々な者がいたが、時間が経つにつれ失格者たちは重い足取りで訓練場を後にしていった。


「さて、そろそろ人も減ってきたことだし俺も確認しに行くか」

次回更新は4/24です

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