模擬戦-20
「まずは小手調べだ!『風球』」
アキラは開始の合図とともに魔法を放ち、俺の不意を突いてきた。しかも、『風球』は魔法ではあるが自然的な物であり、目に見えにくい特徴があり、今みたいに当然放たれると対処が難しく気づいたらふっ飛ばされるのが落ちである。そして、俺はアキラの『風球』が見事命中し、宙に飛ばされた。
しかし、ただ宙に飛ばされるのではなく宙に浮く感覚を体で感じながら気付かれない様に右手に魔力を込め始める。
「『閃光刀』」
「っ!……ちっ!『風壁』」
着地すると同時に込めていた魔力を魔法へと変換し、そのまま放つと同時に腰に携えていた片手直剣を右手で腰のホルダーに仕舞っている拳銃を左手で抜き、臨戦態勢を取る。そして、すぐさま『鑑定』に移行する。
名前:ニシタニ アキラ
種族:人間
性別:男
使用可能魔法適正:風、火
【スキル】
風魔法Lv3
炎魔法Lv2
『風癒』
『風球』
『風壁』
『炎矢』
『火煙』
『炎風龍』
【印力】
『高速計算』
よし、これで一通りあいつの情報は把握できたが『高速計算』……これは引っかかるな。何を計算するつもりなんだ?普通に考えると相手の行動を計算するとか自分がいかに効率的に相手を倒すとかだよな。それだったらかなり不利だな。正直、一戦目のサクラとの摸擬戦で手の内はほぼバレてるだろうし、さてどうすっかな。
「なるほどな、魔法の腕はまぁまぁ、か……だが、本職の魔法使いとは比べ物にはならんな」
魔法同士の接触により現れた白煙が晴れると同時にアキラが自分の武器である杖を俺に向けている姿が視界に入る。杖に魔力を込めているのか杖全体が淡い緑色を発しているのが目に入った俺はアキラの言葉を無視し、そのまま武器を構え低い姿勢を保ちながら走り出した。
そしてあと一歩踏み出せば届く範囲というところで片手直剣を振りかざそうと腕を大きく振り、アキラを横一文字に切った。だが、切ったという感触はなく、徐々に切ったアキラの姿が薄まっていた。
「残念だったな、それは魔法により出来た残像だ」
「ちっ!だったらこれはどうだ!」
俺は左手に持っていた銃をアキラへと向け、引き金を3回引いた。それと同時に出たのは3色の魔法弾。赤い弾が火、黄色い弾が光、紫色の弾が闇の『3色弾』がアキラの下へと目にも追えないほどの高速で向かっていく。だが、それもアキラの手前で消滅した。
「今、何かしたのか?」
アキラは口角を上げ、馬鹿にした表情でそう言葉を発した。魔力弾はアキラの放つ『風壁』に塞がられたらしく、目には微かにしか見えないが緑色の壁がアキラを包み込んでいたのが分かった。これ……勝ち目ある?物理攻撃も避けられ、魔力弾も塞がれ手の打ちようなくね?
あれこれと考えているとまたアキラが口を開いた。
「やっぱり分からねぇな」
「あ?何がだよ」
「君が珍しい銃剣士になった理由だよ。数か月経ったとはいえまったくと言っていいほど全然扱いきれてねぇし正直宝の持ち腐れってやつだ」
「はぁ?じゃあお前は扱いきれるって言いたいのか?」
アキラの言葉にカチンと来た俺は魔力弾と剣で攻撃を繰り出しながらそう訊ねる。確かに俺はまだこの世界に来て数か月だが、これでも俺は強くなろうと、ハヤトたちに迷惑をかけないよう努力をしている。それを簡単に宝の持ち腐れだなんだと言われる筋合いはねぇ!
「あぁ、君よりは扱えると自負している」
アキラは俺の攻撃を避けたり、防いだりと軽々と対応し、そんな俺を嘲笑う様に自信満々に答えた。俺は攻撃を止めず繰り出しながらそんな今までの努力を無下にしたアキラに対しての怒りが沸々と湧いて少しだけ冷静さを欠いてしまったのが運の尽きで俺の足りない所だろうと後になって後悔した。
俺の斬撃が軽くいなされ体勢を崩したところに高速詠唱でもしたかのような速さでアキラが魔法を俺の背中に打ち込んできた。一瞬何をされたのか理解が出来なかったが、倒れえる直前は攻撃を食らった背後に視線を送ると杖を向けたアキラと目が一瞬合い、何をされたのか理解した。
「そのすぐに冷静さを欠いて自分を犠牲にしてまで攻撃を続けるところとかがお前の未熟な所であり弱点なんだよ!」
そして俺が倒れるとほぼ同時に言葉を放ち、見下す様に言葉を続けてきた。
「僕は第1戦目のお前とサクラ君の戦いを見てすぐに確信したんだ。悪いが、冷静さをすぐに欠く様な今の君には攻略隊どころか少しレベルの高いクエストでもすぐに仲間を巻き込んで死なせてしまいそうだよ」
次回更新は3/20です




