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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦-16

「どうよ!」


 俺は外にいるときより上手く出来たせいか内心ガッツポーズを組みながら、少しだけ得意げにそう訊ねる。しかし、それを見たシノは一拍置き、額に手を当てながらため息を溢す。


「どうよ、と聞かれてもそれは初歩級の魔法じゃないか。まぁ、一日で覚えたというならば上出来なのだろうがやはりまだ不完全じゃな」


「見せといてその言い草はないだろ。これでも頑張った方だぞ」


「とりあえず魔法の方は置いといて本題は『鑑定』じゃ。昨日と同じようにやってみい」


「おい、勝手に置くなこら」


 突っ込んではみたがシノは俺の言葉を聞く様子もなく、さっさと本題である『鑑定』の練習を始めろと手をひらひらと振りながら促す。俺は何か言い返そうかと思ったが、結局何か言っても聞きいられず時間の無駄なので大人しく従うことにした。


 身体の力を一度抜き、リラックスした状態でゆっくりと右目に魔力を流し込む。それと同時に何かを見るというイメージも頭の中に思い浮かべる。これはサキに教えてもらったことだ。魔法を使うときは魔力だけじゃなくてその魔法にあったイメージが必要だとサキが教えてくれた。


「ッ!……ん、これはッ!」


「ふむ、どうやら出来たようだな」


 シノは俺の様子を見て出来たと確信したのか口角を少し上げ、にやりと不敵な笑みを浮かべる。確かにシノの言う通り、俺の右目にはシノの情報が見える。


名前:シノ

種族:不明

性別:女

使用可能魔法適性:闇


【スキル】

闇魔法Lv?

???

???


【固有スキル】

『鑑定』


「なんだ、これ……」


 目の前に広がる情報に目を疑う。


「とりあえずどこまで見えてるか教えてもらえるか?」


 シノはそう言ってユウキに近づく。ユウキは目の前に広がる情報と近付いてくるシノを交互に見ながらゆっくりとシノの質問に答える。


「えっと、…名前、種族、性別、使用可能魔法適正、スキルと固有スキル?ここには鑑定が入ってるな。あとこの魔法のレベルが「?」になっているけどこれは……」


「ふむふむ、固有スキルまではクリア、それと魔法のレベルか……」


 シノは顎に指を当てながら何度か復唱し、ブツブツと独り言を呟く。そしてブツブツと呟くのを止めるとシノは俺の方へと視線を戻し、口を開く。


「とりあえず固有スキルは聞いたことないじゃろうからそれの説明からじゃな」


「あ、あとお前のスキルは全部「?」で埋め尽くされてたから見えないぞ」


「それも話してやる。とりあえずは魔法のレベルについてじゃ。これはざっくりと説明すると熟練度または覚えた魔法の数、ランクによってレベルは上がる。以上じゃ」


「以上ってざっくりしずぎじゃ……」


「細かい話は後じゃ。今は固有スキルの説明の方が重要じゃな」


 シノはそう言うと説明を始める。


「まず、固有スキルは簡単に言うとお主たちの言う印の能力に近い」


「え?じゃあ、シノにも印が…?」


「だから最後まで聴かんか。転移者は必ずと言っていいほど固有スキルと同等の能力を授かることがあるが、固有スキル自体は持っている者こそ低く、まず生まれて持つことはほぼ無いに等しいのだ。現にお主のステータスにも固有スキルの欄は無いはずじゃ」


 俺はそう言われ自身に鑑定を掛け、自分のステータスを確認する。


名前:キリノミヤ ユウキ

種族:人間

性別:男

使用可能魔法適性:火、光、闇


【スキル】

光属性Lv1

閃光刀(ライトニング・ナイフ)


【固有スキル】

???


【印力】

身体強化(ブースト)』『未来予知』『鑑定』


「確かに固有スキルじゃないな……ってなぁシノ、これ変じゃないか?」


「ん?何がじゃ?」


「俺のステータスに内容は分からないけど固有スキルあるんだけど」


 それがそういうとシノはものすごい勢いで肩に掴みかかり全体重を乗せてきたせいで俺はバランスを崩し、シノとともに床に倒れ込んだ。倒れた時に頭を軽く打ったせいか軽い痛みに襲われながらゆっくりとシノに視線を移すとシノは今まで見たことないほど動揺した目付きで俺のことを見てくる。しかも、肩を掴む力が強くなり、少し震えているようにも見えるがとにかく肩が痛い。


「おい、いい加減離せ!てか、そこどけッ!重いッ!……ちょ、つよッ!力つよッ!待って!肩取れる!肩取れるからッ!」


「嘘じゃ…儂が気付かないとは……いやしかし、なぜユウキに固有スキルが?それとも最近なのか?」


 必死に抵抗するが、シノは自我を失ったかのように俺を見ながらブツブツと聞き取れるか取れないかほどの声で呟くシノは恐怖でしかなく少しちびりそうになった。未だ掴まれてる肩をふと見るといつの間にかシノの爪が食い込んだのか肩の周りが赤く染まっており、痛みを増幅させる。


「ほんとお願い!肩痛いから離せ!血ぃ出てるから一旦離せ!おいこらバカシノ!」


「誰がバカじゃ!てか少し黙れ!考え中じゃ!」


「いいからその掴んだ手を離せ!考える前に離せ!」


 そんなやり取りが約5分続いた。


☆★☆★☆


「すまん」


 俺の肩の傷を治しながらシノはそっぽ向いて謝罪を言葉にした。


「まぁ、それは別にいいよ。それより話してくれるだろ?なぜ俺に固有魔法があるのか」


「そういえばその話の途中だったな。固有スキルは基本、亜人または魔物が持つスキルでな人間が持つのはかなり珍しいことなのじゃ。まぁ、魔物や亜人が持っていることもめずらしいがの」


「それで俺の固有スキルは分かるのか?」


 俺はそう質問するとシノは苦虫を噛んだ表情で俯き、小さい声で「儂のも分からぬ」と悔しそうに答えた。


「この事態は儂にも想定外じゃ。まぁ、お主の『鑑定』の能力が上がれば固有スキルも分かるとは思うんじゃがな。とにかく一応『鑑定』は使えることになったんじゃ。あとは外でも頻繁に使って経験値を上げていくしかないな」


「そうか、とりあえず助かったよ。ありがとなシノ」


「礼を言うのはまだ早いぞ。礼を言うのは攻略隊とやらに参加できるようになってからにしてくれ」


 シノはそう言って笑みを浮かべ、片手を持ち上げる。


「じゃあ今度は摸擬戦が終ったら来い。いい結果を楽しみにしてるぞ」


「おう、せいぜい頑張りはするさ」


 俺はそう答えると、シノの指を鳴らす音と同時に視界が一変し、視界にはいつもの天井が広がる。俺はゆっくりと身体を起こし、右目に手を当てる。なんとなく異物があった感覚があったからだ。多分、『鑑定』が使えるようになったからだろう。今までとは違い視界の端、右上に小さな扉の様なアイコンが表示されている。


「これが『鑑定』の力か。……今日を入れてあと二日。出来るだけ『鑑定』をものにしないと痛い思いをした意味が無いよな」


 ベッドから立ち上がると身体を伸ばし、大きく呼吸をしてから俺は外から指す光を浴びながら気合を入れる。

次回更新は2/20です

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