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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦-15

「つうわけでサキ!俺に魔法を教えてくれ!」


 翌朝、俺はシノに言われた通り、パーティーメンバーのサキに魔法を教授してくれないかと交渉をしていた。結果から言うと—————


「え?いいよ。今日は特に予定もないしこの後でもいいの?」


「あぁ、そっちの都合が大丈夫ならこの後頼む」


 とりあえずと言った感じでサキに魔法を教えて貰えることになったのだが、その後の朝食の場でも質問攻めがとにかく面倒くさかった。(特に男性陣の)


 朝食を済ませ、朝からすでに疲れ気味の俺は先ほどまで食事が乗っていたテーブルに顔を突っ伏して休憩していると洗い物を済ませたハヤトがお茶を入れたカップを差し出してきた。俺はそれを受け取り、静かに口に運び、喉を潤す。


「しかし、いきなり魔法を覚えようなんて一体どうしたんだ?」


 朝食時にもカズに聞かれたが、やはり気になるのかハヤトは俺の体面に腰を下ろすと、お茶の入ったカップを口に運びながらそう訊ねる。


「うん、ちょっとな。ほら、俺の相手って攻略隊のソウジとサクラ、それと魔法支援部隊のアキラってやつだろ?一応ツーマンセルとはいえ相手は攻略隊だからな。少しでも手札は増やしたいと思ってな」


 俺はそう答えるとハヤトは納得したような表情を浮かべ、なるほどなと頭を縦に振る。


「確かに戦闘の場面で手札があるのはいいことだし、最悪相手の意表を突くことも出来るな。でも、これだけは言っておく」


 ハヤトはそう言って言葉を一度止め、一拍おいてからいつもより少し低いトーンで「ソウジとアキラってやつには勝てない」と答えた。


 普段のハヤトなら自分より上の強者が相手でも勝てない確証がない限りは言葉を濁し気味に答えるが、今回ばかりは一切濁さず「勝てない」と言い放ったのだ。ユウキは流石に摸擬戦前にそんなことを言われるとは思ってなかったのか多少イラつきはしたが、ハヤトの目を見る限りこれはほぼ間違いのない確証を持った言葉の重みだと理解し、これ以上何か言葉を掛けることもなかった。


「ユウキ君お待たせ……って2人ともどうかしたの?」


 会話が途切れ、沈黙が流れて始めると同時に2回からサキが戦闘服に着替えて、手には自身の武器であるロッドを持って降りてきた。そして降りてくるや否や、俺とハヤトの間に流れる変な空気に気付き、何かあったのかと問いかけてくる。


 俺もハヤトも特に何もないと答え、俺はサキと一緒にハウスを出、エイガルドから少し離れた森林で魔法を教わることにした。


 サキはいつも通りの外出用の白のシャツにフリルのついたキュロットスカートを履き、その上から全身を覆うほどのフードのついた黒いローブを着込んでいた。そして手には自身の同じくらいのサイズの左右3つずつ円環がついたT字型のロッドを両手で大事そうに持っている。


 かくいう俺は特に準備をするまでもなく、普段着の上から肘、胸、膝に部分的に守られる防具を身に付け、腰にはいまだ使われることのない2丁の拳銃と紫色の宝玉がはめ込まれた片手直剣だけだった。


「とりあえず魔法を教える前にユウキ君の属性をもう一度教えてくれる?」


「あぁ、俺の属性は火、光、闇の3属性だ」


 サキはそれを聞くなり、普段から肌身離さず腰のショルダーにしまっている一冊の本を取り出すとパラパラとページを捲り始め、いくつかのページに付箋の様な物を貼り付け、それらの作業を一通り終えると俺の方へとその本を渡してくる。表紙を捲り、付箋の貼り付けられたっ頁を開くとそこに書かれているのは火属性の初級魔法だった。サキはそれを見せながら「どの魔法を覚えたいか決めて」とだけ言葉を放つと俺に本を渡してくる。


「なんでもいいのか?」


「その付箋の付いてるページに書かれている魔法なら何でもいいよ」


 サキはそう答えると近くにあった手頃な切り株に腰掛け、本と睨めっこする俺を無言で見てくる。とりあえずサキからの視線は無視して本の内容に視線を移す。そこにはかつて日本に住んでいる頃にやっていたゲームにも出てきそうな名前の魔法ばっかりが記述されていた。


「えーと、『火球(ファイヤーボール)』に『火壁(ファイヤーウォール)』、『火嵐(ファイヤーストーム)』……これは火属性の魔法か。ほかにも『閃光(フラッシュ)』、『聖槍(ホーリーランス)』といった光属性の魔法とか『黒霧(ブラックミスト)』、『闇縛(シャドーバインド)』がある闇属性の魔法か。結構初級とはいえ沢山あって迷うな」


「決めるのに迷いがあるならその魔法をいつ使うのかを想像してみたら?そうすれば優先的に何を覚えるか決まると思うけど……」


 サキの言葉を頭に残し、さらに思考する。


☆★☆★☆


「よし、決めた!」


 俺は悩みに悩んだ末にある光属性の魔法を覚えることにした。


「結構悩んでたみたいだけど結局何にしたの?」


「これ、もしかしたら使えると思って……。それと余裕があればこれも覚えられるといいんだけど」


 俺はあるページの光属性の魔法を指差し、サキに見せるとサキは相槌をするように小さく何度か頷く。そして、サキは「じゃあさっそく始めよっか」と言葉を放ち、特に会話もなくサキの魔法講座が始まる。


☆★☆★☆


「やぁ、ユウキ。昨日の話は覚えているかの?」


「あぁ、完全とまでは行かないけど魔法の大体のコツは掴めたぜ」


「ほぉ……」


 俺は自信ありげにそう答えるとシノは少しだけ関心したような面持ちで短く言葉を溢すと、さっそく見せてみろと魔法を放つよう促してくる。


「とりあえず今日一日でどれだけ物に出来たか見せてみろ」


「それは『鑑定』の練習に意味はあるのか?」


「ん?いや、まったくないぞ。しかし、それほどの自身ありげな表情で言うのだから少しぐらい見てもよいなと思ってな」


 ユウキはシノの発言に呆れ顔を浮かべ、こんなことになるならと先ほどまでの自身満々な自分を殴りたいと思ってしまった。しかし、自信満々に広言を吐いたのだ。後戻りはできないし、やらないとやらないでシノの性格上、そして自身の経験上面倒臭くなると察したのかやることにした。

次回更新は2/13です

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