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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦-14

 シノとの一件以来ユウキは摸擬戦の間、毎日のように精神世界で『鑑定』の感覚を練習をしていた。しかし—————


「あー!ちっとも出来ねぇ!」


 ユウキは何もないただただ白い空間で声を荒らげ、何かに訴えるように叫んだ。


「ふむ、普通なら自身の名前とクラスくらいは練習しなくても自然と視えるはずなのじゃが……ほんとに何も視えないのか?」


「視えないからこうやって悩んでるんだろ?てか、コツとかないのかよ」


 シノはユウキの問いに無いとだけ答えると首を少し傾げながら顎に手を当て思考する。しかし、シノ自身にもなぜ発動しないのか原因が分からなかった。何故なら『鑑定』という能力は魔力量と経験によって鑑定できるものは変わっていくが基本的に魔力量が少なくても名前、クラスなど大体の個人情報は見ることが出来るのだ。


 また、『鑑定』は人間だけでなく魔物にも有効であり、なおかつ無理に深くまで鑑定しようとしない限り魔力の消費は少なく、自然と見る限りでは最低限の消費量で済むのだ。だから、魔力も最初に出会った頃に比べてかなり増えているユウキに使えなくてはおかしいのだ。と、そんなことを思考していると諦めが入ったのか横になったユウキと目が合う。


「なんじゃ?やっと出来たのか?」


「出来たら苦労しねぇし、出来たら報告位はするさ」


 ユウキは呆れた様にそう答えると身体を起こし、胡坐をかくと膝の上に肘をつき、その上に顎を乗せて大きくため息を吐く。


「それもそうか…。しかし、なぜできないんじゃろなぁ……」


「それが分かったら苦労しないって」


「……ふむ、おいユウキ。もう一回魔力を込めて鑑定が出来るか試してみろ」


「はぁ、なんでだよ」


「いいからやってみろ」


 シノはそう言うとユウキの目の前に立ち、早くしろと促す。ユウキも仕方なしと言った表情でシノを視線から外すと瞼を閉じ、右目の周りに最低限の魔力を集中させる。そしてゆっくりと右目を開くが—————


「……だめだ。何も視えない」


 結局、何も視えずユウキは魔力を集中させるのを止めるとシノが何やらまた考え込んでいるのが目に入る。その顔は先ほどとは違い、何かを掴みそうだが決め手にかかるといった面持ちだった。そして少ししてからユウキの方へと顔を向けるとまた同じようにユウキに鑑定してみろと物申した。


 ユウキもこれ以上のやり取りは面倒だと感じたのかそれとも何を言っても無駄だと察したのか何も言わずシノの言う通りにまた右目に魔力を集中させ、鑑定を発動させようとした。ここまでは先ほどと同じだが、今回はシノがユウキの手に触れ、魔力の流れを確認していた。そして一連のやり取りが終るとシノは確証を得たといった表情でユウキにこう言葉を掛ける。


「多分だが、原因が分かったぞ」


「ほんとか!それで出来ない原因はなんだ!」


「まぁそう逸るな。順を追って説明してやる」


 シノはそう言うと肩を掴むユウキの手を払い除け、足元を指さしながら座るよう促す。ユウキは大人しくその場に座り胡坐をかくとシノが話し始めるのを待つ。


「まず、忘れてたが『鑑定』についての説明と魔力量の消費についてじゃな」


「そういや『鑑定』については何となくしか説明されてなかったな。てか、説明する前に人の目ん玉抉ってお前の埋め込んできたもんな」


「だから昨日は悪かったと今日も謝っただろうに……」


 シノは呆れた様にそう答えると一拍おいて真剣な面持ちで話始める。


「まず『鑑定』についてじゃが『鑑定』は魔物の名前や状態、相性、属性、レベルが確認できる。もちろんもっと深く視ようと思えば、その魔物のスキルや特性が分かる。これは魔物だけじゃなく人間にも使えるぞ。色々と制限はあるがな。それからダンジョン内にあるトラップの仕掛け等も発見できる」


「聞くだけだとかなり有用だよな。それで制限てのは?」


「制限は何にでも魔物にも人間にも存在はするが、かなり簡単なものだ。制限てのは簡単に言うと使用者の魔力量に大きく比例する。普通に視るなら最低限の消費量で済むのじゃが、先ほども言ったように深く、細かく視るとなると魔力量もかなり消費するということじゃ」


「それは俺が『鑑定』が使えないことと関係するのか?」


 ユウキの問いにシノは静かに首を縦に振り、話を続ける。


「ユウキ……お主の中には確かにそれなりの魔力がある。それも初めて出会った頃よりも増えておるしな」


「じゃあ何が原因なんだ?」


「……お主、外で魔法を使った事ないじゃろ?それも一回も」


 ユウキはそんなことないと返そうとしたが、よくよく振り返ってみるとエイガルドに来た当初から剣の扱いや戦闘時の動き方についてばかり勉強していたせいか魔法という物に一切触れていないことに気付いた。しかも、魔法だけでなく腰に携えた2丁の拳銃も魔法が使えない理由で一度も使われることもなくただの腰飾りのようになっていた。


「俺はどうしたらいい?」


「簡単なことじゃ。魔法を使ったという経験、感覚をその身体に覚えさせればいい。ついでに魔力の流れもな」


「でも、俺は魔法を知らないぞ?」


「お主のパーティーに魔法使いがおるじゃろ?祖奴に簡単な魔法で良いから学び、身体に感覚を覚えさせるんじゃ」


 シノはそう答え、さらに「とりあえず今日はこれで終わりじゃ。明日来るまでに魔法を覚えて来い。」とだけ言葉を放つと指を鳴らし、ユウキを夢から解放した。

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