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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦-12

 タイヘイの攻略隊参加の決定を見届けた後、カズの摸擬戦を見に足を運ぶと丁度カズの方も最後の摸擬戦を終え、無事2人とも攻略隊に参加する権利を得られた。その後、ハウスで前日にこうや攻略隊参加の権利を得たアカネと一緒に2人を簡単に祝い、皆見えないところで気を張っていたのかすぐに床に就いてしまった。それは応援をしていたユウキも同様で前日見た夢の事も忘れてすぐにベッドに横になり、深い眠りに入ってしまった。


☆★☆★☆


「よぉユウキ、久方振りか?」


 眠りについたユウキが目を開くとそこは真っ白の空間に巨大な紫色の宝玉とその上に座り、子供の様な華奢な身体を白いワンピースに包み、足をぶらぶらと揺らしている宝玉と同じ色の腰まで伸びた髪をしたシノが片手をあげて短く挨拶をした。


「シノ……お前がいるってことはまさか……」


「あぁ、お主の精神の中じゃ」


 ユウキの問いにシノは少しだけ頭を縦に振ってそう答えると、座っていた宝玉から飛び降り、ユウキの元へと近付いていく。そしてシノはユウキの周りを一周回ったあと、ユウキの顔を覗き込むように顔を寄せると、ユウキの左目を大きく開くように瞼に指をくっつける。


「……何してるんだ?」


 ユウキはシノの行動に何の抵抗もなく、左目を覗き込むシノにそう訊ねるが、シノは黙したままユウキの左目を覗き込む。そして————


「ふむ、今のところは順調か」


 そう言い捨てるシノに対し、ユウキは「いや何がだよ」と内心思いつつも、何も言わず離れたシノを見つめる。そして、一度大きく息を吐き、一拍おいてから何故また呼び出したのかを訊ねるが、シノはその質問は予想していなかったのか、赤い瞳を少しばかり見開く。そして、ため息を吐くと呆れた様にゆっくりと答え始める。


「儂がお主に用があるのではなくお主が儂に用があるのではないか?」


 シノはそうユウキに訊ねるが、ユウキには思い当たる節がこれと言って無い。それを見たシノは再度呆れた様に今度は先ほどより長めにため息を吐くと小さい声で「夢の話だ」と答える。それを聞いたユウキも思い出したように「あぁ……」と言いながら右手の手のひらに左手で作った拳をポンと乗っけて思い出した様に口を開く。


 ユウキは昨夜見た夢の内容は左目に宿る未来予知の能力によるものなのかと訊ねるつもりだったのだ。シノ自身もユウキの中に居るわけであり、ユウキの見たもの感じたものはシノ自身にも伝わってくるのでユウキの見た夢の内容はユウキ以上に全て感じ取り、知っていた。


 シノがユウキを精神の中に呼び出したのもそれが原因であり、未来予知に関しての話があったからだ。だから、シノはユウキの問いに対し静かに頷いた。そしてシノは続けて言葉を続けた。「未来予知で見た内容はほぼ確実に現実で起きる」と……。


 それを聞いたユウキはある程度察していたのか、あまり吃驚することはなく「そっか……」と短く答え、軽く息を吐いて一拍おいてから「どうすっかな……」とこれから起きる事に対しての対策を思案する。


 だが、シノもそれだけを伝えるためだけにユウキを呼び出したわけではなかった。あの夢を目にした直後、シノは対策としてユウキにあるものを授けようと考えたのだ。それは神殿にある宝玉がエイガルドに来た転移者の能力を確認するための力を持った能力『鑑定』を授け、使い方を教授しようというものだったのだ。


 しかし、その行為はある意味ユウキに負担を掛けるだけでなくそれなりのリスクと時間が必要だった。ユウキが見た夢の内容は明らかに摸擬戦の何戦目かであり、期間は残り4日程度しかなく、なおかつユウキの身体にまた新たな能力を授けるという異例であり、前例がないものだったためどのようなリスクがユウキの身に起きるかシノでさえも分からず、最悪な状況しか思いつかなかった。


 それを踏まえた上でシノはユウキに能力を授けるという決心をした。それしかあの最悪な状況を回避する方法はなかったのだ。ユウキは夢として見ただけであり一部の内容しか知らないが、シノは一部だけでなくその後起きることまで全て見て、知っているのだ。


 ユウキの見た夢の内容は摸擬戦中に対戦相手である攻略隊の騎士になぜか妬まれ、血まみれになり、意識が飛ぶほどの攻撃を数多に受けるというものだったが、シノが見た内容はユウキが見たものとはかなり違いがあり、対戦相手である攻略隊の騎士に受けた攻撃により、命を落とすという最悪の事態だった。


 運が良くても下半身麻痺で攻略どころか生きるのさえままならない状況だろう。シノはユウキを呼び出すまで何度も思案し尽くしたが、回避できるのはこの能力しかないと考えを決めたのだ。だから、シノは見た内容を包み隠さず、ユウキに全てさらけ出した。例え、どんな結果を迎えようと最悪の事態だけは免れなくてはという気持ちでそれを伝えた上で能力の提供を提案した。


「というわけでお主にはこれから儂の能力を手にし、それを使いこなしてほしいのだ」

次回更新は1/23です

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