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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦—9

「おぉ、今日も昨日と変わらず盛り上がっているな」


 俺たちは準備を済ませると早々に摸擬戦が開かれているギルド裏の訓練場に足を運んでいた。そこは昨日同様参加する冒険者や観客で賑わっており、騒がしく人が多いせいか熱気が立っていた。


「タイセイの試合は午後かららしいから先にカズの試合を見に行くか?」


 俺は今朝タイセイがハウスを出る直前にそれを聞いたのをふと思い出し、皆にそう教える。


「そうだな、じゃあ取り合えずカズを探しに行くか」


 ハヤトはそう言うと人混みの中をものともせず搔き分けて歩いて行った。俺たちもハヤトとはぐれないように着いて行く。


「あ、あそこにいるのってカズ君じゃない?」


 人混みを掻き分けながら歩いているとサキがカズを発見したらしく指を指してそう声を発した。ハヤトは気付いたか曖昧だが先の近くにいたマシルとアカネ、俺はすぐに足を止めサキの示す方向へと顔を向けると確かにカズがいた。だが、視線の先にいるカズの表情はどことなく暗く、真っ青な色をしていた。


 その原因は人込みの中からじゃ分からなかったが、近付いていくにつれカズの顔色が悪い原因が分かった。カズの背後から誰かが抱き着いている。俺は近付くにつれその人物が誰なのか分かった。カズに抱き着いていたのは目が少しばかり血走っていながらも乙女のように頬を少しだけ赤らめて身体を(主に下半身)をくねくねと左右にくねらせながら鼻息荒く抱き着いている筋肉ダルマ(乙女)ことマコちゃんだったのだ。


 それを見た俺たちは————


「「「「関わるのは止めとこう」」」」


 この時だけは皆の心が1つになった気がした。ちなみにハヤトは案の定、サキの声に気付いていなかったらしく1人でどんどん先に進んで行ってしまい結果的にはぐれてしまった。呼び戻せば良かったのだろうけどそれどころじゃない物を目にしてしまい、それを見るために皆ハヤトのことそっちのけでカズのいる方向へと歩いていたのだ。仕方ないと思う。


「……カズのことは放っておいてはぐれたハヤトと合流しよう」


「そ、そうだね!邪魔しちゃ悪いし!」


「気持ち悪いもん見た気分だ」


「は、早く…い、行きましょう」


 おのおのにそう言葉を発するとハヤトが向かったであろう方向へと歩き出す。カズのいる方向から進もうとする方向へと視線を向けようとする直前でカズと目があった気がしたが多分気のせいだろう。あった瞬間希望を見言いだした様な目になった気がしたが気のせいだろう。


☆★☆★☆


 しばらく人込みの中を歩いていると人込みから少し離れた所で他の参加者の摸擬戦を観戦しながら話しているハヤトとタイセイを見つけた。


「お前ら何してたんだ?探してはいないがいきなりいなくなってたから心配したぞ」


 ハヤトは俺たちを見て開口一番にそう言った。タイセイもハヤトから話を聞いていたのか少し心配そうな表情を浮かべるが俺たちの姿を見て、すぐに表情を硬い笑顔へと一変させた。


「それでカズには会えたのか?」


 ハヤトはカズと会う前にタイセイと会ってしまったのかずっとタイセイと話をしていたらしくこの場から動いていないせいか俺たちにそう聞いてきた。


「カズ君に何かあったの?」


 確かにカズに会いは出来たが、声を掛けることもなくその場から移動してしまったのでどう答えようか思案しているとカズに何かあったのかとタイセイが心配そうな声で聞いてくる。何かあったっちゃあったのだがどう説明しようか改めて思案しているとアカネが面倒くさそうに口を開いた。


「あいつならあっちの方でマコといちゃいちゃしてた。カズのやつ今にも死にそうな顔してたがな」


 アカネが指で方向を示しながらそう言うと状況を察したのかタイセイとハヤトは渋い顔をしながら「あぁ……」としか答えなかった。


☆★☆★☆


 ユウキたちが合流を済ませる少し前。カズはギルド裏から一番近い闘技場で他の参加者の摸擬戦を観戦していた。


「カズ君、身体の調子はどうかしら?」


 背後から声を掛けてきたのは今回の摸擬戦を管理する1人であり、ギルドの長である見た目だけなら冒険者にも負けないほどの隆々とした筋肉を持った男だが、性別は一応女性で中身はカズに恋をするという乙女の一部を持ったマコだった。


「……あぁ、なんとか大丈夫かな。世話になったなマコちゃん」


「別にぃ気にしなくていいのよぉ。私とカズ君の中じゃない」


 マコは身体を少しばかり左右にくねらせ、頬を赤らめながらそう答える。これが可愛い女の子や顔の整った美人だったらどれほど嬉しい事かカズはなるべくそれと目を合わせないようにしながら乾いた笑みと声を上げながら笑う。


「……ねぇねぇカズ君、私少し働きずぎなのか疲れちゃったみたい」


 マコはそう言ってカズの背中から腕を回す形で静かに抱き着く。カズは背筋に悪寒を感じながらも引き攣った笑みを浮かべながら鼻息荒いマコを労わることに努力を費やす。途中、様子を見に来たユウキ達と目が合い助けを求めたが、ユウキたちは何も見てないとでも言いたそうな顔でその場を静かに立ち去り、カズは諦めという言葉が頭の中を走り回った。

次回更新は1/2です

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