模擬戦—7
「てことで今日はカズ帰ってこないから」
一日目の摸擬戦が終ったあと、ユウキとハヤト、タイセイはタイセイの今日最後の試合が終わるや否や、明日当たるだろうと思える相手の摸擬戦を偵察した後、ハウスに帰ってきた。ハウスに入るとすでに女子3人が帰ってきており、先に夕飯を作ってくれていたらしくハウスに入った瞬間、空腹を誘ういい匂いが漂っていた。
だが、それも束の間カズがいないことにアカネに気付かれ、夕飯を食べながらハヤトが事情を話していたところだった。
「相手が強かったとはいえ何も出来ず動けないレベルまでやられるとかバカだなあいつ」
「こら!アカネちゃん、カズ君だって頑張っていたはずなんだからそんなこと言っちゃだめだよ!」
事情を全て知ったアカネは鼻をフンと鳴らし、見下すような態度でこの場にいないカズを罵ったが、すぐにサキに注意され、黙ってしまった。ユウキもユウキで少し言い過ぎでは?と心の中で思ったりもしたがそれを口に出すとまた面倒なことになりそうだと思ったので口を噤んだ。
「まぁ、今は攻略隊の神官たちに回復してもらって動けるようにはなっているらしいけど一応安静という意味でギルドに泊まっているだけだから明日には戻ってくるさ」
「戻ってこれるかだけどな。”あれ”がいるし」
アカネは再度口を開き冗談交じりにそう言った。アカネが指す”あれ”とは十中八九ギルドマスターの筋肉ダルマ(乙女)ことマコの事だろうとユウキを含めて皆が頭の中に思い浮かべた。一拍を置いて再度サキが注意をしたが、先ほどと違って言葉にはキレが無かった。
「とりあえず明日はタイセイとここにはいないカズの摸擬戦がメインだろうからタイセイは明日に備えて早く寝ろよ?正直、俺も色々と動いたりとしてて疲れたから寝るわ」
ハヤトはタイセイにそう言った後、眠そうに欠伸をしながらそう言って席を立つと食器を流し台に持っていき、「じゃあまた明日」と言って部屋に戻っていった。それに続くようにサキ、マシル、アカネも食器を流し台に持っていくと各自部屋に戻っていき、リビングにいるのはユウキとタイセイだけになった。
「食器俺が片付けておくからタイセイは部屋に戻って休めよ」
ほんの少しの静寂の後、俺はそう言って食器を片手に席から立ち、流し台で作業を始める。
「うん、ありがとう……もう一杯飲んだら部屋に戻るよ」
タイセイはそう言ってカップに入っている残りの液体を一気に飲み干し、ポットに入っている液体をカップに注ぎ直し、今度はゆっくりと湯気の立つカップを口に運ぶ。カップから口を離すとタイセイは大きく長い溜息をゆっくりと吐き出し、思い出したかのように落ち込んだ表情を浮かべる。
「はぁ……なんであそこでミスしちゃったんだろ」
椅子の背もたれに凭れかかり天井の照明を見つめ、静かに目を閉じると静かに吐き出すかのようにそう呟いた。タイセイの呟きに俺は特に何も言うことなく黙々と洗い物を捌いていく。日本の水道とは違い、水桶に溜めていた冷たい水を使いながら切れなくなった服の切れ端などの簡易的なスポンジを使って汚れを落としていく。もちろん洗剤なんてものはないから根気よく手で擦り落としていくだけの作業だった。
「そろそろ戻るね。ユウキ君、洗い物ありがとう」
「おう、ゆっくり休めよ」
洗い物と戦っている内にいつの間にか時間が経っていたのかタイセイは新たに注ぎなおした液体を飲み干し、少しは落ち着いたのか眠たそうな足取りで自室へと戻っていった。タイセイが自室に戻っていったほんの少し後に俺も洗い物を全て終えたので少し席についてポットに余った液体を飲みながら休憩をしたのちに自室へと戻っていった。
部屋に戻り、着替えを済ませるとどっと疲れが出てきたのか倒れ込むかのようにベッドに横になり、窓から覗く夜空を眺めながら眠りについた。
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『あなたごときが攻略隊?舐められたものですね』
『レアな銃剣士になれたからって調子に乗らないでください!』
『いやだぁああああ!まだっ!死にたくない!!』
『誰か、助けてっ!お願い、だ!』
『お前は、生きろよ……』
(起きろ。おい、ユウキ起きんか)
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その夜、すぐに眠りについた俺は変な夢を見たが、夢の最後の方で聞き覚えのある声に遮られ目を覚ました。夢と言ってはかなり現実味が増しており、ほんとに夢なのかを疑ってしまうほどだったせいか起きた時は汗で服をかなり濡らしており、そんな濡れた服では窓から入る朝の冷たい風が濡れた服を吹き抜け少しばかり寒かったが、おかげで眠気を根こそぎ取っていかれた。
次回更新は12/19です




