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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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模擬戦—5

『あなたが攻略隊に?無理ですよ』


『その程度の強さで何を思い上がっているんですか?』


『はぁ、理解に苦しみます』


『早々に諦めた方が良いかと』


☆★☆★☆


「はッ!!」


 摸擬戦中にカイザに言われた言葉が悪夢の様に頭に過り気絶していたカズは全身から大量の汗を流しながら目を覚ます。カズは重い体を起こすと、治療をされたのか大体の傷は治っていたが、治っていない部分には包帯が巻かれていた。


「おっ、起きたかカズ。調子はどうだ?」


 カズの寝ているベッドの近くで窓から見える摸擬戦を観戦しながら看病をしていたハヤトはカズが起きたことに気付き、視線をカズに向けながらそう言う。


「ハヤト、か……ここは、どこだ……?」


「ここはギルドの応接室。普段は絶対に入れないがマコちゃんが特別に開けてくれた」


「そうか…それより俺は負けた、のか……?」


 カズは顔を伏せ、毛布を強く握りながら声を絞り出すようにそう質問する。


「あぁ、こっぴどくな」


 ハヤトの容赦ない返事を聞いたカズはより一層毛布を掴む力を強め、身体を小刻みに震わせる。


「まぁ、今回は負けちまったがあと2戦はあるんだ。そこで挽回するしかないだろ」


「……わかってるよ」


「それにこの摸擬戦は勝ち負けだけじゃないからな。実力さえ認められれば攻略隊には参加出来るんだ。気負いすぎも意味がないぜ?」


 ハヤトはカズにそう言うと、椅子から立ち上がり部屋を出ようと扉の方に歩いていく。そしてドアノブに手を掛けるときにカズの方に一度振り返りると「じゃあ俺はマコちゃんに報告してくっから」と言って部屋を出て行った。


「くそっ…分かってはいるんだよっ!だけどっ!諦めるわけにはっ……!」


 ハヤトが出て行ったあとカズは1人悔しそうに涙をこぼしながら呻き声をあげた。


☆★☆★☆


「あら、ハヤトちゃん。カズ君の容態はどう?」


 ハヤトはカズのいる部屋を後にしたあと、未だけたたましい歓声が響く摸擬戦が行われているギルドの裏にある訓練場で摸擬戦の結果を記録しているマコの下へと足を運んでいた。


「一応、目は覚ましたけど今は誰も近づかない方がいいかもな」


「そう……確かにあの摸擬戦は酷いものだったしね」


 マコはハヤトの言葉を聞くと思い出したように、顔を伏せ気味にそう呟く。


「まぁ、負けちまったのは仕方ねぇさ。あれがあいつの実力だからな」


「ちょっとハヤト君?カズ君がここにいないとしてもその言い方はないんじゃない?」


 ハヤトの言い方に不満があるのかマコはハヤトを鋭い視線で睨み、声を低くしながらそう聞き返す。だが、ハヤトはそんなことを承知で言葉を続ける。


「別にいいんだよ。あいつはこんなところで躓くほど柔じゃないし、何よりうちのパーティーメンバーの中じゃ1、2を争う負けず嫌いだからな」


 ハヤトはそう言って笑い飛ばした。しかし、マコはやはりハヤトの言い方には納得できないが、カズのことを自分よりハヤトの方が知っているのは当然のことであった。


「信じてるからそう言えるわけ?」


 だからマコは短くそう聞く。すると、ハヤトはこれ以上ない笑顔を浮かべながら「そうだ」とだけ答える。ハヤトの自信たっぷりな返答にマコも諦めがついたのかもうこれ以上何かを言うことはなかった。


「じゃあ、俺はタイセイの方に行ってくるわ。どうせ、今日はもうカズの出番はないみたいだしな」


 ハヤトはそう言うとマコの下を離れ、またギルドから一番離れている闘技場に向かって人混みを掻き分けながら歩いて行った。


「……信じているからこそ言えることなのかしらね」


 ハヤトが完全に人混み紛れて見えなくなった頃、マコは何かを悟ったかのような表情で誰にも聞こえないほどの小さい声でそう呟く。

次回更新は12/5です

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