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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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攻略隊の帰還と勧誘—11

 目的の場所に近づくにつれ鉄の匂いが強まり、鼻を刺激する。そして指定された道を右に回ると———


「……やっぱりか」


 ソウジは力ない言葉でそう呟いた。ソウジの視線の先にあるのは壁や床、天井にこびり付いた赤い血とタイガが着込んでいた鎧の破片、そして地面に深く突き刺さった日本刀だけであり、キメラの姿やタイガの姿はどこにもなかった。


 唯一違うところを上げるとすれば、ソウジたちが初めてキメラと対峙したときにはなかったはずの壁に大きく開いた穴だった。穴の周りをよく見ると誰のものなのか分からないが穴の周りにも所々血が付着しているのが分かった。


「サクラ、一応索敵してもらっていいか?出来る範囲まで」


 サクラはソウジの言われた通り索敵を始めた。


「……索敵終わりました。けど、タイガさんの魔力もキメラの魔力も感じ取れません。あるのは第5層にあるボス部屋から1つの禍々しくキメラよりも大きい魔力だけです」


「ははっ…マジかよ……あれより強い奴がいるのか……」


 サクラの報告を聞いてソウジは呆れるあまり笑いが出てしまった。


「笑ってる場合じゃありませんよ。今はタイガさんの……あまり言いたくはないですが遺品の方を回収してエイガルドに戻りましょう。いつ魔物が襲ってくるのかもわかりませんし長居は無用です」


 サクラはそう言って歩きだし、刀身の出た刀と鎧の破片を回収し、破片は持っていた袋に仕舞い込み、刀はソウジに渡した。


「受け取ってください、覚悟はしていたはずです。これからは貴方がタイガさんの代わりに攻略隊を導き、ダンジョンを攻略していくんです」


 サクラはいつも通り平常にそう話そうとするが、誰にでもわかるくらいに声と刀を持つ手が震えている。ソウジはそんなサクラの様子を見て、さらに泣きそうになるのをグッと堪え、覚悟を決めた瞳でサクラを見つめ返すと静かにタイガの刀を受け取る。


「そうだよな……俺がしっかりしなきゃ、な」


 ソウジはそう言うと刀身に布を巻いた刀を腰に差している自身の剣の隣に差し、攻略隊に再び指示を出した。


「よし!お前ら今からダンジョンを脱出する!サクラは再び索敵を頼む!陣形を崩さずさっさとダンジョンを脱出するぞ!」


 ソウジの指示に攻略隊のメンバーは回れ右をし、陣形を整えると出口に向かって歩き出した。サクラとソウジもメンバーに着いて行くように歩き出す。


(タイガ、攻略隊は俺が導くから安心しろ!)


 ソウジは歩き出す直前に後ろを振り向き、何もない空間に向かってそう心の中から叫んだ。そしてサクラもソウジ同様に何もない空間を見つめていた。


——————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————


「てな感じで今回はダンジョンから戻ってきたんだ」


 話し終えたソウジは手に持ったジョッキに入った液体を一気にゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み干し、ふぅ…と大きく短く息を吐いた。話し終えたソウジは話し始める前の気まずそうな表情から一変し、少しスッキリしたのか穏やかになっていた。


 多分今の今まで気を張っていたが、ランクは違えど仲の良いカズたちに話したことで少しが肩の力が抜けたのだろう。


「てな感じでって結局はタイガは死んで、ダンジョンは攻略できなかったってことか」


 カズは暗い表情でそう重く言葉を発し、少しだけジョッキの中身を口に運ぶ。またソウジも否定はしなく、短く「あぁ、そうだ」とだけ返しその場だけはまるでお通夜のような状態になっており、あまり飲んでいないユウキやタイセイだけでなく結構な量飲んでいたハヤトも暗い表情を浮かべていた。


「それでそのダンジョンの攻略は諦めるのか?」


 暗いお通夜状態の中、カズは目の前に出された料理を一口、また一口と運びながらソウジに疑問をぶつけた。カズの突然の言葉にユウキは驚き、また隣で聞いていたハヤトとタイセイは何かを悟ったかのようにソウジに視線を移し、そしてユウキもソウジの方に視線を移すとソウジはカズの言葉に少しだけ口角を上げていた。そして——――


「もちろん諦める気はないさ。タイガの無念も晴らしていないし何よりあそこはさっさと片付けなきゃ後々面倒が残るからな」


 ソウジはニヤっと笑いながらそう答えた。そしてその言葉を持ってましたと言わんばかりにカズやハヤト、タイセイも笑みを浮かべていた。

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