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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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攻略隊の帰還と勧誘—7

 キメラはある所を境に走りだし、こちらに勢いよく向かってきた。そして、タイガたちの手前で飛び、鋭い爪を持った右前脚を振り上げ、こちらに振り下ろしてくる。


「っ!避けろぉ!」


 タイガの叫びと同時にガキンッと何かがぶつかり合う様な音がダンジョン内に響き渡る。


「……くっそ!お、おめぇ!」


 タイガの後ろにいたソウジが腰に下げた片手直剣をキメラが右前脚を振り下ろすと同時に抜き、最前列にいたタイガに当たるはずだったキメラの攻撃をソウジ1人で受け止める。ソウジにとってはキメラの攻撃が予想以上に重かったのか額には脂汗が浮き上がっている。


「ソウジ!」


「今はこいつに専念しろ!気を抜くと一瞬でお陀仏だ!」


 ソウジの言葉にタイガは我に返ったようにハッとした表情を浮かべ、自分の後ろにいる攻略隊のメンバーたちに視線を移すが、タイガの想像通り皆は想定外の出来事、キメラというダンジョンボスとして知られている魔物が第3層に存在するということに対しての絶望感に戦意を失ってしまっている。


 辛うじて、まだ手に武器を持っている者がいてもキメラの迫力に気圧され、足が竦んでしまい動こうにも動けない状態だった。


「っ!全隊員に告ぐ!今すぐ武器を手に持ち、目の前ですでに交戦しているソウジ副隊長に加勢せよ!それが出来ないのであれば死あるのみだ!生きて帰りたければ戦え!戦うぞして生きて帰れるか!」


 タイガは腰に差している刀を抜き、そう攻略隊のメンバーに伝えると、ソウジに加勢するようにキメラに向かって走り出す。


「…や、やってやる!俺はまだ死にたくないんだ!」


「無理だ、こんなのに勝てるわけがない!」


 タイガの言葉に動かされる者もいれば、さらに動けなくなる者もいた。だが、今の現状を考え、今どうすればいいかを考えれば、すぐに答えは見つかった。


 1人が逃げれば、それに乗っかり逃げ出す者が出てくる。そして死者が増え、最後には逃げ出した者も目の前の敵に殺される。なら、考えられる事はただ1つ、目の前の敵を倒し、すぐにその場から離脱する事だけが今考えられる最善の考えであり、キメラと対峙する攻略隊全員の考えであった。


「陣形を整え、前衛部隊を支援しろ!後方支援部隊は回復を怠るな!ガーディアン隊は絶対に気を抜くな!」


 タイガは全体を見渡し、こと細かく指示を出す。皆もタイガの指示に耳を向けながらも目の前のキメラからは目を離さなかった。


 しかし、キメラの動きも素早く後方支援隊の魔法や矢は今の戦闘では邪魔でしかなく、さらにはキメラ自身も魔法を使ってくるせいか被害は甚大だった。


「くそ!動きが速すぎて攻撃が当たらねぇ!」


「どうするタイガ!」


 ソウジは最前でキメラの攻撃に耐えながら陣形の中心で思考しているタイガに語り掛ける。


「おいサクラ、周りの魔力反応はどうだ」


「……今のところはあいつがいるせいかまったくないです」


「そうか、ならお前にはこの後の道案内を頼む」


 サクラはタイガの言うことに理解が出来なかった。


「それはどういう……?」


「あいつを倒したらすぐにこのダンジョンから離脱する。現状をみればそれが妥当だ。けが人が多すぎる流石にあいつを倒し終えたところでダンジョン攻略を再開するのは至難だ」


「だから、この先の道の安全を確認しろと?」


 タイガは静かに頷き、さらにサクラにしか聞こえない声で言葉を発する。


「いいな?これは隊長命令だ。どんな状況だろうとソウジを…みんなを連れて帰れ」


「ですが、それではタイガさんが!」


 サクラは驚きと困惑の表情を浮かべながらタイガに物申しようとした途端、タイガに指で唇を押さえつけられた。


「後方支援の皆にも先ほどの策を伝えておけ」


 タイガはそう言い残すと目の前にいる攻略隊のメンバーの間をギリギリで避けながらキメラに向かって走り出した。

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