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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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攻略隊の帰還と勧誘—4

 ダンジョンを攻略し始めて約2時間が経った。攻略隊の皆は常に周りに気を張っているせいか小さな物音一つでも武器を抜き、警戒を強める。


 現在いるのはダンジョンの2層の中盤あたりだろう。第1層は6人程度のBランクパーティーであれば余裕で突破できる程度の魔物の強さでそんなに魔物の数も多くなく、運が良かったのか魔物と出会っても単体または2から3体程度の魔物だった。


 第2層の中盤まで来て分かったことはこのダンジョンは全5層で成り立っていることが分かった。なぜそのようなことが分かるのかというと攻略隊の索敵部隊の1人で、ハンターのクラスに分けられたサクラという女性の印の能力のおかげだった。


 彼女の印の能力は『広範囲索敵』。彼女曰く、約100キロ範囲の場所までなら音の振動などで大体の構造は把握できるとのこと。それが例え、ダンジョンや一寸先の闇の中でもだ。


 ほかにも彼女の能力に似た索敵能力持ちはいるが、彼女の能力以上に高い能力を持っている者はいなく、せいぜい5キロ先までの範囲しか把握できないものだった。


 確かに、次の階層までの道が分かっているのだから早く進もうという考えもわかるし、そういうことを言う輩が出るのも仕方ない。しかし、ダンジョンはダンジョン最奥にある魔石の魔力により少しずつ変化していく。迂闊に動き回って、魔物と鉢合わせをしてしまったら危険でしかない。


 ただでさえ、ダンジョンの魔物はダンジョン外の魔物よりも強さはもとより他の能力を見ても圧倒的な差があり、警戒もなしに突撃しようものなら全滅を逃れることは出来ないのだ。


 だから、皆は早く進みたいという気持ちを抑え、口に出す事もなく周りを常に警戒しながら動いているのだ。もし、攻略隊にまったく戦闘に関しての知識がない者が参加してもすぐに音を上げ、自分勝手に動き回り、パーティーメンバーだけでなく攻略隊全体に迷惑と被害、損害を出すことは考えるまでもない。


 攻略隊の参加条件がAランク以上というのも戦闘に慣れており、パーティーメンバーへの気遣いや把握ができる者のみが参加できるというのも頷ける。


 ちなみにこの条件を作ったのは現攻略隊隊長のタイガだ。


「よし、これで第2層も突破できたな。サクラ周りの索敵はどうだ?」


「……この辺りは魔物はいないようです」


 タイガの問いかけに先ほどまで第3層の索敵をしていたサクラはそう答える。サクラの言葉を聞いたタイガは少しだけ気を抜くと、すでに気を張りすぎて疲れている隊員たちに視線を向ける。


「そうか……よし、お前ら!ここで15分の休憩を取る!」


 タイガの言葉を聞いた隊員たちは周りに魔物がいないことを悟ったのか、溢れ出すように気を抜き、おのおのが地面に座り込んだ。周りを見ると地面に座る者に紛れ、鎧を少しだけ緩め、地面に寝っ転がって仮眠を取ろうとしている者もいた。


「サクラ、君も少し休め。それと15分後、もう一度だけ索敵をしてくれ。今度はこの階層の全体をだ」


 サクラは一言「分かりました」と答えると、他の皆と同じように全身に張っていた気を緩め、地面に突っ伏した。地面に突っ伏したサクラから視線を逸らし、考え事をしようとすると、背後にある気配を感じ、咄嗟に動こうとしたが遅かった。


「タイガ、お前も少し休め。ほらっ」


 そう言ってタイガの肩に手を置きながら現れたのは副隊長のソウジだった。ソウジの片手には水が入った筒の形をした容器と少しばかりの携帯食料だった。タイガは肩の力をすっと抜きながら、水の入った容器と携帯食料を受け取る。


「サンキュー、ソウジ」


 タイガはそう言って、水をゆっくりと口に含み、携帯食料を少しばかり齧った。

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