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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第2章 「騎士の国『ブレスタ編』」
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ヴィーブル領とアスクリムゾン領-8

「誰彼構わずでれないという訳ではないとは思いますが、条件らしきモノはあります」


「それは?」


「それはですね—————」


 ユウキの問いかけにイズが再度口を開いた瞬間、馬車の揺れが収まった。そして、馬車の扉が開かれ、リンが着きましたよ、と降りるよう促してきた。そのリンの報告にイズは降りましょうか、と一言言うとリンの手を借りながら馬車を降りた。それに続くようにユウキ達も馬車を降りる。馬車を降りて、すぐ目の前には鉄製の屋敷門がユウキ達を迎えるかのように開かれていた。


 イズの後を追うように門を通り抜けると、数人のメイドと執事が姿を現した。


「お帰りなさいませイズ様。……それで、そちらの方々は?」


「私の客人です。後からリンも来ると思うのでそのまま私のところに通してください」


 執事はかしこまりました、とイズの言葉に一礼するとともにそう言葉を返すと、イズの荷物を預かり屋敷の中へと入っていく。イズもそれに続くようにユウキ達を促しながら屋敷の中へと入っていく。屋敷の中は外から見ても分かるくらい広く、部屋数も多い。ユウキ達はその部屋数と広さに圧倒されそうなりながらもイズの後ろを着いていくと、イズは数ある部屋の中でもかなり大きめの両開き扉の前で足を止めた。そして、扉の前で三度ほどノックをしてから失礼します、と口にしてから扉のノブを押した。


「ただいま帰りました。お父様、お母様。そして、お姉様」


 部屋に入るとそこはダイニングのようで長テーブルと椅子が人数分配置されていた。その中でも扉から一番離れているところにイズの父と思える男性が座っており、その斜め横には女性が三人並ぶように座っており、男性に一番近い女性は見た目からしてもイズの母と思えた。そして、その隣には同じように女性が二人座っていたが、一人はおっとりとした優しい目でこちらを見ており、もう一人は目つきが鋭く、睨むような視線を向けていた。


「やぁ、お帰りイズ。それでそちらの方々は客人かな?」


「えぇ、私とリンの恩人ユウキさんとマシルさんです。彼らはエイガルドから来たそうですよ」


 イズがそう言うと父であろう男性の表情が少しだけピクリと動いた。そして、男性はゆっくりとその場で椅子から腰を上げる。それに続くように三人の女性も腰を上げた。


「そうか、エイガルドから……。おっと紹介が遅れたね。私はイズの父—————シアン・ヴィーブルだ。よろしくユウキくん、マシルくん」


 シアンはそう名乗ると一度頭を軽く下げた。それにつられるかのようにユウキ達も一度頭を下げた。そして、続いてシアンの隣にいる女性が口を開いた。


「ユウキさん、マシルさん私たちの娘を救っていただきありがとうございます。私の名前はセルリア・ヴィーブルと申します。そして、こちらのおっとりとしているのが長女のイヴ、少しだけ目つきが悪いのが次女のイアです。娘共々よろしくお願いします」


「よろしくお願いしますね。ユウキさん、マシルさん」


「……よろしくお願いします」


 リアは自分の紹介を終えた後、続けて隣にいるイヴとイアの紹介を簡潔に終えると、スカートの端を摘まみ、丁寧なお辞儀をすると、イヴとイアもそれに続くようにスカートの端を摘まみながらお辞儀をする。イヴとイアもイズやセルリアと同様ブロンド髪が特徴でイヴは髪をサイドアップにしており、イアは姉妹の二人より短めでミディアムといった長さだった。


「立ち話も何だからイズ達も座りたまえ。良かったら食事でもしながら話そうじゃないか」


「えぇ、そうですね。ほらユウキさん、マシルさん座ってください」


 シアンとイズに促され、ユウキとマシルは手前の椅子に腰掛けると、すぐさま目の前にグラスや食事が乗せられた皿を出された。パンにサラダ、ステーキ肉にスープとそれなりに豪勢な食事がテーブルの上に並べられた。その光景に少しだけ二人は黒猫の仲間にも食べさせてやりたいと思いはしたが、それらを口にした瞬間、その思いは消え去った。


 食事を口にした瞬間、二人は身体に電撃が走った気がした。


「口に合えばいいんだがね。どうかな二人とも」


「……まっ、もがっ!」


「ユウキくん駄目!」


 シアンの問いかけにユウキは我慢が出来ずに料理の感想を言いそうになった瞬間、隣にいたマシルに無理矢理口を塞がれた。そのおかげでユウキは感想を言わずに済んだが、マシルは顔が少しばかり青くなっていた。二人は無理矢理口に含んだ物を飲み干すと、グラスを手に取り中の液体を一気に飲み干した。


「「とても美味しいです」」


 二人は先ほどの料理の味に耐えるように身体を小刻みに動かしながら、満面の笑みを浮かべそう言い放った。しかし、その感想を聞いたシアンは逆に心配そうな表情を浮かべ「本当はまずいだろう?」と訊ねた。その問いにマシルが「それは……」と目を泳がせながら困惑する。


「二人とも素直におっしゃってくれて大丈夫ですよ。料理の味は私達も分かってますから」


 シアンの問いかけに困惑した表情を浮かべているのが可笑しかったのかユウキの隣で口元を隠しながら笑みを浮かべるイズがそう言った。


「食事に誘っておいて申し訳ないが、我が領地には調味料となる物がかなり少なくてね。昔はかなり豊富な方ではあったんだが、少しばかり事情があってね」


 シアンはそう言いながら料理を一口運ぶと「うん、今日もまずい」と零しながら作り笑いを浮かべた。他にもセルリアやイヴ、イアそして、イズまでも微妙な表情を浮かべながら料理を口に運ぶ。それなりに深刻な状況なのだと悟ったのかマシルも諦めたかのようにスープを一掬い震える手で口に運ぶとさらに表情を歪ませる。そんなマシルの様子を隣で眺めた後、ユウキも諦めたかのように料理を口に運びながらシアンに一つ訊ねた。


「その事情ってアスクリムゾン関係なのか?」


「イズに聞いたのかい?」


「まぁ、それなりには」


「そうか、なら話は早いだろう。ユウキくんの言うとおりアスクリムゾン関係だよ」


 シアンはそう言うと食事の手を止め、話を始めた。

次回更新は12/9です

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