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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第2章 「騎士の国『ブレスタ編』」
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騎士の国-5

 火球(ファイヤー・ボール)を空に放ってから既に十分が経っていたが、一向に(ゲート)から残りのパーティーが来る気配はなかった。攻略隊員や冒険者たちも何故来ないのか動揺が隠せず、不安げな視線を門に送っていた。


「……ノブト、一つ確認したいことがある。もう一度、火球を放ってもらっていいか?今度は門の上辺りを狙うように」


 タイガは暫くの間攻略隊員や冒険者と同じように門に視線を向けていたが、その瞳には不安な様子はなく、ただただ何か気になっているような考え込んでいるような瞳で門を見ていた。そして、ようやく何か気付いたのか、それとも思いついたのかタイガは自身のパーティーにいる冒険者のノブトにもう一度火球を放つよう指示をした。


 ノブトはタイガの変わった指示に少し顔を顰めながらも静かに頷くと同時に門の上空に火球を放った。すると、どういうわけか火球は門の上を通り過ぎることなくまるで見えない壁にぶつかったのか門の上空でそのまま霧散した。


 その現象を見ていたノブトたちは目を見開き、何が起きたのか分からないといった表情を浮かべ、さらに門の上空に火球を放てと指示したタイガに視線が集まった。タイガもその視線が集まったことに気付き、少し困ったような表情を浮かべながら口を開いた。


「あー、皆聞いてくれ。俺の推測が正しければ残りのパーティーが来るのは二日後だ」


 突然の言葉に一同は驚きを隠せず、辺りがざわつき始めた。その中でも一人だけ、落ち着いた様子でタイガに声を掛ける者がいた。


「二日後ってどういうことだ」


 そう言葉を掛けたのはタイガのパーティーにいる赤髪の冒険者—————カズだった。タイガはカズにそう訊ねられると門の方を指で差しながら説明を始めた。


「さっきお前たちも見たと思うが、ノブトの放った火球は門の上空で霧散したよな。なんでだと思う?」


 質問を質問で返されたせいか少しだけ口調が荒くなりながらもカズは知らねぇよとだけ答えた。その答えにタイガは呆れながらも言葉を続ける。


「あのなぁ、少しは考えてくれよ。……まぁいい、俺たちは今日この日まであの門について調査をしてたんだ。突然現れたこの島とエイガルドを繋ぐ橋、そして騎士とガーディアンしか通れない謎の多い門。魔法を放ったり、手で触れたりと色々思いつく限りの手は尽くしたが、得られた情報は騎士とガーディアンしか通れず、魔法も能力も何も意味が無かったという事、そして、もう一つ。門の先に見える景色が幻惑系の魔法か能力で出来ている事だ」


 タイガから発せられた言葉に一同は驚きを隠せないのか、さらに目を見開いた。その中でも一番驚きを隠せていなかったカズが橋の先に見えるエイガルドがある島を指で差しながら口を開いた。


「あの景色が幻惑ってどういうことだよ!」


「お前らの気持ちは分かる。俺もこの島に来て驚いたんだからな」


 タイガはそう言うと今度は門の先を差す指を横にずらし、橋の正面からズレて門の奥にある橋の上を見てみろと指示する。カズを含めこの場にいる全員がタイガの言う通りに橋の正面からズレ、門の先が見える位置まで移動すると、今日何度目かの驚愕の表情を浮かべる。


「…………な、なんでッ!誰もいないッ!!」


 誰かがそう叫んだ。しかし、叫ぶのも納得が出来る。何故なら一同が向けた視線の先に映る橋の上にはいるはずの残りの三パーティーや見送りをしていた者たちの姿も何もなかったのだ。


「これで幻覚系の魔法か能力が使われているということが分かったと思う。ちなみに、先ほど残りの三パーティーが二日後に来るって説明した理由もこういう事態が予想されていたからだ」


 タイガはそう言い、今まで以上に不安な表情を浮かべる一同を前にさらに言葉を続けた。


「まぁ、ここまでは予想の一つでしかない上に確証はない。もしかしたら俺の能力のように結界の様な壁が出来ているだけかもしれないからな。それに、そういう事態に陥った時のために後続として待機しているサクラとアキラには既に指示を与えている。残念な事に俺たちが合流するのは二日後だが、それまでの間に俺たちはこの付近の地理を記録する必要がある」


 タイガはそう言うと、もう一人のパーティーのリーダーであるカイザに指示を出し始める。カイザもタイガたちからこういう事態も有り得ると教えられていたのかすぐにタイガの指示に頭を縦に振ると、自身のパーティーメンバーを集め始めた。それと同時にタイガのパーティーメンバーも集まる様に指示が入る。


「カイザには伝えたが、俺たちとカイザのパーティーは別行動をする。カイザたちは橋から見て東側の建物がいくつかあった方に向かってもらうことにした。もしかしたら、俺たちと同じ騎士やガーディアンのクラスに所属しているかもしれないからな。そして、俺たちはカイザたちとは逆方向の西側にある監視塔の様な建物がある方に向かうことにした」


 タイガはそうパティ―メンバーに伝えると、すぐに準備をするように指示をし、再度カイザと綿密に集合時間や集合場所などの今後の予定を確認し始めた。それから数分後、カイザの率いるパーティーとタイガの率いるパーティーは五時間後に橋の前に集合という形で一旦解散し、自分たちが向かう方角へ向かい始めた。



☆★☆★☆



 橋の先に広がる森の中には整備された道などはなく、自然に出来たけもの道程度の広さの道しかなく、タイガたち一行は生い茂る草木を掻き分けながら進んでいた。そして、ある程度進んだ所で監視塔に続いているであろう砂利道が一行の前に姿を現した。見る限り、人が手を加えた後があり、タイガは一行にこのまま道沿いに進むことを伝えると、一行も従うように道沿いに足を進め始めた。


「そういえば、一つ聞いてもいいか?」


「なんだ?」


「今まで気になっていたんだが何故、ソウジをパーティーのリーダーどころかパーティーにすら入れていないんだ?あいつほどの実力者がいれば、カイザみたいな入ったばかりの攻略隊員をリーダーにする必要がないだろ?」


 カズにそう言葉を掛けられたタイガは辺りを警戒しながらもカイザじゃ力不足とでも?と聞き返した。


「いや、別に力不足と入ってない。俺もあいつの実力はそれなりに分かってる。だけど、なんでソウジをこの作戦に参加させなかったのかが疑問でな」


「そうだな。一つ……言えるとしたら今のあいつは不安定過ぎる、とだけ言っておこうか」


「不安定って何がだよ…………ッ!?」


 カズがタイガの発した言葉に聞き返そうと視線を向けた瞬間、タイガは腕を横に伸ばし前に進むことを制止した。その指示にカズや他の三人の冒険者も武器に手を掛け、警戒を始める。


「誰だッ!!」


 タイガは誰もいないはずの正面に向かってそう言葉を投げつけると、数秒してから数名、いや数十名の深紅の鎧に身を包んだ者たちが現れた。そして、さらに奥からは部分的に覆うタイプの軽鎧に身を包み、額には右寄りに一つ星が描かれたバンダナを巻いたリーダー格と思わしき男が顎に生える無精ひげを撫でながら現れた。

次回更新は9/9です

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