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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第2章 「騎士の国『ブレスタ編』」
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騎士の国-3

「確かにその冒険者は言っていたんだな?二人の冒険者が(ゲート)を通ったと」


 そう訊ねるタイガの言葉にようやく呼吸を整えたアシュヴィとナナルーは静かに頭を縦に振った。その二人の反応をタイガの横で見ていたソウジも困惑した表情を浮かべながらまじかー、と言葉を溢していた。


「門を通ったのが銃剣士とビーストテイマー、か。もう名前を聞かなくても目星はつく」


「あいつら一体何考えてるんだ?意図が全く掴めねぇ」


 誰が門を通ったかは二人が冒険者たちから聞いた特徴とクラスを聞くだけで容易に想像が出来た。だが、何故騎士とガーディアンしか通れない門に無理やり通ったのかタイガたちには理解できなかった。印の能力を複数持っている時点で何かしら事情を抱えているのだろうと、ダンジョン攻略後にソウジからユウキの情報を聞いたタイガはそう考えてはいたものの、結局ユウキと面と向かってゆっくりと言葉を交わすことは叶わなかった。


 ソウジもソウジでダンジョン攻略以降、状況が状況だっただけありまともに言葉を交わすどころか顔を合わすこともなかった。結局攻略隊の人間でユウキに関する情報を知る者はダンジョン攻略で得た情報が新しいもので、それ以降の情報は何もなかった。


 だからこそ、今度は何を抱えているのか誰にも見当がつかず頭を悩ませた。そして、彼らが頭を悩ませている間にも刻々とタイガが考案したサバイバル戦闘訓練も終わりを迎えており、気付くと彼らが待機する広場の周りには過酷な環境で耐え生き抜いた冒険者の大半が今か今かと終わりを待っていた。


 それから三十分後、ようやく空に火球(ファイヤー・ボール)が一発放たれサバイバル戦闘訓練の終わりの合図が冒険者たちの耳に届いた。既に大半の冒険者が広場付近に集まっていたため集合に一時間もかからなかったが、やはり過酷過ぎたのか広場に着いた瞬間、ほぼほぼの冒険者は力尽きたように地面に転がった。


「皆、三日間の訓練お疲れだった。結果は明日ギルドの掲示板に張り出しておくのでそちらから確認してほしい。また、合格した者たちはそのままギルドマスターのマコかその職員に声を掛けて次の予定表を受け取ってくれ。今日は本当にお疲れ様だった。明日までゆっくりと身体を休めてくれ」


 広場に待機していた攻略隊員の一人から帰還した冒険者の人数の報告を受けたタイガは一度咳ばらいをしてから地面に横たわる冒険者たちの前に立ち、そう言葉を掛けた。そして、言いたいことを全て伝えるとともに解散の合図を出すと、ゆっくりと冒険者たちは街に戻っていった。


 その光景はまるで屍人族(アンデッド)のようにも見えたが、それだけ全力で必死に生き抜いたことだとタイガは改めて心の中でお疲れと呟くと同時に、今にも帰ろうと準備をしている一人の冒険者に近づく。


「よお、少しだけいいか?」


 タイガがそう言葉を掛けたのはところどころ傷を負った赤髪の冒険者カズだった。カズはタイガの方を一度見るとなんだ?とだけ言葉を返した。


「お前の仲間に関する事なんだが少し話したいことがある」


 見上げるようにこちらに視線を送るカズにタイガは淡々とそう言葉を発すると、カズは疲れ切った表情から一変食いつくように目を見開き、タイガの言葉を待った。


「今日の朝のことだ。お前と別れた後、俺はソウジからある報告を受けた」


 目を見開きながらもタイガの言葉に静かに耳を傾けるカズと周りにいた冒険者たちがある程度帰ったのを確認した後、ゆっくりと今までの経緯を話し始めた。ブレスタに続く橋付近で爆発音が聞こえ、偵察しに行ったら軽傷だが怪我を負った冒険者たちが慌てた様子で街に向かっていたこと。その怪我を負った冒険者がかつて一緒にペアを組み訓練に参加したトウゴだということ。


 そして、爆発音の正体がある冒険者二人組の手によって起きたものだということ。さらに、その冒険者とは今、行方を眩ませていたパーティーメンバーのユウキとマシルだということを知ったカズは居ても立っても居られなくなったのかブレスタに続く橋に向かおうと駆けだそうとするが、いつの間にか居たのかカズの後ろで待機していたソウジに腕を掴まれそのまま拘束された。


「離せッ!おい、離せよッ!!」


「離したらお前は門を通るだろ?それが分かってるのに行かせる馬鹿がいると思ってんのか?いいから一度落ち着け。落ち着かないならお前を落とすぞ」


 ソウジは威圧感を含んだ低い声でそうカズに言葉を発しながら拘束する力を強める。カズは両腕に掛かる力に痛みを感じながらも抵抗しようと動くが身動き一つ出来ずに睨みつけるように目の前に立つタイガに視線を向ける。タイガもこうなる事が分かっていたのか、呆れた様にため息を吐きながらしゃがみ込み、カズに再度言葉を掛ける。


「今すぐ二人を追いかけたい気持ちは分かるが、ソウジの言う通り一度冷静になれ。そうじゃなきゃ話したいことも話せん」


「ッ!」


 タイガの言葉を聞いたカズは自信を拘束するソウジに怒りを向けはするものの話が進まないのであればと自分の感情を無理やり抑え込み、落ち着くように一度息を吐いた。そして、すぐにタイガに向かって説明しろ、と言葉を掛ける。


「お前に伝えることは三つある。一つは訓練でのお前の合否の結果だ。正直、この行為自体贔屓っぽく見られる上に他の冒険者たちとフェアじゃないんだが事が事だ。お前にだけは先に伝えておく。お前は今回の訓練では合格だ。ブレスタには連れて行く」


 周りに人があまりいないとは言え、誰に聞かれるか分からないからかタイガは地面に押さえつけられるように拘束されるカズの耳元でそう一つ目の内容を話した


「……なら今すぐ行かせろ」


 しかし、そう言葉を発したカズにタイガは顔を顰め、呆れるように最後まで話を聞け、とカズを窘める。


「二つ目だ。お前は明日から俺と一緒に行動する事。これはお前の監視も含めてるが、お前がこの訓練中に俺の技を盗もうとし、繰り出した見様見真似の技を完全に再現できるようにするためだ。そして、最後の三つ目、ブレスタに行くのは一週間後だ。悪いがこれは譲れない。準備期間もあるが、それ以外にもやる事がある」


 タイガはそう言葉を発し終えると、ソウジに拘束を止めるように指示を出すと、ソウジは大人しくカズから離れた。カズは掴まれた腕を擦りながら地面に座り込み、タイガを睨みつけた。


「さっきも言った通り、お前はブレスタには連れて行く。だが、乗り込むのは一週間後だ。ちなみにそれを無視して橋に向かっても、門にはもう近づけないぞ。何故なら多重に結界を張ったからな」


 それを聞いたカズは諦めたかのように舌打ちを打つと、納得がいかないといった表情でわかったよ、と小さく言葉を零した。

次回更新は8/19です

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