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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第2章 「騎士の国『ブレスタ編』」
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新たな旅立ち-13

 チャナと別れた後もカズは何度か同じくこの訓練に参加している冒険者や攻略隊員と鉢合わせし、冒険者とは情報交換を、攻略隊員とは戦闘を行った。流石と言えばいいのか攻略隊員と一度でも戦闘を行うとかなりの時間が取られる。すでにカイザとチャナを含め、七人の攻略隊員と接触したが、どの戦闘も大体一時間から二時間は容易に掛かり、一人相手にそんなに時間を使ってしまって大丈夫なのだろうかと思うほどだった。


 初日はカイザのみだったが、二日目でチャナを含め六人の攻略隊員と接触し、そのまま戦闘が始まった。しかも、運が悪いことに一人と戦闘が終わり、どこかで休憩を取ろうとするたびに他の攻略隊員と接触してしまうという流れが何度か続き、休憩という休憩が取れないまま連戦が続いていた。そして、七人目の攻略隊員との戦闘が終わるころには、空は完全に暗くなっており、木々の間からは赤く光る三日月が見える。そして、カズはもう一歩も歩けないといった状態だった。


 体力も底を尽き、立っているのもギリギリなカズは先ほどから一瞬でも気を緩めたらすぐさま意識を刈り取ってくる悪魔の様な睡魔と戦いながら、近くにある人一人隠れられそうなほど育った木の幹まで鞘に入った片手直剣を杖代わりに重たい足を運んだ。


「やっと……着いた……」


 何とか木の幹まで来たカズは崩れるように木の幹に腰掛け、背中から凭れかかる。木の幹に凭れたまますぐに意識を手放したいと思いはするものの、カズはそんな事が出来なかった。前日と違い今回は木の上にいるわけではないため、いつ魔物に狙われてもおかしくない状況でそう易々とは寝られなかった。しかも、それは魔物に限った話ではなく、攻略隊も寝てようが起きてようが見つけ次第お構いなしに攻撃を仕掛けてくるルールだ。


 カズはそのことを忘れていなかったせいか、バックポーチから親指ほどの太さをした魔物避けのお香と金属で出来た小皿を取り出し、それに火を着け、自分の前で二往復振った。その後は金属製の小皿にお香の火のついた方を小皿に乗せるように置き、カズは一度だけ、周りを警戒するように見渡してから意識を手放した。



☆★☆★☆



 サバイバル戦闘訓練最終日。この訓練に参加する攻略隊員たちは一度、治療所でもあり、最初に集まった広場に集合していた。ちなみに、この集合は事前に決まっていた事であり、サバイバル戦闘訓練の前日にタイガから伝えられていた。


「よし、皆集まったな?二日間この危険な森の中を走り回ってくれてありがとう」


 タイガの言葉に疑問が浮かんだのかカイザは右手を上げ、タイガに訊ねる。


「あの、今日集められた理由はなんでしょうか?訓練自体は明日の正午で終わりですよね」


 カイザ以外にも同じ疑問を持っていたのか他の攻略隊員もタイガの方に改めて視線を送る。タイガもその疑問は当然だろうといった表情を浮かべ、今回集めた理由を説明し始めた。


「もちろん、まだ訓練自体は続いている。今回集まってもらったのは今日の君たちの行動範囲の説明だ」


「行動範囲、ですか?」


「あぁ、今までは君たちに好きに動いてもらったが、今日の正午から明日の正午までの間、俺と索敵に徹していたサクラ、そしてアキラがこの森の中を走りまくり、一度に複数の冒険者たちと戦闘を行う。こう言ってしまうとなんだが、かなりの規模で被害が来ると思う。特にアキラの魔法で。そのために君たちには後方である広場付近で隠れている冒険者と戦ってくれ」


 今まで広場付近で冒険者の位置を索敵していたサクラと魔力を温存していたアキラ、そして索敵していたサクラの近くで逐一指示を出していたタイガが動くということに一同は驚きを隠せていなかった。しかし、そんな中でも二人、タイガのある言葉に反応を示した者がいた。


「それってつまりは僕たちに力が無いから後方で貴方達の取りこぼしを処理しろってことですか?」


「そういうことなら私もお断りだナ」


 タイガにそう言葉を返したのはカイザとチャナだった。二人は他の攻略隊員よりも一歩前に出て、睨みつけるようにタイガに視線を向けながらタイガの返しを待つ。タイガも予想していなかった言葉に少しばかり目を見開くが、すぐさま言葉を返した。


「何か勘違いしているみたいだが、俺は別に君たちの力が無いから後方へ下げる訳じゃないぞ」


「じゃあ、他に訳があるのカ?」


 言葉を返すタイガにチャナは再度聞き返す。そのチャナの言葉にタイガは無言で頷き、口を開いた。


「この二日間君たちはこの森の中を走り回ったんだ。たった七人で五十五名もの冒険者を相手に。流石にそんな状況じゃ少なからず疲弊している者もいれば、魔力も尽きかけている者もいるはずだ。だから最後の一日くらいは後方で待機していた俺たちが出てもおかしくはないだろう?」


 そう言葉を発し続けるタイガに二人は黙ったままだ。タイガはそんな二人に構うことなく言葉を続ける。


「それに俺だけじゃなく、サクラとアキラの二人もそろそろ動きたいんじゃないかと思ってな。……まぁ、あそこで三日間護衛として呼んだソウジも暴れたいとは思っているんだろうけどな」


 タイガの言葉に二人だけでなく他の攻略隊員も広場から森に続く道で突っ立って警戒をしているソウジの方へと視線を向ける。表情自体は普通に警護しているように見えるが、どことなく魔物を待っているように見える。


「まぁ、そういうことだから決して君たちを実力不足とは見ていない。それに後方での支援もこれから先、前線に近い場所、または隊の長に立つであろう君たちにとってはいい経験になるだろう」


 タイガの言葉を聞き、理解したのか二人はすぐさま謝罪の言葉とともに頭を下げた。タイガ自身も特に気にしていなかったのか二人の様子を見て、慌てて頭を上げてくれと言いながら笑みを浮かべる。


 そして、横に待機しているサクラとアキラの顔を窺うなり、言葉を発するため口を開いた。


「とりあえず、俺たちが動き始めるのは正午だ。それまでは今まで通りに君たちには森の中を好きに動いてもらう。あと、言い忘れてたけど正午になった瞬間に今使っている『結界』の範囲を30キロの半分……15キロに距離を縮めていくつもりだ」


 タイガの言葉を聞いて一同は各々驚愕の表情やら声を発したが、どうやら横にいるサクラとアキラの二人は知っていたようで特に表情を変えなかった。


「ち、ちなみにその縮小はいきなり15キロにするんですか?」


 驚いた様子を見せつつもカイザはタイガに質問をする。


「いや、正午をスタートに半日かけて徐々に縮小させるつもりだ。半日だからそうだな……零時丁度に15キロになるようにするさ。ちなみに、この情報を冒険者たちに伝えるのは禁止だ」


「それは何でですか?」


「もちろん、冒険者の対応力や判断力、思考力を見るためさ。だから、皆も冒険者に教えるのは禁止だ」


 タイガはそう言葉を発し終えた後、一同に「ほかに質問はあるか?」と聞くが、誰一人として手を上げなかったため、そのまま解散という指示を出した。その指示に従うように一同は森の中へと駆け始めた。

次回更新は6/17です。

現在少しずつ投稿した話を直し中ですが、少しでも面白いと思っていただけたらブックマーク登録よろしくお願いします。

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