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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第2章 「騎士の国『ブレスタ編』」
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新たな旅立ち-5

 攻略隊からの人員募集が始まってから三日目、四日目はほぼ参加者の受付も無く終わった。カズも無事にサキ、アカネにも話をし、参加する事が決定した。そして、人員募集の受付が終了した翌日、約五十五名の参加希望者は早朝からギルドにある訓練場に集められた。


 集合した時間が早朝だったせいか、欠伸をする者や立ったままウトウトと目を閉じている者などがちらほらと見えたが、それも攻略隊の隊長であるタイガと副隊長のソウジの登場に皆が表情を一変させる。


「朝早くからの集合ありがとう」


 タイガは訓練場に集まる冒険者たち一人一人の顔を覚えるように見ながらそう感謝の言葉を口にした。その言葉に合わせる様にソウジや他の攻略隊員は頭を軽く下げた。


「皆も知っているようにここから西にブレスタという国がある島に続く橋が現れた。橋の上には騎士とガーディアンしか通れない門が存在する。俺としてはここにいる皆を連れて次の島に進みたいとは思っているが、如何せんどんな魔物がいるかも、どれほどの強さかも分からない未知の場所だ。そんなところに中途半端なやつを連れて行く余裕は攻略隊にはない。だから、これから三日間近くの森でサバイバル訓練を用いた選別を行おうと思っている」


 タイガの言葉に理解が追い付いていないのか少しだけざわめきが起きるがそれもすぐに止んだ。一人の問いかけによって。


「選抜する人数には限りがあるのか?」


 冒険者たちの中央から挙手をし、そう訊ねたのはカズだった。タイガはすぐにカズの問いかけに答えることは無く、バックポーチからルールについて書かれた一枚の紙を取り出してからカズの方へと顔を向け、口を開いた。


「それについてもこれから順を追って説明する。まず最初に、サバイバル訓練のルールだ。期間は三日間。食料などは基本、自給自足で街に戻っての食料調達は一切禁止だ。しかし、食料はなんとかなっても、水分だけはどうしようもないので二日目、三日目はこちらで水のみ用意するから、頑張って取りに来てくれ。さらに、武器以外の持ち物で許可されるのは飛び道具などの一部だけだ。これは君たち冒険者だけでなく、参加する我々攻略隊員も同じ条件だ。最後に、質問の問いに関しての返答は人数に限りはない。ルールについてはこれくらいだが、その他に何か聞きたいことはあるか?」


 説明を終えたタイガは再度、冒険者たちの方へ視線を向けそう訊ねる。しかし、タイガの問いかけに質問をする冒険者は一人もいなかった。


「質問はなさそうだな。ちなみにこの訓練は今日の昼から始めるから二度寝したりするなよ。次にこの訓練に参加する攻略隊のメンバーを紹介する。皆、一歩前に出てくれ」


 タイガの合図に参加する予定の攻略隊員が一歩前に足を踏み出す。


「一応、各クラスから二人ずつ参加の予定だ。右から魔法使いのアキラとチャナ、神官のアシュヴィとアズサ、ガーディアンのコウジとユキ、ハンターのサクラとナナルー、最後に騎士のカイザと俺の計十名が君たちの訓練の相手と選定を行う。攻略隊の皆は君たちを発見し次第、攻撃を開始するが君たちがその戦闘において挑むのも逃げるのも自由だ。ちなみに、こちらの攻撃に関しては魔物が近くにいようが、いなかろうが関係なく開始するので状況によって判断してくれ。しかし、逃げるのみで戦いにも参加せず隠れて三日間を生き残ろうとする事だけは禁止だ。もし、そうした場合は即失格として扱う。じゃあ、説明はこれで終わりにする。解散してくれ」


 タイガの言葉に冒険者一同は準備をするためおのおの訓練場を後にした。訓練場からほぼの冒険者が去った後、カズもそろそろ行こうと出口へと身体を翻した途端、攻略隊員の一人に声を掛けられた。カズはその声に後ろを振り返ると、そこには先ほどサバイバル訓練に参加すると紹介された一人であり、かつてダンジョン攻略に参加する際に摸擬戦で剣を交らわせたこともある騎士のカイザだった。


 カイザはカズの顔を改めて見るなり一言「お久しぶりですね。ダンジョン攻略以来でしょうか」と言葉を発した。


「カイザ、か。……なんか用か?俺急いでるんだけど」


「そんな怖い顔しないでくださいよ。ただの挨拶じゃないですか」


 カイザは小さく笑みを溢しながらそう言った。


「はぁ、攻略隊に正式に入ったんだな。驚いたよ。じゃあ、俺は行くから」


「待ってください。僕は挨拶だけじゃなく君に一つ忠告したくて声を掛けたんです」


 カイザの言葉にカズは前に出そうとした足を止めた。そして、カイザの顔をみながら「忠告?」と意味が分からないといった表情を浮かべながらそう言葉を発した。


「えぇ、まさかこの訓練にも参加するとは思っていなかったので前から君の顔をみた時は少し驚きましたよ」


 カイザは態とらしい動きをしながらも挑発するような言葉を吐いた。その言葉に対抗するようにカズも口を開く。


「何が言いたい」


「前回の摸擬戦の時は審判もいましたし、戦闘を無理やりにでも止めてくれる人がいましたが、今回は誰かが止めてくれるような優しい環境ではないので、せいぜい死なない様に気を付けてくださいね。……まぁ、僕としては君みたいな弱虫君は大人しく街の中で震え、怯えながら仕事してくれていたらありがたかったんですがね」


「そうかよ。わざわざご忠告ありがとよ。……だったら俺も一つだけ言っておくよ」


 カズは小馬鹿にしたような口調のカイザに対し、一切感情の籠っていない感謝の言葉を述べた後、さらに言葉を続けた。


「お前が思っているほど俺はいつまでも弱くない。かかってくるんならいつでもかかってこい。返り討ちにしてやる。何度でもな」


「……ふんッ!いいでしょう。そんなに言うなら見せてもらいましょう。今度こそ二度と剣を持てない身体にしてあげますよ」


 カズの言葉と表情に現れた覚悟を前にカイザは鼻を鳴らし、面白くないといった表情を浮かべながらそう言葉を吐き捨てた後、身を翻し攻略隊の下へと戻っていった。カズもカイザが去っていく背中を少しだけ見た後、自身の準備のために一度ハウスに戻ることにした。


「……もう絶対に負けねぇ」

次回更新は4/22です

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