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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-25

「皆、ユウキの『光箱(ボックス)』に集めた素材は入れたか?」


 戦闘からかなりの時間が経ち少しずつだが、回復した魔力を使って『光箱』を発動しているユウキの横でソウジは攻略隊員たちに視線を送りながらそう訊ねた。すると、それに答えるように素材収集の指揮をしていたサクラが「完了してます」と一言答えた。


「しかし、あれの素材は集めたとはいえ、このダンジョンの魔石はどうしますか?」


 サクラの言葉と同時にユウキが『光箱』を閉じようとした途端、今度はサクラがソウジにそう問いかけた。だが、サクラの言うことはソウジも気に掛けていた。


 二人の言う魔石とはダンジョンを形成するダンジョンの核の様なもので、ダンジョン内の形状を変化させるだけでなく、ダンジョン内に住む魔物の魔力を安定させたり、与えたり、生み出しており、例えダンジョンのボスを倒したところで魔石を回収しなければ、時間をおいて新たなボスが生み出され、ダンジョン内に住まう魔物の力も強くなってしまうのだ。そのため、ダンジョンを攻略した後にはボス部屋の近くにある魔石を回収するのが当たり前だった。


 しかし、ソウジやサクラだけでなく攻略隊員や冒険者たちはスネーク・センティピードとのかなり激しい戦闘で予想以上に体力も魔力も消耗してしまったうえ、死傷者もかなりの数だった。戦闘後、少しだけ休憩を挟んではいたが、素材の剥ぎ取りや負傷者の回復や救護で残り少ない体力も消耗してしまっているため、誰も魔石を取りに行ける程の体力が残っていないのだ。


 だが、誰かが行かなくては新たに魔物やダンジョンボスが生み出され、ダンジョン内の構図も変わってしまうため、また一から攻略し始めなくてはいけなくなってしまうのだ。そのことを理解しているソウジとサクラはしばらくの間悩み、そしてその二人の話を聞いていた攻略隊員たちは二人の下す決定をただ静かに待っていた。


「なぁ、魔石ってこれの事か?」


 しかし、二人の悩みの種はユウキの一言により、解消された。ユウキは思考を繰り返していた二人に向かって、新たに発動した『光箱』からスネーク・センティピードの真ん中の頭の額板に植え付けられていた魔石と同じ鮮紅色の魔石を取り出し、二人に向かって放り投げた。サイズとしてはスネーク・センティピードに植え付けられていた魔石よりも二回りほど小さいが、純度はユウキが持ってきた魔石の方が高く、受け取ったソウジたちだけでなく周りにいた攻略隊員たちさえも見るだけで分かる程の魔力を秘めていた。


「おまっ……これ、いつの間に……」


「タイガ連れ出す時、丁度近くにそれがあったからついでに持ってきただけだよ。魔石の話は聞いていたからな」


 ユウキはそう言うとソウジたちに魔石を返せと言わんばかりに手を差し出した。ソウジはすぐにユウキに魔石を返すと、ユウキは何事も無かったように『光箱』に魔石を投げ込むと、『光箱』を閉じた。


「それで?お前たちの悩みの種は以上か?」


「あぁ、以上だ。……帰ろう、エイガルドに!」


 ソウジが力強くそう言うと、それに反応するように今まで疲れ切っていた表情を浮かべていた攻略隊員や冒険者が腕を高々と上げ、叫んだ。



☆★☆★☆



「久しぶりの外の空気だ。美味いな」


 タイガはソウジに肩を貸してもらいながらダンジョンの外の空気に触れ、静かにそう呟いた。ユウキの提案で攻略隊一行はユウキに素材を預けた後、各々自分の荷物を持った者からユウキの『闇扉(ゲート)』を潜り、ボス部屋からダンジョンの入り口まで一瞬で移動する事にした。


 ダンジョンの外に出るとすでに辺りは暗くなっており、『闇扉』から出てきた者は順に松明に火をつけ始め、灯りを増やす。


「しかし、ユウキの『闇扉』は本当に便利だな。だけど、ダンジョンの入り口じゃなくて街まですぐに帰れたら良かったのに」


 タイガの肩を担ぐソウジはそう誰もが思っている文句を言うが、それはユウキも同意見だった。しかし、それが出来ない理由がユウキにはあった。


「仕方ないだろ、今ある魔力じゃこの距離が限界なんだ。すぐにダンジョンの外に出られただけでもありがたいと思ってほしいね。副隊長殿」


 ソウジの言う文句に反抗するかのようにユウキも負けじと言い返す。しかし、ソウジは「へいへい、すみませんでした」とユウキに適当に言葉を返すと、タイガを連れて『広範囲索敵』でダンジョンの周りを調べているサクラの下へと向かった。


 そんなソウジの行動にユウキは少しばかりの怒りを覚えるが、体力的にも精神的にもかなり疲れているのかそんな小さいことで怒る気にもならなかった。ただただ、行軍のように前を進む攻略隊員に着いて行こうと静かに足を進める。


「よぉ、ユウキ。お前も一人か?」


 一人静かに歩いていると後ろから聴きなれた声が聞こえてきた。声のする方へと視線を向けるとそこにはハヤトがまるで同類を見つけたかの様な言い草で近付いてきた。先ほどの素材の剥ぎ取りにでも汚したのか純白な色が唯一の特徴だった神官服のところどころを魔物の血と埃で汚していた。


「ハヤトか……てか「も」ってなんだよ。「も」って」


 ハヤトの言葉に適当な突っ込みを入れると、ハヤトは俺の隣に並ぶように歩き出すとしばらくの間今日起きた出来事を話し合っていた。


「しかし、お前の能力が二つもあるとはな」


「黙ってたのは悪いと思っているが、ダンジョン内でも話したように口止めされてたんだから仕方ないだろ」


「いや、別に怒っちゃいないさ。それに黙っていたのは俺も同じだしな」


 ハヤトはそう言うと、一度だけ周りを見渡す。やはり俺とソウジには話してもまだ他の誰かに聞かれるのは怖いようだ。主に恐れているのはアカネに対してだと思うが。ユウキはこれ以上お互いの能力を話を止めようと一度ため息を取り、一拍置く。そして、他の話をしようと口を開き、ハヤトの方へ視線を向けるが、そこにハヤトの姿はなかった。


 そして遅れて聞こえるように何かが地面に落ちる音が聞こえた。聞こえた音はかなり近かった。音のした方へとゆっくりと顔を向けるとそこには地面に崩れるハヤトの姿があった。


「おーい、ハヤト大丈夫か?疲れが出た……か?」


 倒れたハヤトにそう声を掛けるが、ハヤトは一切答えることなく、ただただ地面に突っ伏したままだった。ただの疲れかと最初は思ったが、どうにも様子がおかしい。ハヤトの身体を起こそうと身体に手を伸ばすと、ハヤトの身体から一本。まるで矢の様な細さの棒が生えていた。いや、刺さっていた。

次回更新は2/26です

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