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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-24

「さて、少し話が逸れたがタイガがこの部屋にいないことはハヤトの能力で分かっていた。だが、聞いた話だとサクラがタイガの魔力を『広範囲索敵』で確認したときは確か……あの辺りだったよな。……じゃあ、タイガはどこにいたと思う?そして、あいつはどこから現れたと思う?」


 ハヤトがソウジに対して頭を下げ、ハヤトの能力に関しての話が一先ず終わったのを見計らい、元々の話題に戻す。そして、激戦の末に何とか倒すことに成功し、今は攻略隊員たちに自分の皮膚である鱗や牙などを剝ぎ取られるスネーク・センティピードを親指で指しながら改めてソウジに問いかける。


 ソウジは俺の問いにしばらく顎に手を添え、時折ぶつくさと言葉を呟きながらも思考を繰り返す。さらにボス部屋であるこの室内一体を一度ゆっくりと見渡すと、ある場所で視線を止めた。そして、その場所を微かに震える指先で指しながら信じられないといった表情で俺の方へと頭を向ける。


「まさかとは思うが……」


「あぁ、そのまさかだ。あの壁一面を埋め尽くさんと言わんばかりの卵型の物体。あの後ろにはもう一つあいつの住処と思われるここよりも巨大な部屋が一つあった」


 ソウジが指差した先にはソウジたち攻略隊たちがこの部屋に入ってきた当初に目にした物で、それは入り口から見て目の前、縦に三段ほど大小不揃いの卵の様な形のした物体だった。いくつか破れたのか破られたのか定かではないが殻の中からは謎の液体が滴り、小さい水たまりを作っていた。そしてスネーク・センティピードはボス部屋に現れるなり、それを護る様に戦っていた。


 いまだこれが何なのかユウキたちには理解できていなかったが、ユウキがこのボス部屋の奥にある部屋を見た限り、スネーク・センティピードは捕まえた獲物をボス部屋の裏にある部屋へと連れて行き、その獲物の魔力をこの卵型の物体に溜めていたのではないかと予想した。何故そのような予想が思いつくのかとユウキの予想を聞いたソウジは不思議に思っていたが、ユウキの見た部屋にはタイガ以外にも骨と化した魔物らしきものの一部やタイガと同じく連れ去られ、魔力を吸い取られたのか、はたまた餓死したのか皮膚と骨を残し、絶命した者の亡骸があったのだ。


「その部屋にはタイガ以外にも魔物の死骸やタイガと同じく連れ去られたと考えられる人の死体がいくつかあったのが確認が出来たから多分だが、魔力が吸い取られているという考えが正しいと思う。それと卵からタイガの魔力が感じ取った件だが、それは吸い取られた魔力に反応しただけだと俺は思う」


 ユウキは自分の考えをソウジに全て伝えるとソウジは再度しばらく思考を始めたが、最終的にユウキの考えが腑に落ちると顔を上げ、ユウキとハヤトに一度「二人ともありがとうな」と短く感謝の言葉を掛けると早足で負傷者たちと一緒に身体を休めているタイガの下へと向かって行った。


「まだ素材の収集に時間かかっているそうだし、俺たちも手伝いに行くか」


 ソウジが去った後、スネーク・センティピードの死体の周りに集まる攻略隊員たちの姿を見ながらハヤトがそう言い、俺も「そうだな」と短く答え、手伝いに向かった。



☆★☆★☆



「あ~あ、あいつ何勝手にシナリオ変えてんだ。これじゃあ話が変わっちまうじゃんかぁ。それに一番の問題は僕の仕事量が増える!」


 男は咥えていた棒付きキャンディを手に取り、軽く振りながら目の前に広がる六つのモニターを交互に見つめ、そう文句を垂れた。そして、男は困った表情を浮かべながら手に持っていた棒付きキャンディを再度口に含ませると腕を組んで思考を始める。


「彼の行動は今後のシナリオに大きく影響を与える可能性がありますがどうなさいますか?ご主人様(マスター)。」


 男が腕を組み、目の前の問題に頭を悩ませていると突然女性の様な声質と機械的な口調が男の耳に入る。男は思考を止め、声のする方へと頭を動かさず視線だけを一度向けると、すぐにモニターに視線を戻し、口を開いた。


「そうだね~、正直なところ今後のシナリオにあいつの存在はそんなに重要でもないからこっちに戻してもありなんだけど、戻し方によっちゃ彼に違和感を持たせちゃうし、やっぱり魔物を使ってこちらに戻すのが手っ取り早いかな。魔物ならそんなに影響も少ないだろうし、それに時間帯的にもこれが使えそうだし」


 男は早口でそう言葉を並べると、机の上に広がるモニターと同じ数のキーボードに両手を広げ、精確にキーを入力し始める。そして、六つあるうちの一つのモニターに移されたのは二体の魔物の情報だった。


「こっちの魔物の一匹のステータスだけ少し弄っても今の彼らのステータス的になんとかなるかな」


 男はモニターから視線を一変たりとも動かすことなくキーボードに手を走らせながら、そう呟くように言葉を発した。


「では、彼はこちらに戻す方向で?」


「うん。だから準備の方よろしくね。紗季ちゃん」


 白と黒をメインとしたビクトリアン調のロングスカートが特徴的なメイド服に身を包んだ『紗季』という女性は男にそう命じられ、一言「かしこまりました」と丁寧な会釈とともにそう答えると静かにその部屋から姿を消し、自らに命じられた仕事を遂行すべく向かった。


「ふぅ、とりあえずこれで次のシナリオに支障はきたさないかな」


 入力を終えたのか男はそう呟きながら最後にエンターキーを一度他のキーより少しだけ強くタンッと叩くと、椅子の背もたれに身体を預ける様にゆっくりともたれかかり、咥えていた棒付きキャンディを一度奥歯で噛み締める。


 そして口から棒付きキャンディを取り出すと、モニターに映る一人の人物に向けて口を開いた。


「ここまではまだチュートリアルが終わったようなものだよ。過酷なのはこれからだよユウキ君」


 男はそう言うと口角を少しだけ上げ、割れた残りのキャンディを口に含むと、一思いに奥歯でかみ砕いた。

次回更新は2/19です

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