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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-23

「ハヤトにお願いされた事ってのがこいつの救助なんだけどな」


 タイガを差しながらそう言うと疑問が一つあったのかソウジは顎に手を添えたまましかめ面を浮かべていた。しかし、やはり気になって仕方ないのかソウジは静かに口を開いた。


「救助たってタイガがボス部屋にいないってなんでわかったんだ?お前の能力じゃ分からないだろ?」


「確かに俺の能力じゃこいつがいるかなんてわからない。サクラの能力でも魔力を把握する程度だったしな」


「じゃあどうしてわかったんだ?ハヤトの勘って訳でもないだろ」


 ソウジは一度ハヤトのいる方を見てから問いかける様にそう言葉を吐いた。そして、俺がそのソウジの言葉に返そうと一拍おいてから口を開いた瞬間、それはある人物によって遮られた。


「俺の能力だよ」


 声の方へ視線を向けるとそこには先ほどまで離れて作業をしていたはずのハヤトが近づいてきた。いつから俺たちの会話を聞いていたのか不思議だったが、そんなことはお構いなしにソウジは近付いてきたハヤトにさらに質問をぶつける。


「お前の能力って確か治癒系の能力じゃなかったか?」


「あぁ、そっか。お前にはそう言ったんだっけ?あれ実は嘘だ」


 淡々と答えるハヤトにソウジは一瞬こめかみをピクリと動かし、少しだけ怒気を含めた声色で「嘘?」と短く聞き返した。それと同時に俺もハヤトの能力って知らないなと思い出した。


「一先ずお前のその能力が嘘だったという事でお前はなんで嘘を吐いたんだ?そんなに信用無いか?」


 先ほどの怒気の籠った一言とは違い、一度大きく息を吸ったからなのか落ち着いた様子でソウジはさらに質問を続ける。しかし、ソウジの発した声には少なからず悲しみの様な感情が含まれていたように感じた。確かに今まで嘘を吐かれ、騙されていたと本人の言葉から知れば信用されていないと思ってもおかしくない。さらに言ってしまえば知り合ってからの年月が長ければなおさらだ。


 しかし、ハヤトはソウジの「信用無いか」という言葉に素直に否定し、一度短くだが謝罪の言葉を挟んだ。そして、言葉を吐く前に何か事情があるのか言いずらそうに少し困った表情を浮かべ頬を掻いた。


「俺の能力はあんまり人前で言えるようなものでも誰かに自分から大っぴらに言えるようなものじゃないから言わなかったんだ。いや、言えなかったんだよ」


 ハヤトは先ほどよりも少し声量を抑え、誰かに聞かれない様に俺たち二人だけに聞こえる程度の声量でそう話した。


「なんで言えないんだ?別に変な能力とかユウキみたいに特別珍しい能力じゃないんだろ?」


「確かにユウキみたいな珍しさはないが、正直これを誰彼構わずに教えると考えたら敵に回しそうだ」


 ハヤトはそう答えた後、さらに小さい声で「主に女どもを」と理解しがたいことを発した。


「で、結局お前の能力ってなんなんだ?」


「……絶対誰にも言わないって約束するなら教える」


 ハヤトは少し思考してからゆっくりとそう答えた。俺とソウジはハヤトの言葉にすぐに反応し、口を開いた。


「言わねぇよ」


「あぁ、言わない」


 俺たちがそう言うとハヤトは一拍おいてから俺たちに耳を貸すように言いまるで内緒話をするかのように話し始めた。


「俺の能力は透視だ」


「透視?」


「基本的に視えない場所を見ることが出来るって感じだな」


「お前それってもしかしなくてもかなりやばくないか?」


 ソウジは何かを察したのかハヤト同様小さい声で話を続ける。ハヤトもソウジの言いたいことが理解しているのか静かに一度頷いた。そしてユウキも少し遅れてからソウジたちの言いたい事を理解した。


 視えない所を視ることが出来る。それすなわち覗けない所も簡単に覗けるという事だ。この世界に来て、能力のことを知った当初はハヤトも『透視』という能力を授かったことにかなり幸運だと思っていた。そして、その能力を悪用しようとも考え、何度か使用していた。


 しかし、それがハヤトにとって最悪の事態を招いた。街に来てしばらくの間は能力の練習だと自分に言い聞かせるように主に女性に『透視』という能力を使用していた。だが、ある日、いつものように『透視』を発動していると、ある一人の女性に能力を使っているのがバレた。


 ハヤトの能力を知っているのは神殿で仕事をする大神官のバルザとバルザの仕事を補佐する数人の神官だけだった。だから、何故バレたのかエイガルドに来たばかりのハヤトには理解出来なかった。そして能力を使ってる事がバレたハヤトはその女性に首を掴まれ、路地裏に連れて行かれると何をしていたのか地獄の様な尋問をされたのだ。


 だが、ただの尋問であれば嘘を吐けば簡単に言い逃れが出来る。しかし、そう簡単にはハヤトの思い通りにはいかなかった。何故ならハヤトを路地裏に連れて行った女性は両耳にピアスを開け、綺麗な金髪のロングヘアーとまるでヤンキーを思わせる姿形をしていた。さらには人を数人殺してきたかと思わせるような鋭い目つきでハヤトを見つめていたせいかハヤトは嘘を吐いたら殺させると思い、おいそれと嘘を吐くことが出来なかったのだ。


 それ以来、ハヤトは誰彼構わずに能力を使うことも無く、誰かに教えることも無かった。だから、誰かに教えることも無く嘘をついていたのだ。


「まぁ、そういうわけだ。騙したり嘘をついていたのは謝る。すまん」


 ハヤトはそう言って主にソウジに頭を下げた。ソウジも理由が理由という事でこれ以上は特に何かを言ううことも無かった。

次回更新は2/12です

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