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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-22

「剥ぎ取る素材の量は帰りに支障が出ない程度に納めろよ。帰りに何があっても助けられるか分からないからな。それと全員分の治療と魔力が回復次第、脱出するから準備も怠るなよ」


 ダンジョンボスであるスネーク・センティピードを討伐した後、ソウジを率いる攻略隊員たちは勝利に喜ぶこともほどほどに重たい身体に鞭を打ちながら、慣れた手付きでおのおの作業を始めた。それに倣うように生き残った冒険者たちも攻略隊員たちとともにスネーク・センティピードの素材回収を手伝い始めた。


 一時は素材の事で軽い言い合いから一悶着起きそうな雰囲気が何度か起きそうになったが、ソウジが食い止める前に彼ら自身もかなり体力を消耗しているのか争いを起こすまでの体力も無く、静かに終わった。


「さて、サクラ。俺は少しこいつと話があるから席を外すが指揮を任せてもいいか?」


 ソウジはサクラにそう言いながら俺の肩に腕を回してくる。サクラもすぐに何を話すのか理解しているのか「えぇ、どうぞ」と短く答え、了承してくれた。しかし、これから俺はこいつと何を話すつもりなのか検討もつかないといった表情でソウジの方へと視線を送るとソウジは屈託のない笑顔とは程遠い、裏に何かありそうな笑顔で「じゃあユウキ、今から二人でタイガの事やどうやってここに来たのかを含めてもろもろ話そうぜ」と俺の有無関係なくボス部屋の中でも一番皆から離れた所まで連れていかれた。


 完全に忘れてた。ソウジに引き攣られるように連れていかれる最中、自分が連れていかれる理由を思い出したのだ。ボス部屋に現れた時、ソウジにこの戦いが終わったら説明すると自分から言ったことを完全に忘れていたのだ。そんな自分の言葉を思い出す中、俺の中に一つの思いが生まれた。それは「面倒くさい」。ただそれだけであった。正直、街に戻ってからでもよいのではと思いながら自分の事を引きづるソウジの事を一瞬だけ見るが、そういう考えは一切になく、ただただ気になっているようだった。


「じゃあ話してもらおうか」


「なぁ、街に戻ってからじゃダメか?」


 最後の抵抗というか悪あがきというか一縷の望みを掛けてそう提案するが、ソウジが「だめだ」と笑顔で返してきた。笑顔なのに目が笑ってないせいかかなり怖い。俺はとうとう諦めて話そうと思い、一度諦めのため息を吐くと頭の中で整理しながらまるで思い出す様に話し始めた。


「まずはそうだな—————俺があいつが作った大穴から出てきた理由だな」


 俺はすでに閉じかけているダンジョンの扉のすぐ隣にある小さな穴を指さしながらそう言葉を発した。ソウジは静かに指を指した方を見つめるがすぐに俺の顔へ視線を戻し、話を続けさせる。


「ボス部屋攻略前、お前と最後の言い争いをした後、『常闇の黒猫』のメンバーとサティが少しだけ話していた時だ。五層へと続く階段から戻ってきたハヤトが俺の顔を見るや否やある事を俺にお願いしてきたんだ—————」



 ☆★☆★☆



「よぉ、随分しおらしくなってるな」


 カズに襟元を掴まれ、熱く語られてる中、ハヤトはそう言ってきた。他のみんなもハヤトの存在に気付くや、ユウキをどうするだ、一人で待機させておくのかなど本人を差し置いてハヤトに話し始めた。話すというよりは質問攻めのようにも思えたが、ハヤトは一通りの問いを聞き終えると、自信ありげな表情で「あとは俺に任せろ」と胸を叩きながら俺の目の前に立ち、「お前はどうする気だ?」と一言そう言った。


「どうする気も何も俺はお前らの戦いが終わるまで入り口で待ってるさ。なんせやることも無いからな」


 俺は自暴自棄とまでは言わないがそう答えると、またカズが暴れようと前に出ようとするが、それはハヤトの一言で止まった。


「じゃあお前パーティーから抜けろ」


「は?」


「もちろん今結成している仮のパーティ―じゃないぞ?『常闇の黒猫』の方だ」


 ハヤトの言葉に俺だけでなく、周りにいた者たちも驚いた表情でハヤトを見つめる。


「いやいやハヤト、お前何言ってんだよ。流石に冗談だろ?」


 一番最初に怒りを露わにしていたカズがハヤトにそう語り掛けるが、「いや冗談じゃねぇよ」とハヤトは淡々と答えた。


「正直、ソウジと同じで戦う意志のない奴はいずれ仲間を危険に巻き込む可能性があるからな。俺はパーティーメンバーを失いたくない。だから、戦う意志のないお前は抜けろ」


「なんだよ、それ……」


「悪いが、参加させないって言われただけで戦う意志が無くなる奴はボス部屋行ったところで圧倒されて戦う意志どころか生きる意志も無くしやすいからな。それだったらさっさと俺たちのパーティーからも抜けてほしいし、大人しく安全な家で過ごしてろっていうのが俺のパーティーリーダーとしての意見だ」


「は?」


 ハヤトはそう言うとさらに続けて言った。


「言ったろ?今のはパーティーリーダーとしての意見だって。別にお前がそれを望むなら俺は構わないが俺自身の意見としてはお前には他にやって貰いたい事がある、といったところかな」


 ハヤトはそう言いながら少しだけ笑みをこぼす。ハヤトは別に意地悪でパーティーを抜けろと言ったのではなくただ単にやる気がないなら何もするなと言いたいだけでやる気があるなら俺にやってほしい事があると伝えてきた。少し理解するのに時間が掛かったが、俺は内容も聞かずにハヤトのやってもらい事という事を了承した。

次回更新は2/5(仮)です。前回にも言いましたが、今年の更新はこれが最後で一月の更新は基本的にはないです。ですが、訂正などが終わり次第更新を再開したいと思っているのでその際は活動報告の方でお知らせしたいと思っています。

今年一年『ワールド・オブ・ザ・デスゲーム』をご拝読いただきありがとうございます。また来年もよろしくお願いします。それではよいお年を。

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