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ワールド・オブ・ザ・デスゲーム  作者: 悠城 拓
第1章 「全ての始まり『エイガルド編』」
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ダンジョン攻略-21

「今だ!行け!」


 一回目とは全く違うタイミングでソウジは指示を出した。しかも、一度目の時はスネーク・センティピードの視界から外れた瞬間を狙って攻撃を仕掛けていたが、今回、ソウジから出された指示の瞬間はスネーク・センティピードの視界からまったく外れた所からではなく、完全に真正面から俺たちの姿を捕えている時だった。


 さらに俺は二丁の拳銃で『闇扉(ゲート)』を発動させるタイミングを見極めるため、視界を閉じることなくスネーク・センティピードの元へと駆け始めたが、それと同じタイミングでタイガはソウジの指示の下、目を閉じ、自身の視界からスネーク・センティピードの姿を映すことを止め、ただ、指示が出る前に見ていた位置とスネーク・センティピードからわずかに聞こえるシューシューという息遣いを頼りにタイガは走り出していた。


 スネーク・センティピードは再度自分の方へと向かってくる俺たちに気付き、新たに魔法を発動させようと口元に集めていた魔力を魔法へと変換させ、俺たちに放ったが、その魔法は俺たちに届くことはなかった。何故なら、スネーク・センティピードの左の頭が魔法を放つ直前に後衛にいる魔法使いたちがサクラの指示の下、少ない魔力で阻止をしたからだ。


 再度、魔法同士の相殺による白煙が現れ、スネーク・センティピードの視界を遮る。そして先ほどと同じようにタイガの前とスネーク・センティピードの真ん中の頭の目の前に『闇扉』を繋げる。タイガも先ほど同じように何も視ずにただただ真っすぐに走るだけだった。


「……篠崎流「火剣」壱の型『火焔車』!」


 『闇扉』を潜ったことにより、足場が無くなったことに気付いたのかタイガは空中で身体を少しだけ丸め始めた。鞘と柄に手を掛けると一気に刀身を鞘から引き抜くと、身体を刀を引き抜いた方向と同じ方向へと横に一回転流れる様に左に一閃、その場で回った。


 刀身にはすでにユウキから『武器付与(エンチャント)』された火属性の魔力が込められており、鞘から引き抜いた瞬間、燃え盛るような炎が刀身を包むように現れた。燃え盛る刀身は真ん中の頭であり、鮮紅色の魔石が植え付けられている額板に外すことなく命中し、少しだけ罅が入った。しかし、そこで攻撃を止めることも無くタイガは抜き出したままの刀身の向きと持つ手の向きを変え、新たに構えを始めた。


「まだだ!篠崎流「火剣」陸の型『十文字炎』!」


 タイガはそう吐き捨てる様に言葉を吐くと、刀身を『火焔車』の時とは反対の方向にまるで戻す様に横に振りかざし、さらに左上から振り下ろす。鮮紅色の魔石は徐々に罅が大きくなり、それに伴い真ん中の頭が初めて怒りを露わにした。タイガを目の前に大きく口を開き、一飲みにしようとしたのか徐々に降下し始めるタイガに標準を捕え、食いつこうとする。


「させねぇよ!『闇扉』、『閃光刀(ライトニング・ナイフ)』!」


 しかし、そのスネーク・センティピードの思惑は叶うことなく、開いた大口の中と降下するタイガの真下に『闇扉』を発動させ、大口の方には追加で『閃光刀』を発動し、目を閉じたままのタイガの援護をする。そしてタイガは真下の『闇扉』吸い込まれるように姿を消し、ユウキにその身柄を回収された。


 突然自分の口の中から痛みが起きたことに真ん中の頭は驚愕と困惑の表情を浮かべるが、すぐに自分に何が起きたのか理解したのか鋭い目つきがさらに鋭くなった。タイガも自分がソウジたちの下に戻ってきたことに気付いたのかゆっくりと目を開けると、軽く周りを確認した。


「どうだった?」


「あれを見なけりゃ動けるようだ。ただ、見えないと見えないで刀を振るう時が結構めんどい」


 ソウジとタイガはそう言葉を交わすと、次にユウキに声を掛けてくる。


「ユウキ、あと何発だ?」


「そうだな、あと四、五発が限度だな。てか、本当だったら今ので決めて欲しかったくらいだ」


「それは仕方ねぇさ、あれ、予想以上に硬たいぞ」


 タイガはそう言って軽く笑うと、次の準備を始める。ユウキも新たにタイガの日本刀に『武器付与』のための魔力を込め、拳銃にも不足した分を全て込める。残り僅かの魔力を全て注いでしまったせいでかなり身体がだるく、それに重く感じた。そして無意識に膝から崩れてしまった。


「おい、大丈夫か!」


「あ、あぁ、すまん。魔力使い切っちまったみたいだ。だが、まだこの中には魔力があるから気にしなくていい」


 ソウジに腕を抱えられ、重い身体をゆっくりと起こす。これだけでも呼吸が乱れる。今すぐ布団に入って寝たい気分だ。そんな思いに駆られながらも呼吸を正し、行こうと二人に声を掛ける。一度ソウジも魔力を尽かせてるせいか少し心配そうな表情を浮かべるが、俺は大丈夫だと伝えるとソウジは納得したように頷き、新しい指示を全体に出した。


 ソウジの指示でタイガはまた瞼を閉じ、スネーク・センティピードへと走り出す。すでに刀は鞘に戻しているようでまた左手を鞘に添えながら走りだす。俺もタイミングよくタイガの目の前と真ん中の頭の近くに『闇扉』を発動させる。少しでも滞空時間を増やすため少しだけ上に繋げる。『闇扉』を潜ったタイガはすでに構えを取っており、抜刀していた。


「これで最後だ!篠崎流「火剣」参の型『爆突』!」


 目を閉じたままだというのにタイガは刀身を真っすぐに鮮紅色の魔石に突き刺す様に数回、刺突攻撃を行う。その動きはまるでレイピアなどの細剣で突く様だった。すぐにタイガの位置を把握していた真ん中の頭だったが、タイガの方が少し早かったらしく、大口を開けたままタイガの攻撃を受けた。流石に目を閉じているせいかいくつかは外れたが、当たった部分からはまるで破裂するかのように爆発が起き、鮮紅色の魔石に傷を付け、割ることが出来たようだ。


 鮮紅色の魔石が割れた瞬間、真ん中の頭が突然苦しみだした。身体全体を捩じり、近くにいる者などお構いなしに悲痛の悲鳴を上げながら暴れ始める。それに続くように左の頭も口元に集めていた魔力を霧散さえ、力なくグッタリと首を垂らした。数分後、スネーク・センティピードは力尽きたかのように口を開き、力なく地面に突っ伏した。近くにいた者が確認すると、すでに瞳孔は開いており、呼吸も魔力反応も感じない。


 タイガも体力が限界に達したのか、空中で力なく日本刀を離し、降下し始めるが、すでに用意されていた『闇扉』によってその身柄が回収された。


「や、やった……やったぞ!俺たちの勝利だ!」


 タイガが戻り、確認が取れた瞬間、ソウジが子供のようにはしゃぎながらそう声をあげた。それに続くように他の攻略隊員や冒険者もおのおの武器を上に掲げ、喜びを噛み締めた。俺も体中の力が抜けたのかどすんッと地面に腰を下ろし、仰向けになった。

次回更新は12/25です。来週で年内の更新は最後になります。そしてちょっとしたお知らせが15時か16時頃に活動報告を更新しますのでそちらの方にも目を通していただけると嬉しいです。

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