君の本音を怖がらずに、きちんと聞いていれば、こんなことにはならなかったのかな?僕はこれからも、君の隣にいられたのかな?
「ごめんなさぃ…ごめんなさい…」
彼女は泣きながら細い声で精一杯僕に謝ってきた。
「ぁ、謝るなよ…」
あぁ…ダメだ、もう僕も泣いている、肩を小さく揺らして泣いている
泣きながら謝る彼女を見ていたら、僕も涙が止まらなくなった。
まだ、彼女の隣にいたいのに…もういられないんだ
そう思っただけで吐いた息が情けなく小刻みに震えた。
好きなのに…僕らの心の距離は交わることができないほど、修復することができないほど、遠く離れてしまっている
モヤモヤによる霧は、日に日にどんどん濃くなって、お互いの視界を悪くさせ、最終的にはどこにいるのかさえもわからなくさせた。
モヤモヤの正体が(疑問)だったと、今気が付いてももう遅いのだ。お互い今になって探しても、きっと巡り合わないし、もし巡り合えたとしても長くは続かない。
だったら、どうすればよかったんだ…
「ぁ…」
そうだ…声を掛ければよかったんだ…
モヤモヤでお互いが見えなくなりそうだったら、大きな声で彼女を呼べばよかったんだ。「ここにいるよ」って教えてあげればよかったんだ
逸らした顔を両手グイと引き戻して「どうしたの?」と聞いてあげればよかったんだ
くだらない、どうでもいい話ばかりしないで、たまには真剣に彼女と向き合って話をしていれば…こんなことにはならなかったんだ
君の本音が怖くて、怖くて仕方がなかった。聞いたところで、聞きたくない言葉が返ってくることはわかっていたから。でも、聞くべきだったんだ。きちんと本音で話し合うべきだったんだ、お互い
「きちんと…向き合うべきだった。離れていく君の手を無理にでも強く握るべきだった。君が…笑顔がぎこちなくなった理由を、きちんと聞けばよかった。僕といるときに、どうしていつも罪悪感に苛まれているのかも、聞けばよかった。逸らした顔を両手で戻すべきだった。君の本音を怖がらずに、きちんと聞いていれば、こんなことにはならなかったのかな?僕はこれからも、君の隣にいられたのかな?」
「…」
彼女はさらに大粒の涙を流しながら大きく首を横に振る。
声が震えて恥ずかしかった。うまく言葉が出なかった。こんな泣き顔を君に見せたくなかった。でも…この恥ずかしい姿こそが本当の僕の姿だよ。
この僕を、君に見せるべきだった…
取り繕っていない君を好きというなら、僕も本当の自分をもっとさらけ出すべきだった。それが恥ずかしい姿だとしても、愚かでみじめな姿であったとしても…。
そうして僕たちの関係は終わった。




