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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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君のすべてが好きだったのに、今では君のすべてを疑問に思ってしまう

 ある日から急に、彼女の仕草に違和感を覚えるようになった。


 なんだか彼女の言葉や仕草の、一つ一つがぎこちなく感じるようになった。


 彼女は僕がそれに気付いていないかをすごく気にしているようで、彼女はそれに対して少し罪悪感を感じているようだった。


 僕が彼女の目を見ると彼女は目を逸らし、彼女の顔を覗き込むと、顔を逸らした。その顔を両手でグイと戻すほどの度胸は僕にはなかった…。


 彼女はあからさまに、僕に何かを隠している…。


 それは何かと問いただす勇気も、僕はやっぱり持っていなかった。


 そして、二人の間には(もやもや)が残った。

 

 ある日、僕が部屋で彼女に「好きだよ」と言うと、彼女は「私も」と返してきた。僕はその言葉を聞いて(わたしも)という文字が頭に浮かんだ。その言葉には感情がのっていなかったのだ。僕はその時、彼女がえらく芝居が下手な女優に見えた。


 僕が呆然としていると、彼女は泣きそうな顔をして顔を逸らした。


 これは僕らが付き合い始めて4カ月目の事だった。

 

 僕らの心の距離は少しずつ少しずつ離れていった。


「…」


 今、僕は彼女と手をつないでいる。だけど彼女の心は僕の隣にはいない。心を見せないように自分を取り繕っている。隣にいるけど隣にいない。心は見つからないような場所でチラチラと隠れながらこちらを気にしている。


 なんだろう、僕は少しこの関係が嫌になってきた…。


 あんなに可愛く美しく見えていたのに、今ではそれがかすんで見える。きっとそれは彼女が彼女らしくないからだ。素の彼女が好きだから、なにも取り繕っていない本当の彼女が好きだから…ぎこちなくこちらをうかがう彼女を見ると僕は心が痛んでしまう。


 どうしてそんな顔するの?


 僕…なにかしたかな?


 君が傷付くようなこと言ったのかな?


 君が傷付くようなことしたのかな?


 君はどうして僕と距離を取るの?


 この前まで心も身体もぺったり僕にくっついていたのに…もしかしてそれも僕の気のせい?


 あの初デートでの楽しそうな笑顔も、手を握った時の赤くなった顔も、あの少し湿った手も…全部気のせい?


 君のすべてが好きだったのに、今では君のすべてを疑問に思ってしまう。


 そんな自分が嫌で、嫌いで、憎く思う。


 ねぇ、どうして何も言ってくれないの?


 言ってくれなきゃわからないよ、伝わらないよ。


 僕は君が好きだけど、君の心の中までは覗けないよ。


 ごめんね…


 わからないよ…


 寂しいよ…


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