そうか、人に抱きしめてもらうと、こんなに温かいんだ
ぼくは究極に目をとろんとさせながら彼女を見た。
ああ…彼女がこんな近くにいる。
ぼくは彼女に近づくことができたんだ。
近くで見る彼女も美しくてかわいらしい。
彼女はこんな声をしてたのか。
かわいらしくて綺麗な声だ。
彼女はこんな表情を見せるのか。
いつものまじめな顔よりもこっちの方が断然いい。
ぼくは、やっぱり、彼女が大好きだ。
ぼくの中でこの言葉は確信へと変わった。
「…」
その瞬間彼女と目が合った。彼女は優しい瞳でぼくを見ている。
彼女の腕は温かい。
手のひらも温かい。
きっと心が温かいからだ。
優しいからだ。
そうか、人に抱きしめてもらうと、こんなに温かいんだ。
こんなに落ち着くんだ…。
「!」
そう思った瞬間、ぼくの目から温かい何かが零れ落ちた。ぼくはびっくりして目を見開いていた。彼女はそんなぼくを優しく見つめて、ゆっくりと地面に下ろしてくれた。
「…」
ぼくは彼女を振り返って見ることもせずにぎくしゃくと歩いた。
きっと今のぼくの顔はとても赤い、真っ赤と言っても過言ではない。なぜなら急に彼女の前で泣いてしまったのだから。これは男として、なんだか、非常に恥ずかしい。そして情けない。ああ恥ずかしい。穴があったら入りたい。
ぼくは真っ赤な顔が彼女にばれないように少し距離を取って、くるっと彼女の方を向いて「こちらです~こちらです~」と鳴いて、赤い顔がばれないように一瞬で顔を逸らした。
「………………………………」
彼女は…来てくれているだろうか?いや、大丈夫だ、足音はちゃんと聞こえる。
彼女との距離…少し開きすぎてないかな?もっと詰めるべきじゃないのか…。
でもな…もし近づいたときに顔が赤くなっているのがばれたら嫌だな…泣き虫で赤面症なんてレッテルを貼られたくないな。
そんなアホのようなことを考えていると公園の街灯の明かりが目に飛び込んできた。




